クラス改編直後の年度序盤は、格付のイメージ以上のメンバーが揃うレースもあり、初日19日の8R(B1-2)も好カードだったが、障害を一腰でまとめたゴールデンペガサス(牡7、大友)が歩き勝ち。障害にムラな面は残るが、下りてからは長く脚を使えるし、極端に速い流れは好まなくても稍軽の馬場は合う。人気になると買いにくい馬だが、現級の平場なら障害ひとつで引き続き好勝負。
2着ダイリンファイター(牡8、小林長)は速い流れで引っ張り障害トップ付け、障害中腹で一旦止まってしまう良くない癖も見られたが、返事は早かったし、強気に出られるほどのデキで開幕を迎えたのだろう。昨季末にはA1の特別を勝ったくらいで、現級では力上位。
3着ホクショウカップ(牡8、槻舘)は好位から障害をなんとか一腰でまとめ、まずまずの内容。昨夏からは相手強化に加えて障害が乱れていたが、もともと春先は動くし、降級なら力差もない。馬体は少し戻ったほうが良いだろうが、道中で流れに乗れてデキは悪くなさそう。
4着ネオキングダム(牡6、坂本)は春先の平場だとズブさが目に付くが、ばんえい記念帰りの年度初戦としては不満ない内容。4歳時は本当に苦しんだが、昨季に久々の勝利を挙げるなど活気を取り戻し、少し時計かかればチャンスある。

10R(B2-3)はクリスタルゴースト(牡4、長部)が下りてからよく歩き抜け出し、年度を跨いで4連勝。昨季急成長を示し、年度末には一枚落ちのメンバーだったとはいえ世代特別を勝利。次開催は、これも世代特別のすずらん賞に編成されるが、地力ではまだ見劣ってもハンデをもらえる立場で試金石。

20日の6R(B4-10)は、昨季の黒ユリ賞2着馬クリスタルイプセ(牝3、岩本)が初の年長馬相手でも圧勝。10組で流れも楽だったが、忙しいよりも力勝負のほうが合うはずで、今季のほうが競馬はしやすい。12月のオークスまで長い目で見ながら地力を蓄えていきたい。

メインのスラミチチャンピオンシップ(A2-1混合)は、登坂力と切れ味で抜け出したダイヤカツヒメ(牝5、久田)が押し切って快勝。ガサのない牝馬だが、障害がうまく切れ味があり、さらに末まで我慢が利くのが強み。連覇が懸かる次開催5月5日のカーネーションカップは、今季は基礎重量が20キロ増と変更されたが、自身700で710のサクラヒメと激突。
2着アアモンドキーマン(セン7、村上)は障害天板で一旦止まったものの、すぐに二腰目が入り、前で下ろす自分の形を作れた。年度変わりでの減量と、やや軽めの馬場もプラスに作用したが、昨季かなり強い相手と戦った経験を活かすシーズンに。
3着ヤマトタイコー(セン7、久田)は相変わらずテンが遅いが、道中で押し上げて位置を取れたし、障害もスムーズと素軽さ十分。下りてからもしっかり歩いており、上々の滑り出しと言って良い。
5着シンエイアロイ(牝5、久田)は障害天板で我慢して一腰でまとめ、内容的には不満なし。カーネーションCを意識して昇級(2着以内)を嫌ったフシもあり、こちらも好仕上げ。
降級なら実績断然のミノルシャープ(牡10、大友)は障害で苦戦しての8着。以前は春先から動いたが、年齢的なものもあってか昨季も上向いたのは数戦使ってから。41キロ減らした馬体を戻しながら良化を示したい。

21日の青葉特別(A1混合)は、ばんえい記念帰りのコウテイ(牡7、槻舘)が道中刻まず先手を取り、障害も早めに仕掛ける積極策から押し切り。前半約48秒と、後ろにも厳しい流れを作った菊池一樹の好判断も光ったが、現役随一の登坂力を存分に活かす強い競馬。昨季は帯広記念3着、ばんえい記念5着と、その登坂力に裏打ちされた積んでの良さを見せたが、地力自体も相当に増している。今季の重賞で注目の一頭となる。
2着マルホンリョウユウ(牡4、金田)は昨季の3歳二冠馬とはいえ、古馬相手のここは買いにくい場面だったが、障害をスムーズに越えるとよく歩き、十分過ぎる内容で世代トップの力を改めて示した。今季もこの馬が中心となる4歳戦線。
3着ヤマノコーネル(牡5、今井)も障害をまとめると上々の伸び脚。厳しい5歳シーズンとなるが、初戦から良い形を作れたのは明るい材料。
5着カイセドクター(牡7、坂本)は障害で手間取ったが、休催期間を挟んでも馬体が増えていたし、昨年12月に復帰後は一戦ごとに上向いている。今回は勝ち馬に良いペースを作られたが、障害修正できれば再浮上も十分。
6着ブラックサファイア(牡7、長部)は障害でストップ。もともとアテにならないタイプで、人気の時に買うべき馬ではないが、年度初戦でいきなりの厳しい流れではなお難しかった。例によって一変はいつでもあり得るが、読み切れない。

