『ミヤ先輩が
女の子と買い物してた』
…おっ…
授業始まる前の雑談
僕の斜め前で
女子が話してる声
そっちへ視線送らず
耳が ピクピクと
会話を拾う
『タイプの違う女の子連れてたって…』
先日のダブルデートモドキ
目撃者の印象感想…か
話してる子は
聞いた話っぽい 口調
だけど
ちゃんと
デートだった事
世間に認識された上で
…広まっているよう…だ…
よかったよかった
って事で
正解なんだろう
けど…
僕もいたのに
ミヤ先輩のオーラが
でかすぎるからか
噂話に 存在してないっぽいの
気にはなる
なぁ…って 思いつつ
まぁ
そもそもデート自体
フェイクだった訳だし
僕が自己主張する事で
余計な尾鰭になりたくないし
と言う訳で
雑談に 途中参加して
訂正する気も
そもそも 無い訳で
知らん顔して
クラスメイトの雑談
聞いてれば
『凄い髪色の人がね…』
ん？
ヤチさんの事か…
と 話の内容
気になった途端
喋り手の声のトーンが下がって
聞き難い…と
つい チラと視線送って
斜め前に軽く
身を乗り出して
まさに 盗み聞き態勢
しれっと とれば
途端に 聞えなくなった
…女子の会話
そうなってくると
余計に気になるのが
人の性…って事で
あれこれ
妄想激しく
他者に聞えなくしたって事は
ヤチさんの
悪口なのか？って
勘ぐりから
当時の記憶
僕の脳内で
再生が始まって
丁度
ヤチさんが
エルちゃんと初めましての
僕に
エルちゃんへの興味
持たさない為の
ディスり…始めたScene
思い出して
…あの時は
ヤチさんの意図
知らなかったから
只々
嫌な気分だった事
思い出しつつ
人から又聞きした
ミヤ先輩のデートの相手が
どんな風に
伝えられているのか
…気になって…
男子が見れば
１０人中８人は
可愛いって思うだろう
エルちゃんは
同性である女子には
どんな風に 見えるのだろう
とか
好奇心 刺激され
つい
斜め前の女子の横顔
ガン見していれば
「…春馬君も 居たんだよね？」
まさか
僕が聞いてる事
前提で
その話題始まってたとか
そんな 策士な状況だったとか
知る由もなく
…油断した…
と ばかり
今更 知らん顔出来ない
急に振り返った
クラスメイトと
ばっちり目が合ってる
今
僕は 少し顎を引いて
否定も肯定もしないまま
数回瞬きして
これ以上ない
動揺を
視線を泳がす事で
彼女たちに
晒していた
つづく