「 一応のヤマは張ってみた 」
ショウの隣に座ると ノートを渡される
「 授業の進み方が気になるけど…
古文は 明日の授業後で 変わるかも 」
きっちり 覚えるべき個所に
付箋がされてある
相変わらず 凄い…
「 暗記勝負の個所は
早く始めた方がいい 」
矢継ぎ早に 教科書が出される
「 ここから…ここは 丸暗記ね 」
ペラペラとめくり
重要だよ と言って 次へ進む
「 ちょっと … 」
慌てて ショウを止める
「 俺 自分のノートも出せてないから 」
「 …あ… 」
勉強モードになってた ショウが
やっと止まった
静かな教室内に 部活の声が聞こえてくる
筆記用具の準備をしつつ
ショウの手にあるのと 同じ教科書を出す
「 さっきさぁ 窓から 何見てた? 」
静かに俺の準備を待ってる ショウに聞いた
他愛もない 質問と呼べない
何でもない 問いかけ
返答がないので ショウを見ると
黙ったまま
的確な答えを探すうちに
答えるべき間を逃し 返答に困っている
…そんな姿
「 なんかさぁ …あったの? 」
俺の 『 家に行く 』 発言から
ショウが 壁を作ってる
触れて欲しくない事があるって
その態度が 饒舌に語ってる
誰だって 気になるよ その反応は
シャーペンを カチカチ いわせ
ショウの答えを待つ
「 …英語は ことわざ 覚えて 」
そう言うと ショウは
鞄に教科書を入れ始める
なに?
「 そのノートは トモキ用に 作ったから
持って帰って 使って 」
なに? なに?
ショウが席を立つから
俺は慌てて ショウの手首を 掴んだ
細い骨…
なぜか その瞬間
廊下ですれ違った 下級生の
膝裏の 白いくぼみを 思い出していた
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