(元記事)
https://laughingsquid.com/art-of-making-paper-props-for-film-and-tv/  by Lori Dorn Oct 18, 2018

 

(内容)

 

Great Big Story がロス・マクドナルド(Ross MacDonald)を訪ねた。彼は才能あるイラストレーターであると同時に紙に関する小道具マスターでもある。25年に渡り、彼は時代に即したアイテムを作り続けてきた。地図、日記、指名手配ポスター、政府報告書、マッチ、煙草入れ、新聞などである。彼の技術は熟練だが、映画やテレビの仕事を前にすると今も謙虚な気持ちになるようだ。

 

 

映画やテレビを見ていると、役者が雑誌、本、手紙なんかを手にしているのを見るでしょう。あなたがスクリーンで見るこうしたものの多くが、僕のような人によって作られたカスタムメイドです。紙切れのような小道具でも、仕事をちゃんとこなそうとすると、その可能性は文字通り無限です。たった一枚の紙切れが、その役柄やシーンについて、観客に多大なメッセージを伝えます。この紙切れがいかにストーリーで良い役割を演じるかが重要なのです。

 

私の名前はロス・マクドナルド。映画やテレビ用の紙の小道具を作っています。


子供のときはコミックや紙やイラストのことで頭がいっぱいでした。紙を読んだり見たりして感じる世界が本当に大好きでした。あらゆるものを手掛けてきました。何年も雑誌や新聞のイラストレーターとして仕事をしてきました。最終的に小道具を作る世界に導かれたのです。


この25年、たくさんの紙の小道具を作ってきました。50以上のテレビ番組や映画のためのものです。最初のメジャーな映画は「赤ちゃんのおでかけ(Baby's Day Out)」です。1930年代の子供用の本のイラストをするために雇われました。「ボードウォーク・エンパイア 欲望の街(Boardwalk Empire)」というテレビドラマでは、5シーズン全てに携わり、数えきれないほどの紙の小道具を作りました。「Parks and Recreation」の回では、ポーニー族の憲章も作りました。映画「ジョイ(Joy)」では、モップ用の特許状をすべて作りました。映画「ヘイトフル・エイト(Hateful Eight)」では、レッドアップル煙草缶も作りました。パスポートも、地図も、旅行書類も、指名手配ポスターも、政府の書類も、FBIレポートも、精神病カルテも、エージェントのIDホルダーも、全てデザインしたこともあります。全て紙から作られています。


紙の小道具を作るときに理解しておく必要があることの一つが、その背景にあるストーリーです。新しい本を入手して茶色いインクを塗りたくって古く見せてはだめです。どのように擦り切れたか、どのように汚れがついたかを理解しなくてはなりません。

 

 

このシーンには役者が手紙の中の三行を読むシーンがありますが、これもちゃんと分かっておかなくてはなりません。これどのくらい古いものか。どんな紙からできているのか。どのように作られたのか。カーボン紙で作られているのか。たまねぎの皮を使って作るべきか。ポケットから出したしわくちゃのものなのか、それともファイルホルダーから取り出したものなのか。紙の色はどうか。黄色、白、アイボリーか。誰がサインするのか。手書きはどう見えるのか。どんなインクを使っているのか。どんなペンを使っているのか。その上で、三行だけの手紙なんてありえないので、その他の部分も作り出さなければなりません。

 

ものによりますが、この仕事は一日や一時間のこともあれば、何週間も何か月もかかる場合があります。全てのページを完成させます。全ての本にはちゃんと文字や絵が描かれています。ファイルホルダーの全ての紙がちゃんと記載された書類です。


たとえば、「ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記(The Book of Secrets)」では、何か秘密を考えてくれと言われたので、わかりました。それじゃあ、ロズウェルをやりましょうとか、ケネディ暗殺をしようとか、クレージーな陰謀理論めいたことをやろうとか言っていました。その後、そうした特別な事項について調査しました。すべてを明らかにした上で、納得したものの作り方が分かるのです。とても大がかりな仕事でした。そうした小道具を実際に作るのに4か月もかかりました。その小道具がこのシーンでほんの一瞬出ています。

 

紙については、驚くほどたくさんのことがあり、私が作っている小道具はその全てが含まれています。時々映画館に行くと、とてもエキサイトして身震いするほどです。それは自分が作った免許証を見たいからではありません。映画に関するほんの小さな部分しか携わっていませんが、それこそが私にとって本当にわくわくすることなのです。結局のところ、こういうものを作るのは、くぎ打ちが上手くなるようなもので、時々「ワオ」と言いたくなるのです。最後の作品でそういうものを見る時、取り組んだ仕事がこの物語の中で何物にも代えがたい瞬間であり、それは本当に素晴らしい感情が湧いてくるのです。

 

(Ross MacDonald)