日経平均株価が今日、34年振りに最高値を更新した。何はともあれ、日本経済再生に向けてのいい話だと思う。

 思い返せば、平均株価が最高値を付けた1989年12月、ジャパンアズナンバーワンとうぬぼれていた日本では、平均株価10万円も夢ではないと言われていた。しかし、実際には、「バブル」が崩壊したとして翌年以降、株価は暴落し、以後、日本経済は長期低迷に陥った。

 素人の私には、なぜ「バブル」が崩壊したのか、「バブル」とは何だったのかさえよく分からないが、当時、近所で建設中の住宅価格の値札が3千万円から8千万円へとあっという間に値上がりし、「ああこれで自分は一生家を持てないんだ」と落胆したことを覚えている。その後、地価税や土地取引の規制などで土地価格の高沸には歯止めがかかったが、他方、それらが不良債権となり、金融不安が起こるなど、日本経済は急落し、その後20年以上、経済は停滞した。

 この30年、私はいつも疑問に思っていた。皆勤勉で一生懸命、外国以上に長時間働いているのに、なぜ賃金が伸びないのか、経済が改善しないのか。それどころか、2008年のリーマンショックでは大量の非正規が解雇され、野宿生活を強いられる人も多く出た。企業や役所も正社員を削減し、いつの間にか解雇も厭わなくなった。一方で、派遣や請負といった非正規雇用の人が増え、当時私が勤めていた職場でも、非正規の社員を多く採用するようになった。彼らが仕事を覚えた1年後、より低い価格で入札をした派遣会社が業務を担うため、結果、その人は次年度職に就くことができなくなるか、あるいは、より低い価格で入札した派遣会社に移り、より低い時給での就労を余儀なくされるかという状況であった。10年ほど前、若い非正規の人が、フルで働いても年収が200万円に届かなかったと肩を落としていたのを覚えている。

 「景気が悪い。財布のひもが固い」とはよく言われるが、私はそもそも財布にお金が入っていない人も少なくないと思っている。バブルの頃、普通の人でも結構お金を持っていた。当時は旅行に行こうと思ってもなかなか宿が取れなかったが、今では、たいてい楽にとれる。むしろ、行楽地は外国人が大半で、寂れたところも多い。日本の6.5人に一人が相対的貧困とされている。児童生徒で給食費が払えなかったり、生理用具が買えなかったりする人も多いと聞く。

 こうした日本経済の流れを変えたのは2012年の第二次安倍政権の登場だろう。民主党から政権を奪い返した安倍さんは、野党時代に考えていたのか、アベノミクスという経済政策を引っ提げて戻ってきた。アベノミクスに対する新聞等での評価は否定的なものも多いと思うが、日本のデフレを問題視し、日銀の金融緩和を強力に推し進めた点は良かったと思う。

 現状、成長の成果が大企業に留まり、一般庶民にまで恩恵は及んでいないが、それでも国が大型の予算を組み、経済界や労働団体と協力して賃上げを推し進めている点は評価でき、本日の日経平均株価の最高値更新が今後の力強い回復につながることを期待したい。

 今回、少し難しそうなことを書きましたが、これまで長い間、私が考えてきたことで、ご容赦ください。