「ののはな通信」の画像検索結果このかわいらしい装丁からは想像できない内容だった。

改めて三浦しをんはすごい作家だと思った。

彼女の本ではいわゆる「職業小説」が好きだ。林業や人形浄瑠璃、はては辞書の変遷など様々な職業を扱ったものはどれも面白い。

 

『まほろ駅前多田便利軒』や『あの家に暮らす四人の女』などのいっぷう変わった人たちが出てくる物語も好きだ。

エッセイにいたってはもう爆笑につぐ爆笑で、三浦しをんという人物の魅力が満載である。

 

『ののはな通信』はそのどれにも属さない話だった。

 

往復書簡という形式は意外だったが、物語は女子同士の可愛らしいやりとりで、(なるほど「通信」ねと)気楽に始まる。

昭和から平成にかけての物語というのも世代的にドンビシャハマった。

しかし様々なところで読者の予想は裏切られ続ける。

後半にかけて、マイノリティの恋愛・人生・人としての在り方などテーマはどんどん重くなっていく。

 

途中物語が東北・2011年3月に向かっていることに気付き、どちらかに何かが(おそらく悲劇が)起こるのではないかとハラハラした。結局、それ以上に想像もつかなかったクライマックスが待っており、驚かされた。

 

永江朗氏は「三浦しをんの最高傑作」と評している。私にとっては「最高」の作品ではなかったが、確かに三浦しをんの思想が詰まったずっしりとした作品だった。