22日の8Rをジェイホースワンで勝利した坂本東一調教師(70歳)が、2008年4月の初出走以来13148戦目で通算1500勝を達成。1500勝は現役12人目、史上15人目で、開業17年目での達成は史上最速。重賞は、ホクショウマサルおよびメムロボブサップで制した農林水産大臣賞典ばんえい記念など、27勝を挙げている。
歴代5位(引退当時)の通算2681勝を挙げた名騎手にして名伯楽、これまでリーディングトレーナーを五度獲得し、特に2019年度にマークした140勝は、年間最多勝利記録。2020年1月に通算1000勝を達成した際も当時の最速だったが(のちに西弘美調教師が更新)、その後も順調に勝ち星を重ねて新たな節目に到達となった。
言わずと知れた上記2頭は別格としても、下級条件でも坂本厩舎というだけで人気になるほど常に大きな注目を集めるが、それに応えるだけの結果を残しており、馬主からの信頼も厚い。

22日メインの卯月特別(B1-1)は、下りてからグイグイ伸びたマサタカラ(牡6、金田)が差し切り、ちょうど一年前の同名レース以来の勝利。今回も障害でややモタつくなど課題は残るが、末脚に光るものがあるのは以前から示しており、障害が安定すればまだ上も見える。苦しんだ昨季の経験を糧に、さらに成長を示せるか。

23日の3Rをドウナンテンリュウで勝利し、中村太陽騎手(21歳、今井茂雅厩舎)が通算100勝に到達。2022年12月のデビューから、1082戦目、501日目。
同期で同厩舎の今井千尋に先を越されたとはいえ、自身も遅いペースではないし、すでに特別戦での勝利も挙げている。競馬場に来る前には、島津新の父である島津信氏からソリの乗り方を学んだとも聞くが、最近は島津新と御し姿が似てきた。前述の青葉特別のマルホンリョウユウとヤマノコーネルを見比べるとわかりやすい。
開幕週で5勝とスタートダッシュを決め、昨季の60勝を上回るのはもちろんのこと、今後はばんえいを代表する騎手となる期待が懸かる。

23日メインの水晶特別(B2-1)は、コマサンタカラ(牡6、金田)がわずかに競り勝ち。昨季はクラスが上がってからは障害で崩れる場面が増えていたが、シーズン末には対応できていたし、追って味がある。降級で経験が活きる6歳を迎え、再び軌道に乗りたい良血馬。
2着ミヤビウルフ(牡5、谷)は5歳シーズンで初戦から特別と楽な条件ではなかったが、昨季終盤から障害が安定しており好調維持。以前より終いもずいぶんと歩けるようになっており、地力強化が目立つし、今季もさらなる成長が期待できる。
3着レジェンドボス(牡8、松井)は大きくない馬が24キロの馬体減、障害でややモタついたが、もともと平場向きのタイプ。平場なら変わり身を見込んで良い。
昨季の黒ユリ賞馬スマイルカナ(牝3、鈴木)は中団でタメると障害を一腰でまとめ、6着とはいえまずまず。古馬相手だと現状では平場のほうが良いだろう。


例年のことではありますが、いきなりの五日間連続開催、個人的にはゴールデンウィーク前の仕事の忙しい時期で、平日だとレースを見返すのも大変と、第1回から出遅れ気味と相成りました(^^;
開幕週のわりにはメンバーが揃うと時計も出ていたように、昨季の同時期よりは馬場が軽めに映りますが、一度使っての次開催のほうが参考になるとは思います。
その次開催は早くも重賞が組まれており、4月28日(日)は第18回ばんえい十勝オッズパーク杯(BG2)。初戦圧勝で好発進のメムロボブサップが断然の人気を集めそうですが、一線級が揃っての激戦に期待です。
後節の5月5日(日)には牝馬限定の第17回カーネーションカップ(BG3)が行われます。本文でも触れたように、ダイヤカツヒメとサクラヒメの激突に注目ですが、こちらは上下差30キロのハンデ戦で、他馬の割り込みがあるかどうか。
と、いきなりヒートアップのばんえい競馬、連休はこのためにあるようなものですね。
それでは次開催もお楽しみにラブラブ