点滴も減り、入院3日目に
大部屋に移動になった。
左手の動きは鈍かったけど、なんとか頭に届いていたし、点滴棒を押しながら1人で歩いてトイレにも行けた。
そこに主治医が来て、歩くのを見せて欲しいと言って来た。
はい、と点滴棒を押しながら廊下に出た。
病室を出て右側のトイレの方向に少し歩いたところで主治医が
わかりました、では引き返してください
と言うので振り返ろうと、左から振り返ろうとして、あ、右の方が振り返りやすいか、と思った矢先目線が戻らず、あ!なんかおかしい!と思い
先生、なんかおかしいです!
先生、助けて!
と言った瞬間頭と手が痙攣を起こしてその場に崩れた。
先生は咄嗟に抱き抱えようとしてくれたが待ち合わず、そばにある、看護師が集まる部屋に助けを求めて、数人の看護師達に運ばれて、何か薬を入れられてすぐに痙攣が止まり目を開けることが出来た。
それから全く左手と左足が動かなくなった。
主治医に言ったら
あー、半日もしたら戻りますよ
って言われたのに、1日経っても動かない。
看護師に
先生に嘘つかれたー
ってぼやいたけど、まさかそれから半月も動かないとは思いもしなかった。
治療となったら、通院している大学病院で受けたいと思い、転院を強く希望した。
転移だったらもちろんのことだ。
主治医Hの口から出るのは絶望的な言葉ばかりだったが、今度は何を言われるかと思ったら
がんが脳の表面に出てます。
あとは全脳照射しかありません。
放射線か…髪の毛抜けるな…。
一層、早く転院したい、と言った。
どうか大学病院の脳神経外科が受け入れてくれますように!と祈る気持ちだった。
そして無事転院が決まり、倒れてから8日後に、大きな道路を挟んだ2軒先の大学病院に車椅子に乗って転院した。
だけどこの転院の内情は、
夫の働き掛けのおかげであって、主治医Hが大学病院に打診した時は断られていたらしい。
夫が大学病院の外科外来に電話をして、
ワタシの大好きな外科主治医にお世話になっていた事と今回倒れた旨を話し、
もう主治医はいないとわかっているけれど転院したいのでどうか助けて欲しいと話すと、電話対応してくれた看護師さんがワタシを覚えていて、
主治医の後輩の外科医に繋げてくれて、
お話を聞いてくださり、
↑この先生も8年前の胃がん手術に関わってくれた主治医の右腕的存在の先生だった。
転移であり、これから抗がん剤治療をするとなると定期的に経過観察していただいてる腫瘍内科のはずだけど、
主治医が3度変わっていて、胃がんを罹患した当時から携わってくれて、ワタシがずっと懇意にしている外科主治医には、自分も面識があり大信頼していることもあり、真っ先に外科へ連絡したとの事。
腫瘍内科の主治医にも後に今回の連絡はもちろん入っていて、お話をする事となる。。
次に夫が電話したのは
大好きな外科主治医の今いる病院。
今回の状況にとても驚いて、親身に話を聞いてくれて、大学病院にいる後輩に話を通しますから!と
言ってくれたのだ。
この時、外科主治医は夫に
この8年以上、再発もなく順調に来てるのに、
いきなり、それも頭に転移なんてありえない。
内臓に再発転移があったならともかく、急に
頭に行くなんてありえないです。
聞いたことも経験した事もない。
と話したらしい。
こういう経緯があっての転院。
ワタシは通い慣れた病院に来れたー、と少しホッとした反面、こんな姿で来る事になるなんて、と絶望も抱えていた。
続きます…。