先日、ライトノベルを含め本を売りました。カバンから出し入れする際に誤って表紙が5ミリほど割けた一週間前に発売された新刊ラノベだけ、キズモノだから買い取り不可になりまして。イラストには影響なくかどの部分だけど。

ここまでは想定内でした。

そのラノベを持ったスタッフさんが、不可を伝えた後のひとことは

「こちらで処分しましょうか?」

陽気な笑顔で言われました。「どうなさいますか?」や「引き取りましょうか?」ではなく、

まだ書店で山積みの最新刊を傷ありとはいえ、中は使用感もない本を「処分しましょうか?」

もちろん丁重にお断りして、買い取り代金ともども受け取ってきました。

ネットで中古の本やCDの詳細説明欄には、「外装を含めて経年劣化や使用に差支えない程度の汚れや傷のある場合」を了承してポチるよう掲示してあります。私はクレーム入れたことはないのだけど、再生できなかったCDだけは交換依頼したことがある程度。

スタッフからは思わず出たひとことだろうけれども、「処分」を聞いた瞬間に色々な発想がわき上がった痛い体験でした(笑)

 

さて、本題

 

怪しげなタイトルながら、

社会はこの方向へ進みたいのであろう、

私もそう思います。

 

 

一般的に、

人間と人造人間とアンドロイドとロボットと、

その違いを説明できる人は、どれほどいるでしょうか。

現在、多くの人気コンテンツでは《魂》に着目しており、

有名なデスゲーム作品が拡張現実の仮想キャラに《魂》を付加したケースならば、

こちらは、現実に存在する人類以外にも《魂》を搭載したケース。自己学習によりアップデートするので個性を持ち、汎用性も広がります。

 

核拡散により生存可能域が極端に狭くなった地上で、海上に建造されたピラミッド型人工都市、キヴィタス。

あのデスゲー厶は海上にある本社から投影された100層の城でしたが、こちらは最上階が56階層。その最上階にある情報庁所属のアンドロイド管理局へ、研究者兼技術者として着任した新卒の青年エルは、全寮制の母校を首席で卒業しています。この階層に邸宅を構える住民は洩れなく特権階級の富裕層になり、隷属するアンドロイドを多数使っているので需要が多い反面、不法投棄や脱走も増えます。そんな一体の人型アンドロイドが動物型アンドロイドに襲われているところへ出くわしたエルは、機能低下状態の動物型から人型を保護しますが、余計なお世話と罵りを受けました。

 

こうして出会った新人公務員と、持ち主不明のアンドロイド。空気が読めず言葉少ない技術者と多弁で世知に長けたアンドロイドは、互いの不足を補えるパートナーとして、諸々の手続きを放棄し極秘裡に同居をはじめます。

このように、社会人一年目の学習意欲の高い使命感に燃える青年と謎多きジゴロタイプの野良ですが、ラボ兼用の自宅にはアンドロイドのメモリー解析装置があり、案外しっかり者の青年です。そのメモリーを洗いだしたことから、事件へと繋がっていきます。

 

こういう設定の作品の多くは、一般市民と特権階級の乖離や人権問題など未整備の問題がたくさん内包してあり、正義の定義も曖昧になります。

きっと、現実がこの世界の技術に追いついても、問題は増えこそすれ減りません。だから拡張現実と平行して、逃避先を確保しつつ技術者革新が起こるのではないかしらん。

実際に人類に、主に権力者にとって有用な世界はどちらにあたるやら、研究の本懐はそこになりませんか。

 

また、このような世界観の物語を私は好きなのですが、

当作品の主人公は、一方が天才でありながら日常生活の面においてはあまりにも杜撰で(笑)彼は胸中に湧く感情を考えても適切な教本が脳内にないから回答を得られず、中途半端なまま思考を放棄し目の前に提供されたテーマに飛びつきます。よくある天才肌の、寝食を忘れて没頭または暴走するマイペース天然タイプ。これまで研究にしか興味のなかった青年が、はじめての単身暮らしを通して社会との関わり方を考える必要に迫られ、アンドロイドから叱られながら対人スキルを覚えようとする真面目さはいいけど、

意思疎通ができているとは言い難く、本人が納得してるからいいのか?

強化ガラスに覆われた人工都市の外では未だ領地を確保しようと争う二大勢力があり、一見して秩序を保てているような雰囲気にあるガラスの温室では、世間でも彼らにも何が起きているのでしょうか。

 

こうした世情も、スウィーティな新生活がはじまったふたりには、どうでもいいことかも(笑)

 

しかし現実問題として、

自律型アンドロイドが社会を支え

VRなど拡張現実内で人間がヒーローになる将来像って、

きな臭くありませんか?プロデューサーは誰かしらん。

 

この作中では

「世の中を動かしているのは声のでかいやつで、声のでかいやつってのは金と権力を持ったやつらだ。下働きの機械のことじゃない。だからあんたのところには、人間の面倒を押しつけられたアンドロイドが大挙して押し寄せてくるんだ。文句も言わねぇ、苦しいとも言わねぇ機械がよ」

アンドロイドがこう告げています。

 

ふた昔ほど前なら、「声のでかいやつ=ウルサ型」のフラグが着いて伝播されたものですが昨今は発信する場が増え、多チャンネル化や雑誌数の大量化からも窺えるようにフラグが機能しなくなっています。

伴い、言語中枢の機能は低下するのかもしれません。誰か、この分野も研究しませんか(笑)