【鉱物言葉集】

与謝野晶子「朝晴雪」より石に関する言葉






女達の踏む所に
紅水晶の色の香水
光の如くに降り注ぎ、
雪の上に一すぢ
春の路は虹の如く
ほのぼのとして現れぬ。




与謝野晶子「朝晴雪」より一部抜粋
(『与謝野晶子全集』芙蓉文庫、所収)







春へ向かう季節を思わせる

与謝野晶子の詩。





抜粋部分は、

雪の上を軽やかに進む女たちの

行進の情景である。




風に逆らう「髪」や

「槍の穂のように伸びた両手」、

「軽やかに雪を踏む足取り」など、

彼女たちは「理想」や「愛」を

象徴しているかのよう。




その足元に注がれる

「紅水晶の色の香水」







紅水晶(ローズクォーツ)




紅水晶(Rose Quartz)は、

水晶(SiO₂)のピンク色の変種で、

色は微細な鉱物インクルージョンや

構造による。




古代ギリシアでは、

愛の女神アフロディーテと結びつき、

現代でも「愛」や「心の癒し」の

象徴として親しまれている。





この詩を読むと、

紅水晶という鉱物も

一篇の詩のように感じる。 




私も春の訪れを待ちながら、

小さな紅水晶を手に取り、

足元に伸びる光の道を

想像してみたくなる。