「息子さんの住所を教えてください。」


『ここの住所でええんですか?〇〇市△△ですわ』


「ありがとうございます。続けて…」


遺失物課の担当者はもっともらしい質問をいくつも投げかけます。


そして最後の質問です。


「ありがとうございます。では最後に息子さんはお父様の事をいつも何と呼ばれていますか?」


『なんや、その質問?

そんなん聞いてどないするんや?』


「はい、受け取りに来られる方が本当にご本人様か判断するために、様々な角度から確認させていただいております。」


『ほうか…何やろ、強いて言えば"おとん"やな』


「ありがとうございます。それでは確認は以上でございます。ご協力ありがとうございました。


遺失物課の担当者はお礼を言って電話を切りました。



そして直ぐに息子から連絡が入ります。


「おとん、鞄の件も何とかなりそうやから、万事うまくいきそうや!お金用意してもらうけど、ちゃんと返せるから安心してや!」


『そうか、ほんまよかったな。さっき鉄道会社から連絡あったさかい対応しといたで。』


「そうか、おとん、ありがとな!」


『それで金はいつ取りに来るんや?』


「それがやね、おとん…取引先の人が今回の件で怒っとって自分が直接説明しに行かなあかんようになってしまったんよ。せやから自分が行けんのや」


『なんや、話が違うやないか?ワシ知らんやつが来るんなら渡さんとはじめに言うたやろ?』


「いや、おとん、それが大丈夫なんや!」


『何が大丈夫なんや?』


鉄道会社から連絡が来るタイミングも質問の内容もおかしな点が沢山ありました。


詐欺への対応は注意喚起や事例の共有に留めずに

詐欺にかからないトレーニングを行うなど、実践を交えた対策が取れたら悲しい思いをする方が減るだろうなと思います。


親への注意喚起も一度では無く、会うたびにするくらい頻度高くしていきたいと思います。


続く