


新しい年、「読みはじめ」はこのマカン・マランシリーズ
深夜にやっている知る人ぞ知る、カフェ。そこで悩みを抱えた客たちが自分と向き合い、弱さを認め、最後は救われていく。
ありがちといえばありがち。
しかし他の「食べもの小説?」のように全てが食べもので解決するわけではない。
むしろカフェという状況や出される食べものはただの情景描写(装置)に過ぎない。
俳優のようにイケメンで、中学校時代からなんでもできる背の高いカフェ店主。実はこの店主が、50歳、進行性の病気持ち(おそらく癌)、そしてドラァグクイーンという状況。おかまと謗られ、親からも受け入れてもらえなかった過去を持つ。
万能なわけでもなく、むしろ体にいい食べものを出すだけ。そんな店主「シャール」のもとへ職場で、親子関係で、学校で悩みを抱える者たちがふとしたきっかけで訪れる。
店主の「シャール」に会い、自分の問題を吐き出し、シャールとのやりとりから、自分を見出し、問題に立ち向かうささやかな勇気をもらう。明日から歯を食いしばって行きていこうという前向きな気持ちを持ち始めるという物語。シャールは何かをするわけではない。話を聞くだけ。料理を出すだけ。
連絡短編になっているが、全ての物語が胸を打つ。職場や学校で弱い立場にある人、何かに縋りたい人。食べることなど勿論疎かで、生きることの困難さをなんとか乗り切る毎日の人々。そんな登場人物たちに自分を重ね、店主「シャール」のことばに救われる。
こんなカフェが近くに欲しい。そう思いながら読み、途中、ふと気づく。むしろ自分の年齢は店主「シャール」に近い。
今年は「誰か辛い私を救って」という他力本願ではなく、誰かの居場所を作り、誰かの話を聞く存在になりたい。(そういう年齢なんだから)そんな抱負を抱いた。
新春にふさわしい素敵な物語だった。