金田勇調教師(51歳)は、1月4日の第9競走をボンヌールで勝利し、通算1500勝を達成しました。
通算1500勝は、現役11人目、史上14人目。2003年4月の初出走以来、開業21年目、12656戦目での達成となりました。
重賞では、ばんえい記念2勝(ニシキダイジン、インフィニティー)など、これまで37勝を挙げています。

変則開催で追いつかず前節の話題ですが(;・∀・)

ついこの間に1000勝したばかりの印象もありますが(2019年10月)、そこからハイペースで勝ち星を重ねての1500勝達成です。
騎手としては実績を残せなかったようですが、早くに調教師に転身し、いまや押しも押されもせぬ名伯楽。
現在の厩舎頭は言わずと知れたアオノブラック(明け8歳)ですが、その下の世代のコマサンダイヤ・アバシリルビー・ゴールドハンター、次のアバシリサクラ、さらにヤマカツエース、そしてマルホンリョウユウと、なんと五世代にわたって重賞馬が連なり、調べてはいませんが、相当な記録でしょう。
先日のヤングチャンピオンシップではフレイムファーストが2着でしたが、明け3歳も駒が揃っており、現在進行形の記録の今後にも注目したいところです。
帯広記念も三頭出しだったように、とにかく良質馬の宝庫で、今季は前節終了現在で102勝を挙げ堂々のヘッドライナー。初となるリーディングトレーナーが近づいています。

この年末年始の重賞はちょっと残念な結果もあったとはいえ、もともと、ばんえい記念勝ちもそうですが、ニシキエースの(当時存在した)3歳牝馬三冠とか、牡馬相手に天馬賞を勝ったキサラキクとか、リーディング中位であっても狙ったレースを勝ち切る重賞ハンター、といった印象は強くありました。
それが近年は管理馬の増加に伴い勝利数も伸び、2020年度からはずっと年間100勝以上。マルホンさん(本寺政則氏)のメインステーブルとなったことも大きいと思いますが、アオノさんとかコマサンさんとか、基本的に金田厩舎にしか入れない馬主さんがいることからも、信頼感の高さがうかがえます。

ばんえいは新聞に追い切りタイムが載ることもなく、各厩舎の調教の特徴は見えにくいのですが、「優しく育てる」ことを大事にしている、というインタビューを読んだことはあります。
甘やかす、ではなく、無理せず焦らず、という意味だと私は解釈しましたが、デビュー時は細かったマルホンリョウダイもヤマカツエースも立派な馬体になり、気性の激しかったゴールドハンターもマルホンリョウユウも大人になりました。

アオノブラックの父であるケンジュオーは、競走馬時代は(途中から)金田厩舎にいました。
通算1000勝達成のセレモニーの際に、「調教師になりなさい、と背を押してくれたオーナーが……」と声を詰まらせる場面がありましたが、所有していたのは、その高橋一二氏(故人)。
ケンジュオー自身の競走成績は、重賞に出走経験すらないほどの、言ってしまえば平凡なものでしたが、釧路管内標茶町の坂井健一氏の牧場で種雄馬となりました。高橋氏と坂井牧場は、もともと親しい間柄だったようですが、あくまで自家生産専用といった意味合いのものでした。

その後、ケンジュオー産駒で競走馬となったのは、坂井健一氏の子息である坂井三智氏、および山口和子氏(アオノブラックの生産者。坂井健一氏の妹)の生産馬のみで、NAR検索では過去に14頭いますが、すべて金田厩舎に入っています。
その中から、バウンティハンター、アオノブラック、ゴールドハンターと3頭の重賞勝ち馬が生まれました。ほかにもコマサンエースがいて、1500勝達成のボンヌールも。
ちなみにコマサンエースの母クインフェスタは、坂井三智氏生産、高橋一二氏所有、金田厩舎所属馬で2014年度(15年1月)のヒロインズカップを勝っています。コマサンエースを生んだ後に坂井牧場が馬産をやめたために売却され、ヤマカツエースの前に立ちはだかるキングフェスタの母となりました。
蛇足ですが、アオノブラックの母ノリノメイチャンも、坂井健一氏生産、高橋一二氏所有、金田厩舎所属馬でした。山口和子氏は今でもアオノブラックのことを、幼名の「カンタ(完太)」と呼んでいるそうです。

ばんえいは、この手のつながりが残る競馬ですし、探せばほかにも似たような例はあるかと思います。
それでもやっぱり、このラインは一ファンから見ても特別なような気がします。ケンジュオーはすでに世を去っていますが、産駒に対しては金田先生の思い入れも強いのではないかと想像します。
ましてや母も管理していたアオノブラックがばんえい記念を勝つようなことがあれば、間違いなく泣いてしまうでしょうね(^^;

子息にして所属の金田利貴騎手も、今季は一皮むけた印象がありますし、さらに大きな力となるはずです。
もうすでに十分過ぎるほどの実績を残していますが、調教師としては現役最年少の51歳。これからどれだけ勝つのか、どれほどの名馬を輩出してくれるのか。この先、10年20年とトップに君臨し続けることでしょう。
間違いなくばんえい競馬の歴史に名を残す名伯楽、さらなるご活躍を大いに楽しみにしております。