ならざるもの 9 | ラテックスは妄想中

ラテックスは妄想中

暴走ギミな妄想をチラカスBananaです。
甘味世界を目指し オリジナル小説書いてます。
腐 要素 多くなってきちゃいました。苦手な方ご注意ください。

 


雑談を続けている態で


その実は


相手を見通す能力


発揮させ 示さねば…と


口にする単語


ひとつも漏らさず



拾う勢いで



飄々としてる


チョコ好きの男に集中して



そのくせ


まるで興味ない素振り


フェイクで演じる事数分




『…帰らないの?』


まだ


ここに居るのか?



…って事だよなぁ



男の質問に 上目使いで




面接後 ここで待機を言い渡された事


告げれば



何かを 察した様子で



『…じゃぁ ピアノを聞かせよう


 こう見えて 得意なんだよピアノ』



いやいやいやいや…


控室で待機って 言われてるって


言ったよね?





返すも



『大丈夫 すぐそこのロビーだから』



誰かが呼びに来ても


すぐに分かるし


何より


この部屋に居るより


社内の様子がよく分かる





ひょっとして 他社のスパイか?


と 勘ぐりたくなるような


男の様子に



圧され



どうせ 何も無い部屋で


雑談するなら



何かネタになるような出来事


体験しといた方が


面白い



そう アピールしてくる


男の思考


それもそうかも


と 同調して



きょろきょろと


待合の扉の外を 見やると



大の大人が


多少の後ろめたさに


イソイソと ロビーのオブジェと化している


グランドピアノに



歩み寄る




そう



音がすれば


やってる事 バレバレなのに


まるで


見つかる訳がないとでも


タカを括った 悪戯


開始する前の様な 昂揚感と共に



鍵盤に向かった男の姿



然程 期待もせず


ピアノの横に立ち



見つめた




    つづく