【競輪】佐世保・WTミッドナイト(GⅢ、2024/07/16-18)

決勝(2024/07/18)
 ①平原康多(埼玉、87期)
 ②松本貴治(愛媛、111期)
 ③後藤大輝(福岡、121期)
 ④隅田洋介(岡山、107期)
 ⑤岩谷拓磨(福岡、115期)
 ⑥久田裕也(徳島、117期)
 ⑦阪本和也(長崎、115期)

【並び想定】
 ←⑥久田②松本④(中四国)・①平原(単騎)・③後藤⑤岩谷⑦阪本(九州)

 ラインとしては、3対3+1の3分戦。

・見どころ
 ⑥久田を目標に連勝勝ち上がりの②松本に展開有利か?
 一方九州期待の新鋭③後藤が駆ければ、九州勢にもチャンスあり。
 単騎となった①平原だが、圧倒的格上の存在だけにあっさりのシーンがあってもいい。

 なお、初日特選から脱落は、以下の3名。
 ・雨谷一樹(準決勝敗退)
 ・中井俊亮(準決勝敗退)
 ・柴崎 淳(準決勝敗退)

 代わって予選からの勝ち上がりは、
 ⑤岩谷拓磨(福岡、115期)
 ⑥久田裕也(徳島、117期)
 ⑦阪本和也(長崎、115期)

・結果
 1着 ②松本貴治
 2着 ⑤岩谷拓磨
 3着 ⑦阪本和也

・振り返り
 号砲で⑤岩谷が飛び出し、前団に③後藤⑤岩谷⑦阪本の九州勢、単騎①平原が中団確保、⑥久田②松本④隅田の中四国勢は後攻めの体勢で周回。
 ③後藤は青板バック手前から誘導との車間を切り、突っ張る気満々の構え。
 赤板ホームで⑥久田が動きかけると、③後藤は車間を詰め、赤板経過と同時に誘導を切って発進。③後藤がぐんぐんスピードを上げ、後続は完全に一本棒となるが、それでも最終ホーム手前で⑥久田が反撃を開始。
 ⑥久田が上がってくるのに合わせて⑤岩谷は2コーナーから番手捲り発進。合わされた⑥久田は後退するが、バックから自力捲りに転じた②松本が前に襲い掛かる。
 迫る②松本を懸命に振り切ろうとした⑤岩谷だが、②松本がゴール前で逆転し、優勝ゴール。
 2着は⑤岩谷、3着は⑦阪本の九州勢が入着。
 ①平原は勝負処で内に詰まって伸び切れず4着に終わった。

・感想
 後藤選手のハイペース逃げを何とか仕掛けようとする久田選手、並んでガリガリとやり合うもがき合いとは別の面白さがある良いレースだった。
 結果的には、それぞれの番手選手同士のワンツーだったが、この差は、前に踏むだけで良かった松本選手とインの平原選手を気にしてちょっとだけ内を締めに行った岩谷選手のコース取りの差でしたね。


 今回の殊勲賞は、後藤選手。
 今節も後藤選手の逃げっぷりは圧巻だった。まだまだ若手ということで、G3準決等では「別線の先頭」として引き出し役の回ることも多いが、ミッドナイトとは言えG3優出の実績を積んだので、さらなる飛躍を期待したい。

 今回の敢闘賞は、久田選手。
 久田選手の動きも光りました。5番手ながらも後藤選手のプレッシャーを与える動きで後藤選手の早駆けを誘い、自身は岩谷選手の番手捲りに合わせられてしまったものの松本選手の優勝に貢献しました。


<つぶやき(ミッドナイトのグレードレース)>
 2011年から開催されているミッドナイト競輪で初のグレードレースとなった本節。
 競輪より遅く始まった(2015年)オートレースのミッドナイト競走でのグレードレースが2021年から開催されたことを考えると、やや遅く感じるくらいではある。
 松戸サマーナイトフェスティバル(G2)翌日からの開催ということで、出場選手のレベル感が心配されたが、平原選手や松本選手、雨貝選手等グレードレース常連組の出場で盛り上がった3日間だった(ただ、これは今回限りかも知れないので、次回以降は慎重な斡旋が求められる)。
 

