乳がんって手術してからが大変だった。

今、乳がんの治療って、大きく二つのタイプに分かれる。術前化学療法とっていって、ガンが見つかったら手術の前に化学療法をして、ガンが小さくなるかどうか試して、小さくなったら胸を温存出来たりする。

それは、効くかもしれないし、効かないかもしれないしの博打なんだな。

効いたっていうのをどこで認定するのかというと、ガン腫瘍が小さくなったとかなんだ。

人によってはガン腫瘍がなくなってしまう人もいるらしい。

でも、見かけ上なくなったとしても、血液中にがん細胞がばらまかれている可能性があるから、手術はするし、小さくなること=治ったではないところが、がんの特徴。

ガンは進化する。ガンの治療の話をするとき、いい年した大先生が「あなたのガンは顔つきが良くて(あるいは悪くて)どうのこうの」って話す。最初聞いたときは、キョトンとしたもんだ。


で、術前化学療法に話をもどすと、抗がん剤が効かない人もいる。というか効きにくいガンだよ、ってあらかじめわかっているものもある。

あたしは、抗がん剤が比較的効きづらい、珍しいタイプの乳がん(粘液ガンっていって、粘液のなかにがん細胞がプカプカ浮いているタイプ)だった。

悩みに悩んだあげく、術前化学療法はせずに手術をした。

今でも覚えているのは住まいの近くの某大学病院の有名な先生が、術前化学療法しか選択肢を提示せず、母親が抗がん剤の副作用について食い下がって聞いたところ、「言わない。いうとみんなやらなくなる」とのたまったことだ。

その先生にしても小冊子をくれるなど、医者としてはいい仕事をしていたと思うが、私は自分でイニシアティブをとって治療メニュを決めたかったので、その先生にはかからないことにきめた。

本当は手術件数、自宅からの通いやすさ等、そこの病院が一番だったが、なんとなく私とは水が合わない、と感じた。

先輩のガンサバイバーの方から受けたアドバイスを一つ。

医者でも歯医者でも教師でも美容師やエステシャンでも相性というものがある。

相性が合わないと、悲惨なことのなることが多いので、その辺を十分考えよ。

ちなみにあたしの治療期間は今後5年間。たしかに相性の悪い医者を主治医にするには長すぎる期間だ。