落下の解剖学をAmazon 配信で見た。面白かった。

結果がはっきりしないので、自分で色々推理できるところが楽しい。以下、自分の考えとネタバレ。





 誰かがブログに書いてた。子どもが、犬を洗った直後に散歩に連れて行くのがなんか変だって。普通は散歩に行った後に犬を洗うもんだって言ってた。妙に納得した。散歩に連れて行こうと思ってなかったけど、犬を洗って乾かしてる時に大音量で音楽がなり始めたから、また両親が喧嘩するぞーと思って、喧嘩を聞きたくないから、急遽そうすることにしたんじゃないかと思う。

 子供が、「散歩に行く前に、お父さんとお母さんが話してるのを偶然聞いたけど、喧嘩じゃなかった」と最初に刑事さんに言ったけど、実際は多分何も聞いてなかったんじゃないかな。だって結構早く散歩に出ちゃってるよ。警察の捜査が始まると、両親が喧嘩してたんじゃないか?って感じになり、お母さんが加害者と疑われる雰囲気になってきたから、慌てて喧嘩してなかったよ(本当は何も聞いてない)と嘘をついたんじゃないかと思う。

 散歩中の描写があるけど、かなり子供がイライラしてる感じで犬に棒を投げてた。だから刑事さんへの証言とは裏腹に、(実際には口論を聞いてないけど、)多分喧嘩してるな、嫌だなって散歩中ストレス溜めてたと思う。

 で、事実は(今回に限っては)喧嘩をせずに事務的に静かに、両親は話しただけだったんだけど、子供が窓の下で会話を聞いたと言ったから、警察の再現実験で怒鳴りあってないと聞こえないはずということになってしまった。子供が気を使って嘘の話をしたのが、裏目に出る結果になったとおもう。

 でも、もうここまでの描写を見ただけでも、最後、子どもがお母さんを助けるための証言をする事がわかる気がする。

 で、事故か自殺か他殺かだけど私は自殺だと思う。

主人公である母親が、「父親は子供の前で自殺するような人じゃなかった」って言う。

 だけど、私は知り合いで自殺したお母さんを知っていて、本当にうつ病になってる時ってもうどうしようもないっていうか、何ももう考えられなくなって、今のこのあまりのしんどさから何とか逃げようって気分になるみたいなの。だから死ぬ時に子供に見られないように富士山のふもとの樹海とかに行ったらいいんだけど、そんな気力がもうないのよね。だから家の中とか家で発作的に死んでしまうものなんだよね。

 私もつわりの時はほんのちょっとだけ、もうこのしんどさから何とか逃げたい、ベランダから飛び降りたい、って思った時あるもんだから、この父親もあまりの切なさに発作的に窓から身を投げてしまったんだと思う。だから遺書もない。

 母親は、簡単に人に手をあげたり、殺したり、恨んだりするタイプじゃなくて、どんな状況でもその状況の中で自分が心地よく過ごすためにベストを尽くし、恨まず振り返らないタイプ。だから子どもも、お母さんがお父さんを、直接手を下して殺したんじゃないってことは確信してると思う。

 ただお母さんが自立していて強くてカリスマ性あるので、夢想家で繊細なお父さんが、精神的に追い詰められて、自殺に追いやられた、とは子どもも思ってるんじゃないかな。お母さんの仲の良い弁護士さんも多分そう思ってると思う。

それにしても、色々辛い思いある時、ピアノの練習って気持ちを昇華してくれる。


父親はフランス人。母親はドイツ人。法廷はフランスというのは、起訴された母親にとっては不利なはず。フランス語で話さないといけない。うまく話せない時は英語で。ドイツ語は使えない。元々フランスとドイツ自体が大阪と京都以上に仲が悪いから、法廷での母親の印象も元々悪いはずなんだけど。

なのに、母親のカリスマ性が凄すぎる。

法廷で証言していた父親のセラピーの先生が言う事も合ってると思う。でも、母親が、「夫婦のことは、夫婦にしかわからない。セラピーさんが父親と過ごしたかほんのちょっとの時間からの情報では、計り知れない」みたいなことを言ってねじ伏せた。びっくり。

 

 犬が、面白い。

最初に出てきた時は奥さんを訪問してた女の人を見て

「あ、お母さん、ごきげんよう、おや、お客さんですかね?」みたいな感じ。次に子供の散歩に付き合って、目の悪い子供をアシストしていた。で、帰ってきたら旦那さんが倒れてて「あれ、お父さんどうしたんですか?」みたいな感じ。

それからもずっと子供をアシストしてて、子供が思いついた検証実験にも体当たりで参加。

最後にお母さんが訴訟に勝って無罪を勝ち取って家に帰ってきて、子供を見て、その後疲れてソファーに横になった時にお母さんの横に来て寄り添ってくれた。

 犬が、「お父さんが死んでしまったことは残念だけど、仕方ない。残った家族で頑張っていこう」と言ってるように思えた。


母親はは強い人なので、これからも強く生きていけそう。子どもがちょっと心配だけど、とても賢い子だし優しいし、あの犬がついていて、そしてピアノがあるから、なんとかやっていくんじゃないかな。


今回は吹き替えで見たけど、フランス語、ドイツ語、英語といった言語の障壁、表現の曖昧さみたいなのが伝わらなかったので、その雰囲気感じるために一度字幕で見て、話す言葉の音の違い、ジレンマみたいなのを聞きたい。