【競輪】松戸・サマーナイトフェスティバル(GⅡ、2024/07/13-15)

決勝(2024/07/15)
 ①北井佑季(神奈川、119期)
 ②古性優作(大阪、100期)
 ③眞杉 匠(栃木、113期)
 ④吉田拓矢(茨城、107期)
 ⑤郡司浩平(神奈川、99期)
 ⑥松谷秀幸(神奈川、96期)
 ⑦山口拳矢(岐阜、117期)
 ⑧新田祐大(福島、90期)
 ⑨脇本雄太(福井、94期)

【並び想定】
 ←①北井⑤郡司⑥松谷(南関東)・ ⑨脇本②古性(近畿)・③眞杉④吉田(関東)・⑦山口(単騎)・ ⑧新田(単騎)

 ラインとしては、3対2対2+1+1の5分戦。

・見どころ
 南関東勢が初日特選同様にラインの厚みを活かして優位にレースを進めるか?、それとも他ラインが巻き返すのか?が注目ポイントだろう。
 初日特選では、南関作戦にやられた近畿はまんまと同じ結果にはならないように走るだろうし、初日特選で単騎だった③眞杉は、そもそも単騎を苦にしないタイプではあるが、後ろに1車付いたのは大きい。
 新田選手は、初日の山崎選手的な立ち位置(単騎)から、タイミングよく自力発進なら・・

なお、初日特選から脱落は、以下の4名。
 ・松浦悠士(準決勝敗退)
 ・深谷知広(準決勝敗退)
 ・山崎賢人(準決勝敗退)
 ・清水裕友(準決勝敗退)

代わって予選からの勝ち上がりは、
 ④吉田拓矢(茨城、107期)
 ⑥松谷秀幸(神奈川、96期)
 ⑦山口拳矢(岐阜、117期)
 ⑧新田祐大(福島、90期)

・結果
 1着 ③眞杉 匠
 2着 ④吉田拓矢
 3着 ⑧新田祐大

・振り返り
 レースは意外な流れで始まった。
 車番から前攻めになると思われた南関東勢が、②古性の素早いスタート飛び出しで、①北井が後手を踏んだ形になり、⑨脇本②古性・③眞杉④吉田・⑦山口・①北井⑤郡司⑥松谷・⑧新田で周回。
 青板過ぎに①北井が上昇、⑨脇本は誘導員との車間を空け後方の動きを警戒。
 青板バックで誘導員が退避すると⑨北井が踏み、合わせるように①脇本も踏んで、踏み合いに。
 赤板1センターで①北井が前に出切るが、北井番手の⑤郡司は赤板1コーナー過ぎに②古性に捌かれ、①北井の後ろに⑨脇本②古性が入る。
 ①北井はそのまま飛ばして行くも、最終ホームから⑨脇本が再スパート。1コーナーで①北井を捕らえるも、近畿勢を追って仕掛けてきていた④眞杉がバックで②古性の厳しいけん制を受けながらもまくり上げ、4コーナーで⑨脇本に並んだ③眞杉は近畿勢を飲み込む。
 そのまま短い松戸の直線を駆け抜けVゴール。
 眞杉マークの④吉田は③眞杉を好追して関東ワンツー。
 最終バック6番手の⑧新田は混雑する内を避け、直線大外を伸びて3着。

・感想
 豪華メンバーとなった決勝戦。
 南関東、近畿、関東とそれぞれの地区の最強自力選手が松戸33バンクで激突するのですから、目が離せませんよね。
 後は、勝利の女神が誰に微笑むかですが、女神が微笑んだのは眞杉選手でした。
 もちろん、北井選手と脇本選手が踏み合う等の展開の利はあったとはいえ、眞杉選手の準決勝での巧さ(最終1コーナーで5番手から捲りに出た際、深谷選手をインに押し込んでからの加速した巧さ)と決勝での強さ(古性選手の強烈ブロックでややバランスを失いながらも、すぐに立て直して前を追える強さ)には、勝利の女神も目を向けざるを得なかったのでしょう。
 

