私が大学生の頃、しまなみ海道が開通しました。
すぐさま自転車で旅をする仲間を募集しました。
クラスで応募してくれたのは、1名でした。しかも、特に仲の良かったわけでもない、悩み多き女子でした。
しまなみ海道は、車で行けば瀬戸内海の島々を結ぶ橋と高速道路で、何の感動もありません。
一方自転車だと、橋は車と渡りますが、島の中は下道です。
地元の商店や、社など、沢山の見どころがあるのです。
いざ、今治でレンタサイクルを入手。当時電動なんてものは付いていなくて、普通の自転車です。
今治からの旅立ち、海が光っていて、橋を渡る風が、私たちを祝福していました。
悩み多き彼女の顔も晴れやかで、2人で来てよかったね!と言い合いました。
しかし、ここで我々は大切なことを見落としていました。
橋を渡るということは、その高さまで上がったり、おりたりを繰り返すということ。
これが、まあ、しんどいのなんの。
もう、海岸線を楽しむ余裕はありません。
約80kmの行程でしたので、余裕で行って帰って来られるね!などと、抜かしていた自分たちを、心底バカだったと思うまでに、そう時間はかかりませんでした。
は・か・た・の・しお!の伯方島もなんの感動もなく通り過ぎ、塩アイスで塩分と糖分を補給。向島にたどり着く頃にはすでに夕方。
股間が痛くて、皮剥けてんじゃねえか?と言うほどになっていました。同行の友人は、ほぼ泣いていました。
お互い無言で最後の力を振り絞ります。
向島からは、渡船で尾道に渡りました。
もう、他の島もずっと渡船で良かったです。
それ以来、私は無類の渡船好きになり、今に至ります。
尾道、着いた時には夜。
広島のお好み焼きを食べました。めちゃくちゃおいしかったです。
ほぼ泊まるところもなく、なんとか宿を見つけたんだと思います。そこからの記憶がなく、帰りは死体のようになり高速バスで帰ってきたのでした。
あんな思いは2度としたくないはずなのに。それなのにまた行きたくなるのはなぜでしょうか。
あの暗い向島、自転車ごと乗せてくれる渡船、尾道のお好み焼き、今治を出立した時の高揚感。それが本当に新鮮に思い出せるのです。
死ぬまでにやりたいことリストに入れておきます。