十勝の馬産の礎となったと言われる種雄馬イレネー。競走経験のない馬の名を冠するレースは全国的に見ても珍しいだろうが、重種馬が競うばんえい競馬においては大きな意味を持つ名である。2歳シーズンの締め括り、今季デビューの若駒の頂点を決める一戦だが、その位置付けと価値は、中央競馬に例えるならば朝日杯よりも東京優駿に近い。金曜に雪が降った帯広、馬場状態のチェック必要だが、各馬が初の荷物を積むだけに終い縺れる可能性も。
(定量:690キロ)

重賞2勝を含め4連勝中のライジンサン。ヤングCSも翔雲賞も切れ味を見せて抜け出し、混戦の世代の中でも一歩リード。三開催ぶりで気配注目でも、前走も同様の使い方で不安は小さい。障害が安定しているだけに増量も気にならず、追っての鋭さ増して快進撃を見せている近走同様、タメて一腰から末脚発揮で頂点へ。

ナナカマド賞馬ホクセイポルシェは、その後に一息入れてからが案外で、特に年明けから二度も熱発で取消となるなど、順調さを欠く近況。速い流れを自力先行から押し切ったナナカマド賞の内容出色でスケールでは世代一番、本来は増量もむしろ歓迎だが、翔雲賞では障害でモタつくなどデキ不安。割り引かざるを得ない。

翔雲賞2着のミチシオは、障害巧者で切れ味もあり、これまで最多の8勝を挙げているように素質互角。前走の平場6着も、あくまでステップだし、他馬より積んでいたことを考慮すれば決して悪くない内容。増量カギでも、650の翔雲賞で対応できたのは収穫で、軽馬場のプラスも大きい。ここもチャンス十分で上位争い。

スマイルカナは牝馬同士なら力が違うところを見せつけて黒ユリ賞を圧勝。A-1で牡馬を抑えた星も幾度もあり、下りてからの切れ味では互角以上。ただ、この荷物だと正攻法ではさすがに厳しく、まずは障害を大事に運んでの後半勝負か。障害をまとめることが前提だが、軽馬場歓迎だけに、流れが向けば上位食い込みも。

ヤングCSで2着のフレイムファーストは、まだ線が細く映るが、障害巧者で切れ味も水準以上の好素材。前二走で終い緩んでいるように、現時点ではスタミナ面の課題はあるものの、将来性十分。690に増量となる今回は、そう出て行かないだろうが、うまく障害から後半につなげたい。ここも善戦可能、末の我慢が利けば。

アヤノダイマオーはまだ馬体も小さく本格化は先だが、終い長く脚を使えて真面目に歩き、ナナカマド賞で2着。前に行く競馬でも結果を出しており成長十分、ただしヤングCSおよび翔雲賞では障害で手間取ったように増量カギ。ここは少し大事に構えるだろうが、障害まとめて追い比べの形になればそう差はなく、連穴。

ウルトラコタロウは決め手一歩で勝ち切れない場面も多いものの、ヤングCSと翔雲賞でともに3着など力十分。特に12月の十勝産駒特別を制した以降は高値安定、デキの良さと成長度が目立つ。ジリっぽく切れ味勝負では分が悪く、馬場がカギとはなるが、障害巧者で終いも我慢して歩けるだけに、増量を最も歓迎は本馬。

A-1を連勝中のコトブキテンザンは、特に後方一気を決めた前走が鮮やかで、ここに来て急上昇を示している。翔雲賞では障害で苦戦したように増量が大きなカギとはなるが、その末脚は魅力たっぷり。今回も後半勝負に構えるだろうが、障害をまとめれば切れ味を活かせる軽馬場、前が緩んだ際の差し込み警戒。

ホクセイハリアーは障害巧者で、翔雲賞でもトップ抜けから粘っての4着と、増量のここも前付けからの一腰を望める。まだ末の甘さが残る現状だが、その登坂力は魅力だし、他馬が止まるようなら大きなアドバンテージとなり得る。歩き比べとなっては分が悪いが、積極策に出て後ろにも厳しい流れを作れるか。

ショータイムは回避馬が出ての繰り上がり出走。ナナカマド賞では流れが向いたとはいえ3着まで押し上げ、翔雲賞でも終いよく歩いていたように、末脚比べになればそう引けは取らない。増量だけに前半は大事に運ぶだろうが、前が止まっての乱戦になれば出番があっても。