めずらしい乳がんということで、術前5人、術後3人のドクターにあった。合計ドクターだけで8人。

多いね。とっても多いね。でもしょうがなかったんだよ。理由は前にも書いたけど、珍しい形のガンで、グレードも2Aでリンパ節転移もないけど、実際には脇にしこりがあってリンパ節転移の可能性があり、という面倒なケースだったからだ。

医療関係で働いている家族は、何度そういった事情を説明しても、「ドクターショッピングをしている患者なんかみたいドクターはいない。そのうち積極的な治療をドクターは避けるようになる。」

たしかに心象はどうかと思うが、必死になっている患者を見捨てるドクターはいなかったから感謝しないといけない。今の主治医を除いてどのドクターも悩んでいた。


それなのに、「医者が2人、せいぜい3人同じことを言ったら「それでよし」としろ。ほかに行くんじゃない。君はドクターを侮辱している」とか言われて精神的にもぐったり。



家族がいうように、すべてのドクターが全く同じ治療を提示したら私もそこ言葉に納得できるんだけど、似た治療はあっても、完全に同じ治療をすすめたのは、ひとりもいなかった。

術前化学療法をすすめられたり、すすめられなかったり。

術後の化学療法も病院によって薬のメニューと期間が微妙に違う。

あげくの果てには、化学療法終了後のホルモン治療も同じ病院の出身者同士なのに違うんだよね。

一番目の病院で、「乳がんは比較的標準治療が確立されており、どこの病院にいっても同じ治療が受けられますよ。それがいいところなんです」と言われたが、

そのドクターの上司が出てきて、「うちは市民病院だから30年前の治療をする。一方近くの大学病院は最先端の治療をする。最先端の治療は強い治療になりやすく、まだ治療実績が浅いから突然の不具合が生じる。実際に最先端の治療を受けて体調が悪くなり、手術をする必要があるのにできなって困ったケースもあるから。」

・・・。

確かに「枯れた治療」と言って安全なのはわかるんだけど、この医療技術が日夜進歩し、新しい抗がん剤が続々と認可されている今日この頃、30年前ってどうよ。



このドクター方の見解の違いをどう理解したらいいのか?
その点を理解し、それぞれ勧められた治療方法のメリットデメリットを把握しないと自分の治療を決められないから、ため息をつきながら家族の言うことは無視した。


家族とは、ドクターショッピングだけでなく医療費のことでも喧嘩した。


化学療法をするを家族は強く反対した。

まず、エビデンスが明確でないこと。ちょうど手術をするころに、文芸春秋で「抗がん剤は効かない」という連載があり、それを書いた慶応大学病院放射線科の近藤先生の本を買ったところ、家族がそれを読んで、化学療法は害になるだけどいって、反対したのだ。


そして化学療法の治療費が大変高額になることも反対に輪をかけた。


そのくせ、外では乳がんの家族を支える人間として振舞っているのでイライラした。

毎日病院に見舞いに来るんだが、見舞いは8時までなのに10時ごろやってくる。仕方がないから地下のコンビニであっていたんだけど、手術したばかりだから感染も心配だったし(結局感染した)、なにより体が疲れた。そして挙げ句の果てにはタクシー代とか夜食代も入院中の私が支払うことが多々あった。


今まで見ないようにしてきた問題がだんだんと表面化してはじめている感じがしたし、それは今でも続いている。