摩訶不思議な色合いをした装丁が特徴のハードカバー小説。

Z世代が地球を掌握したらこうなるであろう、なストーリー。

 

あらすじに「起承転結」の“起”の部分がほぼ書いてあります。

実際は、超新星の誕生~爆発消滅までの過程を細かく描写してあり、興味のない読者には冗長に感じるかもしれません。私の場合は他作品、茅田砂胡作『スカーレットウィザード』に登場するジャスミンとケリーは、こういうところで鬼ごっこをしていたなと思いつつ読みました(笑)艦船と戦闘機で鬼ごっこをしたふたりのなれそめ。

 

超新星爆発による破片の一部が地球をかすめた影響から地球全土が高濃度の放射能を浴び、各国の首脳陣が対応に追われます。その結果、13歳以上の人々は浴びた放射能を除去できず余命宣告がなされました。そこで残される子供たちに未来を託すため、選抜が行われます。舞台となる中国では、モデル校となっていたクラスの中から国家主席とその補佐を決めるチーム戦が行われました。以降、この三人の少年少女を軸に物語は展開していきます。

 

最高齢13歳となった国家、量子コンピューターのサポートを受けながら広い国土全体をくまなく統治できるでしょうか。また、ある日突然残された幼い子供たちは、何を起こすでしょうか。生まれながらにネット時代を生きる彼らの想像力とはいかに。

 

責任ある立場に置かれた主人公たちが12歳以下の子供たちから多数決の理論を持ち出され困ったり

「そうなるよねー」なんて思いつつ読みながら、

国連から連絡が入った主人公たちがアメリカ本土を訪問したらさらに凄惨な状況が描かれていて。ゲーム感覚で銃撃戦をしており、中国から見たアメリカの実態はこうなんでしょう。

そのアメリカでは大統領が「アウトプットがインプットを上回って当然」と話しています。

アウトプット-インプット=X、この“X”は非常に意味深です。

そんなアメリカとの外交は意見の対立を生み、国家のリーダーから地球のリーダーを決める争いに巻き込まれていく主人公たちは様々な決断を強いられます。

不安定な国内情勢を抱えた各国首脳たちは、どこに打開策を見いだすでしょうか。

 

そうして最終章の最後にきて、いきなり話が飛んだのでビックリします。地球の中だけで収まらず、舞台が火星に変わっていますした。そこも資材や人の不足で市民ボランティアが設備の維持に努めていまして、“国家”の意味をはかりかねます。

でも実際、国家を動かせる人々は世代を問わずかような感覚でもって運営しているのかも。市民の目線とリーダーの目線とが同じものを見ているとは思えませんもの。