 

【競輪】松戸・ガールズケイリンフェスティバル(2024/07/13-15)

決勝(2024/07/15)
 ①児玉碧衣 (福岡、108期)
 ②山原さくら(高知、104期)
 ③中野 咲 (愛知、110期)
 ④坂口楓華 (愛知、112期)
 ⑤當銘直美 (愛知、114期)
 ⑥尾方真生 (福岡、118期)
 ⑦小林優香 (福岡、106期)

・見どころ
 女王①児玉。実績を考えれば、ここまでフェスティバルの優勝を決めていないのが不思議なくらいだが、どうにも相性が悪い感じで、今節も予選の2走とも勝てず、なんとか優出を決めた感じ。
 調子自体に不安が残るが底力は一枚上だし、迷いのない自力捲りで強敵撃破し、最後のフェスティバル勝者の称号を手にして欲しい。
 ライバル勢も相当手強い。
 内から②山原、④坂口、⑥尾方、⑦小林の自力型は、仕掛けのタイミングさえハマれば、このメンバーでも勝ち切るだけの力はあるし、マーク型の③中野、⑤當銘もすんなり追走ならゴール前で交せるだけの脚はある。
 誰がどこから仕掛けるかを注目したい。

・結果
 1着 ⑥尾方真生
 2着 ⑦小林優香
 3着 ⑤當銘直美

・振り返り
 スタートで勢い良く飛び出した⑤當銘が誘導員の後ろに付くが、⑥尾方が上昇すると⑤當銘が迎い入れ、⑥尾方、⑤當銘、④坂口、⑦小林、②山原、①児玉、③中野で周回。
 赤板を過ぎても動きがなく、打鐘3コーナーから⑥山原が仕掛けるが、前受けの⑥尾方は22センター付近からスパートして突っ張る。②山原は前を叩けずに最終1センターで後退。
 ②山原を追って上昇した①児玉は4番手の外併走となるが、ここから車が進まない。
 バックでは③番手の坂口が仕掛け、それに合わせて⑤當銘も前へと踏み込むが、尾方の掛かりが良く、4コーナーを先頭で回り、直線でも後続の追撃を許さずビッグ初制覇。
 2着には最終3コーナー付近から外で併走混戦を尻目に最内をスルスルと突いて伸びた⑥小林。バックから仕掛けた⑤當銘は、⑥尾方に合わされるも良く堪えて3着。

・感想
 結果的には尾方選手が圧巻の逃げ切り。
 山原選手の仕掛けを合わせ切り、一旦マイペースで息を入れた後の踏み直しは力強かった。力はあるもののイマイチ結果に結びついていなかった感のある尾方選手でしたが、強い勝ち方で最後のフェスティバルを制覇しました。
 ナショナルからガールズ競輪一本に絞った小林選手は、何となくツキの無いレースが続いていましたが、久々に本来の脚力を発揮した感じです。
 3着の當銘選手は位置取りも上手く、最後も外から交しに行って、小林選手に内を掬われてしまいましたが、今後も楽しみな選手です
 その他の選手も、それぞれ一度は仕掛けを試みていますので、さすがビッグレースの決勝だと感じましたが、ちょっとだけタイミングが悪かったり、他の選手と被ってしまったりと「今日は運がなかった」という感じでしたね。

<つぶやき(女子オールスター競輪)>
 ガールズケイリンフェスティバルは今年で終了。
 来年からは、女子オールスター競輪(名前はこれで決定なのかな?)として、ガールズケイリン4つ目のGIとして生まれ変わる(7車6R制)。
 番組はまだ試行錯誤しているような感じだが、オールスターの名に恥じない熱戦を今から期待したい。

【競輪】小松島記念(GⅢ、2024/07/4-07/07)

