少し前のことだが、11月6日の金曜日、近しい親戚の法要があった。
私も幼いころは大変お世話になった方で、平日ではあったが有休をとり参列した。

法要が行われたのは美唄市だったが、その前にこれも親戚のつながりで札幌の白石区に用があり、それを終えたのちに美唄(あ、ビバイと読みます)へ向かった。
時間に余裕があったので、高速道路は使わず、国道12号で札幌から江別と岩見沢を抜けて美唄へ。


法要がつつがなく終了し、ひと通りの挨拶を済ませ解散。
札幌の西区にある自宅への帰り道は、美唄からだと、北村方面への裏道から新篠津を抜け、あいの里から発寒、というルートが、交通量も少なく、近くて早い。(道外の方にはサッパリわからないでしょうが(^^;)
だが、ふとした思いつきで、来た道を戻り、再び岩見沢へ向かった。

思いつきとは、「岩見沢競馬場の跡地へ行ってみよう」という、それだけのこと。

2006年までは、ばんえい競馬の開催が行われていた。
私も、何度か行ったことがある。

ウィキペディアを一部引用すると、

ホッカイドウ競馬が1997年(平成9年)に撤退、市営のばんえい競馬も2006年度限りで撤退したため、2006年(平成18年)10月2日の開催をもって休止された。
休止後は、開催中に行われていた競馬場内での場外発売・払戻業務は一切行われず場外発売所「ハロンズ岩見沢」のみで実施する形とし、その後スタンドなどの施設はすべて解体された。

この記事を読んだことはあった。


距離でいえば札幌からそれほど遠くない岩見沢だが、行くことは意外と少ない。
せっかく近くまで来たのだから、ちょっとだけ寄り道してみよう。競馬場はなくなっていても、跡地を示す何かしらのものはあるかもしれない。ほんのお遊びで行ってみるか。
そんな軽い気持ちだった。

美唄方面から行くと、岩見沢市街の手前で左折して国道から住宅地区へ入り、登り坂を越えたところの、少し高台にあった競馬場。
朧げな記憶はあったが、何しろ二十年近く前のこと。
「んー、この道だったっけ?」
方向的には間違っていないはずだが、記憶は甦ってこない。


そのまま進んで行くと、忽然と目の前に現れた。


 

「…あっ…あぁーー?!!」



慌てて車を止める。

車から降り、歩いて少し近づき、その姿を見つめる。

 

 

胸が震えた。

私は間違いなく、このスタンドから、ばんえい競馬を見たことがある。

その時行われていたのが、どんなレースで、何という馬が勝ったかなどは全く覚えていないが、金山明彦も坂本東一も西弘美も、ソリの上で手綱を握っていた。その記憶はある。

 

 

辺りを見回すと、知らぬ間に、かつて競馬場の敷地だった場所に入ってしまったようだった。

↑一番最初の写真の、道路左手にある、現在市民農園となっている場所は、以前は厩舎地区だった。開催中には多くの馬が繋がれ、厩舎スタッフが寝泊まりしていたことだろう。

 

↑岩見沢乗馬クラブ。一目見て、今は営業していないとわかる外観。それでもまだ看板は掲げられたまま。

 

車に戻り、移動しながら周辺の様子を見てみる。

↑少し離れた場所からだが、裏手から見るスタンド。

 

↑掘り下げ、旧競馬場内を突っ切るようにしてできた、新しい道路。

スタンドの写真は、左手に延びている道路上から撮ったもの。

競馬場があった当時はもちろん繋がっており、左側の厩舎地区と、右側の馬場とを、馬と人が行き来していたはずだ。

 

もう少し近くまで行きたかったが、関係者以外立入禁止と遮られていた。

 

見た感じ、中へとつながっているような道。

この手前に車を止め、歩いてバリケードをすり抜ける。

進んで行くと、入場門も残されたままだった。「岩見沢競馬場」と刻まれたプレートが変わらず埋め込まれていた。

長年の雨風によってガラスが割られた入場券発売所に残る、「100円」の文字。入場料は、当時も今も変わらない。

重賞レース案内には「8月24日」とだけ掲示されていた。その日に行われる重賞競走が何なのか、その欄は空白でわからない。

……なんてね、過去の記憶をもとにした妄想ですよ。何しろ立入禁止ですから。もちろん写真など載せませんありません。

 

 

 

かつて、岩見沢には、競馬場があった。

 

 

暑かった。

焼き鳥が美味かった。

口頭の穴場で馬券を買った。

 

 

今もまだ、スタンドは、残っている。