八王子城三ツ鱗会様により本日開催された、『八王子城跡の石垣』講演会に、子供と二人で参加してきました。講師は村山修さんでした。

八王子城跡は2回目の訪問になります。

山の裾野の居住部(御主殿曲輪)と山の要害部があり、有名なのは居住部の御主殿の方の石垣かもしれません。しかし、要害部にも石垣があるのです。

以前行ったときは、何故だろうと分からなかったので、今回は良い機会でした。

そもそも、関東の城は関東ローム層を利用していることが多いので、石垣を使うこと自体が非常に珍しいとされます。

八王子城の城主は北条氏照で、初めは近くの滝山城を拠点としていました。

滝山城は、掘れば関東ローム層が顔を出す丘陵上に造られた平山城です。

従って石を積極的に使う根拠がなく、今のところ、石は本丸虎口に石を敷き詰めた階段と、水路から発掘されているだけだそうです。ここには丸石がつかわれていたため、北を流れる多摩川の河原で採られたと考えられているそうです。

さて、来る戦に備え守りを更に固めるべく、氏照は八王子城の建設に着手。八王子城は小仏層群という、砂岩の岩盤と関東ローム層の境目に位置しています。特に要害部には関東ローム層はほぼ見られないとのこと。

そのため、関東ローム層が利用出来ず、石垣を用いたと考えられているそうです。

石垣に使う石も、この岩盤から切り出したと考えられているとのこと。

砂岩なので硬いかと思いきや、ここの砂岩は簡単に割れるため、矢穴など石切の際に見られる跡が見られないそうです。

確かに、本丸に行くまでの道にしばしば黄色がかった岩肌が出ていますが、脆く、少しの衝撃で割れます。

【小仏層群の岩盤】

このように、その場で切り出した石を利用し、八王子城は築かれたようです。

また、個人的におもしろかったのは、石垣の隅の強度をあげるために、算木積みの一歩手前のような、大きさの揃った少し大きめの石を団子状に積み上げている部分があった、ということです。

【要害部に見られる石垣】隅部分

豊臣方に対し、八王子城方はよく守りましたが、圧倒的な兵力差を前に1日で落城しました。

しかしその守りは固く、敵方には多くの犠牲が出たそうです。

八王子城跡は、関東で唯一、戦国時代の石垣が見られる城です。

高尾駅からバスで10分程度と、都心からのアクセスもよく、乗り継ぎがうまく行けば一時間半程で行くことが出来ます。

周囲には食事処がないため、お弁当を持っていくか、高尾駅横に売店が充実していますのでこちらで買ってから行くと便利です。

八王子城の石垣について