子どもだった頃。


母の言うことを聞かずに

喧嘩になると、


母はよく、

私にこう言いました。


「もう!そういうところ、

お父さんにそっっっくり!」


そう吐き捨てるときの、

母の憎々しげな目といったら。


母が死んで、

もう10年以上経つけど、


いま私は、

改めて母にこう伝えたい。


「いやいやお母さん、

私はあなたにそっくりです」


と。


嫌なものは嫌と言い、

相手の顔色を窺って忖度したり、

長いものに巻かれたりは、

決してしないDNA。


そんな二人が向き合ったら、

そりゃあーぶつかるよね…。


日本という国に

女として生まれ、


さらにあの時代に生きたなら、


さぞ生きにくかったよね、

お母さん。


その気質を

最大限に発揮することができたら、


第二の桐島洋子や瀬戸内寂聴に

なれたかもしれないけど、


そこまで振り切る勇気もなかったし、


何よりも、


そこまで自分が好きじゃなかったよね、

お母さん。


ーーまぁ、そんなこんなで、


最後の最後まで、

お互いに理解できず、


自己嫌悪を相手の中に見ながら

ぶつかってばかりの母娘でした。


自由で勝ち気な母と

くっついた父は、


我慢強く、

自己犠牲的なDNAの持ち主であり、


そして私の夫は、


ーーなんということでしょう、


「お父さんとそっくり」。


オーマイガー…

人生って…