関係性にクローズアップしないとBLにならない。心の動き、絡み合いには力を入れてきた。

 

こう話す凪良ゆう先生の文芸作品

 

代々続く「縁切り神社」の敷地に立つマンション。

社殿は屋上へ上がり、先代宮司夫妻の尽力により鎮守の森のようなルーフガーデンに囲まれた中にひっそりと佇むお社は、地域の人々の憩いの場にもなっています。

このマンションに住む30代独身男女が抱える悩みとは?

 

読みながら、

ゲイを公表しているロウくんが、一番まともな人な印象はさすがです。

ほかには、

暑苦しい体育会系しごき体質の業界で鬱病にかかったの弟くんや、

現実逃避して集中力のないキャリアウーマンや、

堅物で潔癖症の兼業宮司など、

それぞれの生き様が描かれています。

 

リンク先を開いて本文の2ページ目に中ごろに“ダンカイセダイの特徴”が書いてあって

『働き盛りとバブル景気が合致したせいか、時代の最盛期を自分たちの力だと錯覚していて、やたら押しが強いのが特徴だ』

『こじらすと本当に厄介なんだ。とにかく圧がすごい。海外支社向けの訓示とか、どうして表現がいちいちあんなに暑苦しいんだろう』

 

これは世代の特徴といおうか、人柄の特徴であってどの世代にもおりませんか。基本的に、ストーカーの特徴も同じでしょ(´・ω・`)?

不可解な自信に満ち、好きなことへ集中して前のめりが、欲のだだ洩れが圧に変換されるに過ぎず、何がいけないやら理解してないもの。

 

実際、作中に登場しています。

スタイリッシュで都会的なロウの元彼は、親の期待に応じるためにロウとの同棲を夜逃げ同然に解消して結婚。その数年後、郊外に建つマイホームに臨月の妻を残し、ロウへ復縁を迫りました。

全人類から敵視されそうなこの元彼はゲイでけバイセクシュアルのようですが、復縁を迫る熱意は重圧をかけて狂気を感じるほどの粘着力。ロウと並べば女々しさは一目瞭然ながら、元彼単体で見たときに力強く立派な人物と呼ぶのはなぜですか?

こういう人がリーダーに立てばハーレムが必要になりそうで、ロウは会話が成立していないと感じています(笑)

 

また、物語後半には鬱病を治療中の弟くんが、

『おばさんたちは、ただデリカシーが足りないだけだ。ざっくばらんとかおおらかとかいう言葉で自分を肯定していく人間には勝てない』

とも述べていて、利己的な人物像を表現しています。自分を疑うことがないのだろうけれども。前の“ダンカイセダイの特徴”や元彼も、あてはまります。気配りしない人だから元気であることも道理、配ってないので取り込む一方。

 

こういうタイプは「謙虚」と「へつらい」を同じ意味合いで考えておりそう。元彼はエゴと愛情の区別がないようで、「甘えること」を「愛情」と信じ迷いなくて。

 

ただひとりの女性キャラなキャリアウーマンは職場でお局と化し、

伝票入力しながら「宝くじに当たったら」の夢を並行して見ています。

ケアレスミスやスピードが遅くなったりしないのかしらん、入力オペレーターの期間バイトをしたことのある私は気になりました(笑)

でも、私の身の回りにも、彼女のように元カレと会うことはできなくても一途に思い続けて未婚の女性はおります。遠い話とは思えません。

 

最終章ははじめに戻り、百音ちゃんの気持ちがよくわかります。

『相手不在の親切』は優しさにあたるでしょうか。私も子供の頃から、ずっと気になっています。これが固定観念や先入観の正体ではありませんか。

 

実在しそうな人々の個性をちょっと強調したキャラクターたちの日常、ありふれた物語かもしれませんが、身近に感じられるストーリーでした。