2021サポーター's DVDスペシャルをお買い上げいただきありがとうございました。
チャプター17番について、撮影を担当した私バナプル山﨑隆一が解説します。
天候が恵まれない中,最後まで望みを捨てず
4機での展示を行うまでの解説です。
タイムはDVDプレイヤーの時間表示で、
作品の頭からの時間です。
1:15:41 ウェザーブリーフィング
ブルーインパルスは毎日気象隊から気象情報のアドバイスを受けます。
東北絆祭り当日の天候は良くありません。
日本海側には低気圧、エコーも点在しています。
エコーというのは気象用語でレーダーで探知された降水粒子
(雨粒や雪)のことを言います。
前線の通過に伴ってエコーの範囲が山形から宮城に広がって
いく予報です。
展示もさることながら、展示を終え無事に松島基地に帰還
できることも飛行の条件となります。
ブルーインパルスのT-4は練習機をアクロバット飛行用に改修した機体で、
ウェザーレーダーやGPSはありません。
天候は目視、位置の把握はポータブルのGPS受信機を使用します。
カーナビのように地図上に位置情報が確認できる
ものではなく正確な緯度経度を表示するものです。
1番機の後席に搭乗する名久井2佐が、
その緯度経度を紙の地図上でプロッ
トしてナビゲーションをしていきます。
1:16:42 河野3佐の役目
今回のフライトでは飛行班長の平川3佐が現地の地上統制で
不在のため、第2編隊長である河野3佐が隊長を補佐します。
視程が悪い場合は1機ずつの離陸になりますが松島の天候が
回復傾向にあるので2機ずつ離陸し、
訓練空域の金華山上空で集合するという提案をしています。
最終的に1番機と2番機が離陸して金華山の天候を確認し
集合することになりました。
その後雲の切れ間を見つけ,そこから
降下しようと考えているようです。
総括班長は元偵察航空隊のパイロットであり、その経験から
高い位置のほうが雲の切れ目を見つけやすいと
アドバイスしています。
1:18:15 プリフライトブリーフィング
先ほどまでの決定事項を再確認します。
山形まで行き,雲に穴がなければ展示をやめて帰ってくる。
展示飛行を行う場合は6機または4機、2機と
現地の天候の状況に応じて機数を変えて行うことと、
何番機が帰還するかをあらかじめ決めてフライトします。
1:20:14 金華山上空での集合
金華山上空約1万3千フィートで6機が集合します。
その後山形に向けて飛行します。
山形絆まつりの展示基準点に居る地上統制
"ブルーコントロール"平川3佐と連絡を取り,
現地の天候を確認します。
良い返事はもらえなかったものの雲の切れ間を
注意深く探していきます。
1:21:55 雲の切れ間を発見
雲の切れ間が狭いので進入方法を検討します。
河野3佐から3機のトレール隊形(縦一列に並んだ隊形)
ではどうかと提案がありました。
しかし地上統制からの連絡で雲の穴の下に下層雲があるので
縦長の隊形では危険と指示が来ます。
1:23:08 隊形変換
そこで4機のダイヤモンド隊形で進入することにしますが、
1番機,4番機,5番機,6番機の4機で進入します。
これは、その後の展示でソロ課目を入れることで展示に
見ごたえがあるように配慮した結果です。
4機の進入が完了し雲の下の状況が良ければ、さらに
2番機と3番機を進入させて6機での展示を狙うため
2番機と3番機は上空で待機します。
1:24:56 進入
進入と同時に状況を判断します。
下層雲が多いため2番機、3番機と集合するのが危険なため
2番機、3番機は松島に帰還します。
1:25:53 展示飛行開始
進入方向220度を確認して展示課目の準備をします。
最初の課目はダイヤモンド・ダーティー・ローパス。
続いてリーダーズ・ベネフィット・ローパス。
エシュロン・ローパス。ダイヤモンド360。
1:29:27 ソロ課目
編隊を解散した5番機と6番機は
2機でのキューピットを行います。
5番機がキューバンエイトを展示している間に
6番機は1番機2番機と集合して
3機のレベルサンライズを行います。
今回の取材を通してブルーインパルスは、
どんな条件になろうとも最善の努力を
して展示飛行に臨んでいることを感じました。