思いがけないプレゼント。 | 白ヤギさんのアナログめぇ~る。

思いがけないプレゼント。





誕生日前夜。

仕事から帰ってきた夫が、アイスクリームを食べに行こうと言った。

断る理由もなかったので、さっそく車に乗り込みアイスクリーム屋さんへ

行くことにした。車を走らせていると、夫が言った。


「アイスやっぱ止める。時間あるからドライブしようか?」


別に私もアイスがめちゃくちゃ食べたかったわけではなかったので、

OKした。小1時間ドライブしていると、


「あそこのチョコレートパイ美味しいんだって!食べようか?」


と聞いてきた。

腹も減ってるからパイだけじゃなくて夕食も食べていこうと提案した。



橋のたもとのレストラン。

窓際の席につくと、夕焼けがとてもキレイだったので写真を撮った。


     黒いな。

      ↓


私は白身魚(名前不明)のソテー、夫はフライドチキンを注文した。



ちょっと気になるんだけど、このテーブル、いや建物全体が

左に傾いていないか?私の首が傾いてるのか?

左足が自然に踏ん張ってるんだけどな。


そんな事を心でつぶやきながら、外を見る。


子供達に釣りを教えているお父さん。その様子を眺めているお母さん。

そんな親子をじっと見ている鶴。を観察する私。にゾッコンの夫。

まるで食物連鎖のようだ。



夫がクスッと笑ったので、目線を辿ると女の子が持っていた釣竿の針が

男の子に釣りを教えているお父さんのズボンの裾を捕らえていた。


デカイの釣ったな。ビギナーズラックだね。



その女の子は6歳ぐらい、男の子は4歳ぐらいだろうか。

彼らは釣り糸を垂らし、じーっと魚が食いつくのを待っていた。



私達が運ばれてきた料理を食べてる間もじーっと糸を垂らしたままだ。

そのうち、お父さんが私達の視界から消えた。子供達は気づいてない様子。

釣りのポイントを変えたんだなと思っていると、しばらくしてお父さんが現れた。

手にしている釣竿には少し大きめの魚がひっかかっている。

お父さんは子供達に見つからないように、そっと魚のついた釣り糸を

海に垂らし、子供達の名前を呼んだ。

女の子に釣り上げるように言ったようだ。

お父さんが後ろからサポートしながら、女の子が釣り上げた。

彼女はとても嬉しそうだ。男の子もはしゃいでいる。


お父さんと釣り上げた魚を得意げに持つ子供達の写真を撮るお母さん。




あったかい家族だなぁ。




「お父さんは子供達に気づかれないように、あの魚店で買ったんだね。

 いい家族だね」


と夫が言った。意外な言葉だった。

私はあの魚、お父さんが釣ったと思っていたから。

それ以上に意外だったのが、夫が彼らに対して私と同じ感想を持った事、

そしてそれを口にした事だ。



夫は決して子供好きな方ではない。

私はちっちゃい子を見かけると、必要以上に近づくクセがある。

何かしら話しかけたり手を振ったり、怪しいくらい構いたくなる。

そんな姿を夫はいつも引き気味で見ている。

結婚当初、子供は欲しくないと言ってたので、

私は子供の話をしないよう気を使っていた。




夫は、あの父親に将来の自分を重ね合わせたのかもしれない。

私達もいつか、あんな家族になれたらいいね。




名も知らない親子から、一日早いバースディプレゼントをもらった気がした。