長らく、こちらのブログ及びレポートやレビューの活動を休止させて頂いておりましたが、今年から少しづつ再開していきたいと思っております。どうぞ、温かく見守ってくだされば幸いです。
そして、その再開して最初のレポートとなります、今回は1月16日に高田馬場四谷天窓にて行われた「日々に色を〜スペード〜」という『スペード』という新曲を作って演奏するという楽曲縛り企画イベントより、 織田 智朗 さん(以下、織田)のライブの模様を書かせて頂きます!
当日のセットリストは以下である。
①灰色スニーカー
②深夜徘徊
③言えない秘密
④ばかやろう
⑤スペード


寒気が厳しいこの時節に、一際熱い対バンイベントが高田馬場の一画で催されていた。居酒屋のような粋なステージと、ジャズバーのようなムーディーな仄暗さの中、渾身の新曲を引っ提げたシンガーソングライター達が寒気を暖気へと変貌させる。混ざり合ったり、剥離したり、チグハグなようで、それは彼らオーガナイザーの手によってアコースティック離れした熱い音楽という灯火となっていた。
トリ前の登場となった 織田 は、スポットライトに照らされゆっくりと『灰色スニーカー』を歌い始めた。早送りのように情景が流れゆくような爽風感と、それを共に味わっているような連帯感が押し寄せる。「走って」という言葉を体現するようなメロディックな旋律が彼のメロディ・メイカーとしての力量をまざまざと見せ付ける。
1曲目が終わり、「ああ、1月も真ん中に来ちゃったよ…(笑)」とボヤく様は、寂しさが滲む半面で、これからの新たな1年への期待値の高さが顔をのぞかせていた。その期待は小さな希望の光となって、続く『深夜徘徊』へとバトンを渡す。物語を朗読しているような感傷的な歌声が、若者のアンニュイな心情を大切に歌い上げる。自分には帰ることのできる家がある。その当たり前に注がれた事象は、時に自身の存在を明瞭なものにしてくれるだろう。「生きる意味を探してる」というフレーズが天窓内に木霊し、そのストレートな言葉に客席は息を飲んだ。
「皆さんには好きな人がいますか?」と少し擽ったそうに微笑みながら問う織田の柔和な雰囲気に和む会場。そして、独自の恋愛観を語り始め、「心から好きな人の前に立つと、人は臆病になると思うんですよ」と語る。そんな自身が想像する男女の恋愛模様を淡く奏でる『言えない秘密』が静かに始まった。男性である織田が女性の心理を歌い上げているのに、そこには微量の色香が漂い、ファルセットはギターの甘く切ないピッキングと相まって魅惑的な色を帯びていた。「あのね…」と語りかけ、その先の言葉を口には出さないもどかしさは、次の『ばかやろう』で、また別の意味のもどかしさとなってリレーされる。「あの頃と思い描いていた20歳とは、かけ離れたところにいる自分がいる。そんな想いを持ちながら、書きました」とMCで語っていた織田の、芯が通ったエッジのある歌唱に、オーディエンスはまた違う世界へと誘われていく。格好が悪くても歩みを止めない、「夢は落ちてはいない」というフレーズが会場に放たれる度、ハッとさせられていく場内の空気の楽しさは、織田の音楽を足し算ではなくかけ算にして、更に輝きを増すのだ。そんな可能性に富むかけ算は、織田の自直で前向きな音楽の中へと溶け込んでいく。
ここで、最後の演奏となり、本日の主役とも言うべき『スペード』について言及した。スペードという縛りの中、トランプを思い浮かべたという織田。「ドラクエとかRPGのパーティーみたいですよね!伝わるかな、これ(笑)」と少々困り気味で問いかけると、会場からは笑い声が漏れ聴こえた。少々言葉足らずな説明に、フロアからフォローの声が聞こえるほどラフな雰囲気に恐縮する様は、年相応の青年だと感じさせる。そして、戦士をイメージして作ったという新曲『スペード』は、静かなイントロから始まり、Aメロの動きの強まるメロへと、正に戦士のごとく成長していく。「ゆけよ/その足で」「自分がモンスター」などの独特なフレーズ、中毒性のあるリフが、歌の中のストレンジャーをより身近な人物のように錯覚させていく。そんなとびきりのパッション溢れる新曲を演奏し、深々と頭を下げ、織田のステージは幕を降ろした。
実に素直に自分と向き合う彼の音楽は、実に輝かしい。だからこそ、これからが勝負の時になるのだと今回のライブのレベルの高さから感じられた。
如何にして、織田智朗というオーガナイズを成立させ、呼び水のように音楽好きの人々を魅了させ続けられるか。
彼ならば、その先へその先へと自分のレールを組み立てて行けると思います。
これからが、必見の若きシンガーソングライターに要注目です。
写真提供:ご本人様から
※2枚目の演奏写真は、別日程でのライブでのお写真をお借りしております。ご了承ください。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
また、次回の記事でお会いできるのをお待ちしております。
ではでは。
