当レースの回次が示すように、柏林賞→銀河賞→天馬賞という4歳シーズン三冠路線が整備されたのは帯広単独開催になって以降と、決して歴史は長くないが、これまで4頭の三冠馬が誕生している。柏林賞と銀河賞を制しながらも二冠で終わった例はないが、他馬も上昇を示し、オープン格付馬が6頭も揃う史上空前のハイレベル、二冠馬の近走の乱調もあり、当確ムードは薄れてきた。馬場は前日同様に軽め、荷を積むとはいえ経験済みの馬も多いだけに流れは少し速くなりそうで、各馬の位置取りと仕掛けに注目。世代最終決戦の結末は。
(定量:760キロ)

二冠馬キングフェスタは、柏林賞も銀河賞も一頭抜ける完勝、世代限定戦を9連勝中と、他馬を圧倒。ただ、11月に復帰後の四走のうち三度までも障害で乱れ、今季は勝ったレースを含め半数ほどでスムーズさを欠いている。障害が安定していた昨季とは明らかに違い、軽馬場で前に引っ張られる流れだと、やはり不安も。それでも世代同士に戻っての定量戦なら慌てる必要はなく、課題は一点のみ。無難にまとめれば突き抜けて三冠。

柏林賞2着のヘッチャラは、キング不在だった8月のはまなす賞を制覇。登坂力としぶとさに自信を深め、もう迷いはない。銀河賞では一気に交わされ3着と、決め手比べでは敵わないが、重量経験では上回り増量歓迎。馬場は重いほうが良かったが、先に動いてまずは障害勝負、あわよくば後続のミスを誘発したうえで、終いのかかる展開に持ち込みたい。ここ目標に叩き三戦目でデキ絶好、自身とて苦しくなろうと、強気に出る。

ヤマカツエースは、柏林賞3着、銀河賞2着。二走前には古馬相手のドリームエイジCでも3着と健闘し、馬体も増えて今季さらに成長。自身も下りてから歩けるほうだが、銀河賞同様に、絶対の自信を持つ登坂力を活かして先に下ろす形が理想か。末のひと押しの課題は少々残るが、2歳時にヤングCS勝ち、世代重賞でキングを破ったことがあるのは本馬だけ。直前に軽量戦を一本走らせる意欲策、渾身の仕上げで最終決戦に挑む。

ツガルノヒロイモノは今季8勝。昨季よりクラスが上がってどうかとも思えたが、古馬オープン相手でも伍して戦えるほどの地力をつけ、さらに充実。重賞ではこれまで結果を出せていないが、760でも特段に不安なく、末に緩む面も改善が見られる。道中から厳しくなる流れへの対応がカギとなるが、軽めの馬場は歓迎材料。少しタメて切れ味を活かす形もとれるし、前後半のバランスを意識しながら運びたい。ひと押し利くか。

クリスタルコルドは銀河賞は8着だったが、その後の上昇急。障害のカカリが良くなり、下りてからも速い脚を使ってよく歩き、もとより晩成型の評価だったが確実に一段階上がった印象。本質的には終いのかかる追い比べで良さが出るが、近走は古馬オープン相手に時計が速くても対応している。増量で障害への意識は強くなろうが、銀河賞時よりも、はるかにデキが良い。昨夏に重量連勝の実力馬が大一番へ向け態勢整った。

昨季の菊花賞で2着の星があるヤマノコーネルは、障害に課題が残る中でも近走のリズム良く、仕上がり上々。たとえ止まった後でも即修正できるようになったのが、たしかな地力強化とデキの良さを表している。今回は相手強化の増量で、まずは障害を大事に構えるだろうが、下りてからは良い脚を長く使えるし、追い比べの形になれば決して引けは取らない。下りる位置次第では上位進出も十分に可能で、要注意。

昨季のオークス馬ダイヤカツヒメ。オークスは人気薄だったが、5月のカーネーションCではハンデがあったとはいえサクラヒメを完封と、力は本物。10月に復帰後は良化スローで四走前のクインCこそ案外だったが、前二走で上向きを示し、もう本調子。スピードがあり障害巧者、切れ味も水準以上で、末に苦しくなっても歩き切れる我慢強さもある。軽馬場が最も利するのは本馬で、積極策に出れば牡馬相手でも楽しみある。

アローリキヒメは740は初となるが、今季は特別2勝に加えクインC勝ち。好馬体に実が入り本格化、積んで良い可能性は示唆している。経験豊富な牡馬の強豪が相手となるだけに楽ではなく、どこまで出られるかだが、ややジリっぽく決め手には欠けるだけに、ある程度の位置で下ろすことが好走条件。厳しい流れの中でも前々に攻めて活路を開けるか。

今季は充実一途のシンエイアロイは、クラスが上がっていく中でも大きく崩れず、クインCで僅差の2着、銀河賞でも終い脚を伸ばして5着と健闘。若いころはやや一本調子の印象もあったが、力をつけて末脚強化、障害も安定しており、初の740にも対応できそう。ここは相手が揃っているし、切れ味でも劣るが、再度の善戦は可能で着十分。

2歳時から素質を示していたホクセイウンカイは今季の地力強化が目立ち、柏林賞と銀河賞でともに4着。線が細く映った馬体も幅を増し、本格化ムードが漂う。特別への出走機会が増えた今季は十分に経験を積み、一時期課題だった荷物への対応も、もう不安ない。前走こそ障害でややモタついたものの、本来は巧者の部類で、増量でも即修正は可能。ハンデの恩恵はなくなったが、ここも上位食い込みはあり得る。