大河ドラマに紫式部が起用され、

書店では特設コーナーが設けられ作品の『源氏物語』と共に書物が並び、

大々的に脚光を浴びております。

このお話は「封建時代」を舞台にした物語であり過去の遺物ですが、過去にしたくない人がいるのかもしれません。共同幻想から目覚めたくないあまりに具現化したいとか(笑)

 

これは源氏物語を読んだ私が医師から指摘を受けたことで、

「15歳の少女が初見のストーリーの中にふたつの宗教が存在することを読み取れるなど、非常にレアなケース。決して“一般的”ではありません。学生が、義務教育を終えるや終えないやの年齢の子供が、物語についてそこまで深く読み込めることは稀」

このように告げ、情報の拾い方が違うようです。

おおよその人は書物を何度も読み返し、大人になり天皇家と臣下や民衆の信仰が違うことを初めて気づくそうです。だから何度も読み返す意味は大きいし、年齢ごとに新たな発見があり新鮮味を感じることもできるらしい。

 

保護者のみなさまは、このような学生の観点を考慮してお子様を指導してあげて欲しいと思います。

 

そうして古典文学の対比によく利用される

源氏物語作者の紫式部と、

枕草子作者の清少納言の女性ふたり。

厳密には直接出会うことがなかったであろうと推測され、風聞で噂を聞く程度ならあったかもしれないけれど、当時の習慣に則れば言葉を交わすチャンスは存在しないと言われています。

でも現代人は、類まれなるふたりの才女を比較し、競い合う関係を想像してライバルに置きたいみたいです(笑)(笑)なぜにこうも争いの火種を生みたいのか私はしらんけど。

 

それもこれも、時代背景を知らずに、大学等で専門的な講義を受ければ知る情報を高校までの授業では取り扱わず、文面だけを見て現代の風習にあてはめ想像するからではありませんか。

そうして発生する「おもしろおかしいネタ」が蔓延し、常識の一画を形成するのでしょう。

 

こちらは、そんな「おもしろおかしいネタ」をふんだんに含み、少しの真実を交えて清少納言の“人となり”を描いたコミック。

 

『枕草子』を読むとたくさんの発見があり、現代人からしても非常に興味深いものでして、

学校で主に習う「はるはあけぼのー」のくだりには叙情詩的な側面を打ち出した学習を求められておりながら、全文を読めば世間への評論から男女の交わり、果ては宮廷の人間関係や所作による人物評価まで、あらゆることが書いてあり叙情的な一面ばかりではないことが知れます。叙情的は情動的とも違います。

このような文面から推測される清少納言の人物像ならば、本コミックのようなキャラクターを想像することを私もはげしく同意いたします!実際、ライトノベルに描かれる清少納言を主人公にした物語でも似たような、物怖じせず才覚を隠すこともなく辛辣な口調で殿方とわたりあう姿を描く作品は多くて。「今めかしい」と申しましょうか、そこが紫式部とコントラストを形成し人の心をざわめかせるかとも感じます。

 

ところが、ここに時代によるコンテキストを加えたら、

紫式部にも清少納言にも所属する派閥があり、それぞれに背後にいるパトロンの存在があきらかになります。高校までではこの部分を学習しないまま、文面だけを取り上げて教材に使っています。これが一般教養と受験勉強の違いながら、大人は誰もそれを教えてはくれないでしょう?

 

「勉強しなさい」と言う大人はたくさんいても、

「教養を身につけなさい」と言う大人は存外に少ないもの。

かような人々で現代社会は構成されております。

 

それぞれのパトロンが政権争いをしていたら、女性作家ふたりのポジションはどうなるでしょうか。

それぞれの派閥の領袖が彼女たちの得技を見いだし、宮廷内で彼女たちが広報担当として作文していたとしたらー

「うちのサロンはこんなに凄いんです!」このような後宮内の栄華をアピールするよう仕える主人の父親から指示を受けておれば、作品は立派なプロパガンダとなり世論へ影響を及ぼしませんか(´・ω・`)?そうして更なる有能な人材を派閥へ引き込むことに成功すれば、巨大な組織へ成り上がれます。

そうすると、書き手の人物像は文面からだけでは推測困難になります。派閥の意向をいかにナチュラルで耳目を引き寄せる文面に仕上げるかが重要になり、書き手の御心に沿ったものとは限らなくなるので。したらば清少納言とて、上のコミックのような派手なキャラクターにはなり得ず、仕事として作品を描く職業婦人、ライターのひとりでしかありません(笑)(笑)

こちらのコミックには、紫式部のパトロンであった藤原道長も登場しています。清少納言の物語ながら紫式部派閥の内情にも触れ、今後に両者が同じ画面にー大河ドラマの視聴率次第では世論を迎合してー登場するかもしれません。

 

まだまだ寒い日が続きます。

コタツでみかんサイダーを飲みながら、女性社会を心意気高くしたたかに派手な活躍を見せながら生き抜いていく清少納言を眺め、奇想天外な展開を抱腹絶倒して心身ともに温まりませんか。

 

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冥界から見た「光る君へ」。

昨年から引き続き渦中の人となった林真理子先生が、紫式部を読み解きます。視点が違うと人物像はこんなにも変化する一例です。

かよわさと健気さを武器にして闘う女社会の恐ろしさよ〜