村上春樹先生の著書『女のいない男たち』




多数の出版社から発売されているこちらの作品、
前書きについて触れたいのですが、
本編も既読しています。

ありそうでなさそうで、
いそうでいなさそうで、
短編ばかりが、サイケデリックな物語が、複数収録されています。

基本、タイトルが象徴するように、独身男性が主人公になっています。
独身でいる理由もさまざま。
縁を語る男性、
独身主義を貫く男性、
主義が揺らぐほどの恋に落ちる男性など、
物語によってその思想や思考も違います。

ミックスパフェやフルーツパフェのような一冊。

その一冊を開けると、まずは、まえがきがありました。
冒頭が
自分の小説にまえがきやあとがきをつけるのがあまり好きではなく(偉そうになるか、言い訳がましくなるか、そのどちらかになる可能性が大きい)、そういうものをできるだけ書かないように心がけてきたのだが、
って、始まります。

そうなんですよ(´・ω・`)
丁寧に書いたら、くどい
大雑把に書いたら、誤解が生じる

どう書いても、受け手の尺度により、枠に合わない指摘が起きます(笑)書くばかりでなく、会話でも、起こり得ます。

リアクションがない不満、リアクションが大きい不満、
遠い近いの距離感やら、
過不足が生じます。

春樹先生は、そうした発信が及ぼす影響に対して
自己が満足できる、とはならないのでしょう。
そして、書かないことで、指針の提示がなされません。

この一冊については、
『業務報告』的に(中略)邪魔にならないようできるだけ努めるつもりだが、
とも書いてあり、ものすごーく読者に気を使っておられます。あんなに人気がある、引く手あまたな売れっ子作家でありながら、
読者の邪魔にならないよう
しなければならないんですね(´・ω・`)

他人に対して
平然と邪魔を訴える人や
注意換気をする人は
なんだろうか(笑)

今、発売中の、文藝春秋に寄せたエッセイでも、
個人的な文章を書くことについての考え方を記してあり、
これは故栗本薫先生のまえがきでも見かけたことがあり、

一流作家の先生方って、控え目な方が多いのかしら。