「…いや 興味ないでしょ?」
アイドルの返答は
的確だった
「…気になるなら
聞くより見ればいいだけだし」
確かに そう
問題の荷物は
僕の手元にある訳で
「…見ていいんですか?」
それは 別に
会話の流れで
不意に出た セリフで
別段深い思い入れは 無い
のに
まるで 了承を欲しているかのような
自分の言葉
耳にして
…何言てんだ 気持ち悪い
と 自己嫌悪に 身震いする
スカートの下 見せパンだから大丈夫って
言ってる子に
見ていいの?って
聞き返したような 妙な気分
少しあって
「…いや いいです
関わり合いたくないので」
つい
余計な言葉 付け加えて
即 打ち消した 会話
に
「…いいよ どうでも
見られてヤバイもん
持ち歩いたり してないし」
アイドルが
ぼそぼそと 呟く
低い声に
襟足の髪 立ち上がる様な感覚に
眉を寄せながら
聞いていれば
「…あんた 関係者だし…」
と
今 笑いながら言った?
って 声の変化に
ぞっと 悪寒が首筋を
駆けあがった
通話相手の
テンション
よく分からず
…はぁ…と
曖昧な返答 口にしたところで
ようやく 開いた
エレベーターのドア
無駄に 正解も分からず
上に行くより
フリダシに戻って
ちゃんとした 行くべき場所を
確認してからにしよう
と
箱に
乗り込んで
フロント階を 押す