1月14日(日)に行われた明け4歳牝馬限定の第47回ばんえいプリンセス賞(準重賞)は、先行したクリスタルジェンヌ(牝4、西)が第二障害も一腰でトップ抜けをはたすと、後続に迫られながらもゴールまでしぶとく歩いて押し切り勝ち。今季6勝目、通算10勝目を挙げました。
馬場水分2.0%で勝ち時計は1分48秒7。0秒8差でスーパーチヨコ(牝4、長部)が2着、さらに0秒3差でベニサクラ(牝4、槻舘)が3着に続き、オークス馬ルイズ(牝4、槻舘)は9着。

オークスには賞金順位11番目で出走が叶わなかったクリスタルジェンヌですが、堂々たる内容でデキの良さと上昇ぶりを示しました。
謙ちゃんもある程度の手応えを持って臨んだのでしょうが、前半から積極的に出て行き、道中は止めるも出すも反応良く、障害もスムーズ。下りてからオークス2・3着馬に並びかけられる場面はありましたが、緩まず歩いてもう一度突き放し、見事な内容でした。
もちろんハンデが活きたのは間違いありませんが、突如の大駆けではなく、近走でたしかな地力強化を示していたうえでのこの内容ですから、素直に評価するべきと思いますし、世代牝馬の上位の一角に加わったと見て良いのではないでしょうか。
また自己条件で揉まれる日々に戻りますが、障害も上手ですし、経験を積めばさらなる成長も見込めるでしょう。今後の期待が膨らみます。

スーパーチヨコはスムーズな競馬はでき、最後の最後はハンデの影響が出たのでしょうが、十分に力は示しました。やはり力上位の存在で、あとはここからの成長力でしょう。
ベニサクラは位置も取れましたし、障害をすんなり越えると長く良い脚。近走は限定戦に照準を合わせ、ほかは試走に徹していますが、その気になれば自己条件B2でも互角以上に戦えるはずです。

ゴールドクイーン(4着)は前々から障害すんなり、下りてからの決め手で劣ったもののしぶとく流れ込み、持ち前の登坂力を活かす形は作れました。内容は良かったと思います。
タカラヴェルベーヌ(5着)は近走よりついて行っても障害一腰、下りてからもまずまず歩きました。新が位置取りと障害と末脚のバランスを計っているような近走ですが、収穫十分の内容で、そろそろ結果につながるかもしれません。
ミュウ(6着)は自身も障害をまとめたのですが、前を行く各馬がもっとスムーズだっただけに後れを取る格好。前が止まらず終いの速い流れ、伸びてはいるのですがここまででした。
アバシリモミジ(7着)は差せる脚がなく、他馬も障害すんなりではさすがに伸び負けします。現状の力とも言えますが、デキ自体は引き続き良いと思います。

ルイズは今回も恵介がソリに座るような格好で道中は折り合いに気を使いつつ。ただ、やはりハンデもあり、30キロ軽い馬に先に行かれる形となりました。これがもっと操縦性の高い馬なら対応できた可能性もあるとは思うのですが、喧嘩を買うより自身の折り合いを優先したと映りました。
オークス後にも書きましたが、大勝負のオークスは、折り合い面の改善を図るのではなく、その課題を抱えたうえでいかに勝つか、という場。
今回は、たしかに賞金の高い準重賞ではありますが、やっぱりオークスとは違いますし、オークスで勝ったからこそ、というのもあるでしょう。一か八かの勝負を仕掛けるのではなく、先を見据えつつ形を作りにいったものと解釈します。これは結果論ですが、久々で馬体重プラス38キロ、ばんえいは馬体増が良しとされる競馬ですけど、それでもいくらか余裕残しの仕上げだったかもしれません。
まあ、いずれにせよ、今回の結果だけで殊更にどうこう言うものではなく、能力があるのは間違いないので、槻舘重人と鈴木恵介が今後どう作り上げていくかを見るべきと思います。


戦前にも少し触れたように、昨季こそダイヤカツヒメが勝ちましたが、オークス馬にとっては鬼門とも言えるレースで、過去にはサクラヒメやミスタカシマでさえ勝てませんでした。
今年も上がり馬が実績馬を抑える結果となりましたが、来季にまた一堂に会す面々。それまでは、牡馬や年長馬を相手に力を蓄えることとなります。
限定重賞も特別も面白いのだけど、それも、そこまでの過程を知っていてこそ。本当に見ていただきたいのは、そういったレースでもあります。