1話
 

 『 恥ずかしがり屋? 』


小学生の頃から
友達とは普通に喋れるのに
大人とは会話があまりできなかった。

 

周りからは
『恥ずかしがり屋さん』
て言われてたな。

…声が出ないだけだったのに。

先生とは頑張って喋ってた。
長い会話はできなかったけどね。
だって…返答しないと
怒られそうだったから…。

短文でもきつかったよ。
だって…

喉の筋肉が固まったようになって
声を出したくても出ないのを
頑張って出すんだから…

なんでか…
なんてわからなかったよ。
自分は普通じゃない。
自分はおかしい。
…て思ってたからね。

友達とは普通に会話できたよ。
YES・NO も、はっきり言ってたしね。
いじめもなかった。
みんないい子だったんだよね。
学校は楽しかったな。

これが場面緘黙症の症状なんて
この頃はわかるわけないよね。

親も気づいてないのにさ…。


親に言おうとも思わなかったよ。
言う程の事だと思ってなかったし、
小さい頃は深く考えるタイプじゃなかったから。

毎日、友達と楽しく過ごす事しか
考えてなかったよ(笑)