決勝(2024/07/07)
 ①犬伏湧也 (徳島、119期)
 ②深谷知広 (静岡、96期)
 ③新田祐大 (福島、90期)
 ④小倉竜二 (徳島、77期)
 ⑤嘉永泰斗 (熊本、113期)
 ⑥山口敦也 (佐賀、113期)
 ⑦佐藤慎太郎(福島、78期)
 ⑧山田英明 (佐賀、89期)
 ⑨清水裕友 (山口、105期)

【並び想定】
 ←⑤嘉永⑧山田⑥山口(九州)・①犬伏④小倉(四国)・③新田⑦佐藤(北日

  本)・②深谷(単騎)・⑨清水(単騎)

 ラインとしては、3対2対2+1+1の5分戦。

・見どころ
 一言で言えば「誰からでも買えるレース」。
 初日特選から2人だけ入れ替わるという特選組が頑張ったシリーズだが、その入れ替わりの内容が、ある意味絶妙。
 初日特選では、SSの機動力型(深谷、清水)の後ろにマークする選手がいたが、そのマークした選手が2人とも優出を外し、変わって勝ち上がって優出したのが九州の2人。これにより初日特選で単騎だった嘉永のラインが一番長くなり、SSの機動力型(深谷、清水)がそれぞれ単騎になったことで、それこそ「誰からでも買えるレース」になった。

なお、初日特選から脱落は、以下の2名。
 ・諸橋 愛(準決勝敗退)
 ・岩本俊介(準決勝敗退)

代わって予選からの勝ち上がりは、
 ⑥山口敦也 (佐賀、113期)
 ⑧山田英明 (佐賀、89期)

・結果
 1着 ①犬伏湧也
 2着 ⑦佐藤慎太郎
 3着 ④小倉竜二 

・振り返り
 誰もSを取りに行かず、内枠の②深谷がゆっくりと誘導員追走。その後ろに③新田⑦佐藤・①犬伏④小倉・⑤嘉永⑧山田⑥山口・⑨清水で周回。
 青板バックでから⑤嘉永⑧山田⑥山口に⑨清水が続いて上昇開始、⑤嘉永は①犬伏の横で止まり、けん制してから再び上昇。赤板過ぎに前団を押さえて先手を奪う。
 一旦は4番手に引いた②深谷だったが、この位置には⑨清水が居たためバッティング。内の深谷は打鐘2センターでさらに1車上げて今度は⑥山口をドカしにかかる。
 このタイミングで腹を決めた⑤嘉永が逃げ発進。3番手が激しく縺れていて1車分隊列が短くなっていたところを、2コーナーで③新田がスパート。
 ⑨清水は反応が遅れ、③新田は好スピードで九州勢に迫るが、3コーナーで⑧山田が大きくブロックして③新田は後退。①犬伏も振りを受ける。③新田の後ろにいた⑦佐藤、①犬伏の後ろの④小倉はベテランらしく、すかさず降りて内は大渋滞に。
 最後の最後に③新田⑦佐藤の仕掛けに乗った①犬伏が、不利を受けても立て直し、さらに外を回しての直線一気。
 前を行く選手をまとめて交して圧巻の地元記念優勝を飾った。
 2着は内の大渋滞から抜けだした⑦佐藤、3着は同じく内伸びた④小倉。

・感想
 ここのところの記念戦線では、ラインの強味で開催地区の地元選手から優勝者を出すパターンが続いていた。
 これはこれで競輪の「力だけでは勝てない」という面白さの一面ですが、今回の犬伏選手のように圧倒的脚力で制圧するレースも面白いですね。
 レース前に小倉選手から「(自分を)気にせずに自分が勝つ走りをしろ」との激励をもらっていたようですが、仕掛けた後での不利(新田選手が邪魔になる)も物ともせず、直線一気に突き抜けた脚とあそこまで仕掛けを我慢できた胆力は素晴らしかったです。

 今回の殊勲賞は、佐藤選手と小倉選手。
 正直、佐藤選手と小倉選手が直線で進路を探しながら伸びてきた時は「やられた」と感じました。(自分の車券的な意味でww)
 ですが、ベテランが強くてカッコいい技を魅せるのも競輪の魅力。最後の最後はベテランの技が光りましたね。2人とも素晴らしかったです。