花粉症の方々に朗報な薬剤が承認された。

花粉症は花粉が体の中に入り、過敏なⅠ型アレルギー反応が起こり、鼻水やくしゃみの症状が出る疾患である。

花粉症の対策は主に3つのものがある。

一つは花粉が体内に入らないようにマスクや眼鏡などで体内に入りにくくすることである。

二つ目は鼻水やくしゃみ、かゆみなどを止める薬剤を服用することである。

そして、3つめは少しの花粉を徐々に体内に入れ続けることで、体内の免疫反応に“慣れ”を生じさせ、花粉に対する過剰なアレルギー反応が収まるという方法である。

これを減感作療法という。

今回の薬剤はこの減感作療法簡便にする薬剤といえる。

シダトレン舌下液はスギ花粉のアレルゲンが微量に含まれた液であり、毎日すこしずつ舌下に垂らすことで体がスギ花粉に慣れることを目的とした薬である。

その際、投与方法がやや面倒くさい。

1週目は青の箱に入ったものを

1滴/日、1滴/日、2滴/日、2滴/日、3滴/日、4滴/日、5滴/日舌下に滴下し

2分間保持した後、飲み込む。その後5分間はうがい、飲食は控える。

2週目は白の箱に入ったものを

1滴/日、1滴/日、2滴/日、2滴/日、3滴/日、4滴/日、5滴/日舌下に滴下し

2分間保持した後、飲み込む。その後5分間はうがい、飲食は控える。

3週目からは

パックに入ったものを全量1mL11回舌下に滴下し、

2分間保持した後、飲み込む。その後5分間はうがい、飲食は控える。

このことを花粉シーズンの3か月前から始め、花粉シーズンに挑むということになる。

シダトレン舌下液は花粉シーズンには投与開始することができず、花粉シーズンの約3か月前からの開始となる。

シダトレン舌下液はアナフィラキシーという最悪の事態を防がなくてはならないため、

処方できる医師は限られる。

医師の先生方においては

関連学会が主催する「舌下免疫療法の講習会」をまず受講

「シダトレン適正使用eラーニング」を受講終了後、「シダトレン適正使用eテスト」に合格された「受講終了医師」がデータベースに登録され、ようやく処方可能となる。

薬剤師の先生方においては、シダトレン舌下液の処方箋が処方可能な医師かどうかをシダトレンのコールセンターまたは確認用サイトにて確認する必要がある。

(※コールセンター、確認用サイトにおいて発売日に稼働)

花粉症の改善には、長くの使用が必要な薬剤ではあるが、なった者にしてみればどんな苦労をしてでもすこしでも改善したいというのが花粉症というものである。

一般名はドルテグラビルであり、新しい抗HIV治療薬である。

HIVウイルス治療薬は現在、

・核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)(エピビル錠など)

・非核酸型逆転写酵素阻害剤(NNRTI

・プロテアーゼ阻害剤(PI)(ノービア錠、カレトラ錠など)

・インテグラーゼ阻害剤(INI)(アイセントレス錠など)

CCR5阻害剤

・配合剤(ツルバダ錠、エプジコム錠など)

と様々な機序がある。

その理由として、HIVは薬剤に対して耐性を持ちやすく、様々な作用機序を持つ薬剤をもってして強力にHIVの増殖を抑えることで耐性を作りにくくしている。

HIVというそれほど多くの患者さんがいるわけではない疾患に対して、これだけの種類があるのは、耐性ができても他の薬剤が使えるようにしているためである。

HIV治療には一つ、問題があった。

それは、上記で示すように多剤併用が基本となるため、服用量が非常に多くなるのである。

また、抗HIV薬はあくまで“増殖を抑える”薬であるため、ずっと飲み続けなくてはならない薬剤である。服用量が多いことはアドヒアランスの低下につながることもあり、本末転倒の事態も起こさないとこ限らない。

今回のテビケイ錠はHIV治療を変える可能性がある画期的な薬剤であると言われている。

一見、作用機序では従来あるインテグラーゼ阻害薬だが、他の抗HIV薬と決定的に異なる点がある。

それは、HIVの増殖を抑える力が圧倒的に強いということである。

これが、HIV治療の様々な問題を解決してくれる。

テビケイ錠は増殖抑制能が強いため、耐性を起こしにくいのである。

耐性を獲得するための増殖(複製)過程をそもそも抑制されるため、耐性化HIVが生まれにくいのである。このため、他剤との併用が無しとまではいかないが、少ない併用で治療することが可能となる。

テビケイ錠はエプジコム配合錠との併用またはツルバダ配合錠との併用が推奨されている。

少ない服用錠数はアドヒアランスの低下も招きにくく、実臨床において従来の治療に比べてテビケイ錠による治療はさらに効果が上がる可能性がある。

ちなみにテビケイ錠自体の錠剤の大きさも小さく、また毒々しい色ではない。

HIV治療における吉報のような薬剤にこれから期待したい。

一般名はプラスグレルであり、クロピドグレル(プラビックス®)のVersion up 薬といえる。

いわゆるチエノピリジン系の抗血小板薬の最新版ということになる。

チエノピリジン系は血液を固まらせない物質であるcAMPを増やすことというのが共通の作用機序である。

詳しく記述すると、cAMPを増やす方法としては、チエノピリジン系はADP受容体を抑制することでアデニル酸シクラーゼを活性化し、そうすると、ATPcAMPへと変換される。

チエノピリジン系の経緯についておさらいしたい。

第一世代はチクロピジン(パナルジン®)であり、

プロドラッグ薬であり、肝臓で代謝されて初めて効果のある物質(活性代謝物)となる

副作用に関しては肝障害、無顆粒球症、血栓性血小板性紫斑病(TTP)という3大副作用の確認が必須となる。

これらの副作用は約9割が投与開始後2か月以内に発現するのも特徴的である。

2世代のクロピドグレル(プラビックス®)はチクロピジン(パナルジン®)の肝障害や無顆粒球症、TTPなどの副作用が少ないという面でVersion upしている。

クロピドグレル(プラビックス®)はCYP2C19にて活性代謝物になる薬剤である。

それも一度CYP2C19にて代謝をうけても中間体の段階になるだけで活性代謝物になるにはもう一回CYP2C19の代謝を受けなくてはならない。

つまり、クロピドグレル(プラビックス®)は非常にCYP2C19の影響を受ける薬剤なのである。

CYP2C19は活性に非常に個人差がある代謝酵である。

日本人においては

rapid metabolizer(RM;活性が強い人)は約35

Intermediate metabolizer(IM;活性がふつうの人)は約50%

poor metabolizer(PM;活性が弱い人)が約15%

という割合であるとされている。

実に血液型並みに多様に分かれているといえる。

RMの人はプラビックス®は活性代謝物になりやすく、効果が出やすく

PMの人はプラビックス®は活性代謝物になりにくく、効果が出にくいということになる。

また、CYP2C19といえば、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の代謝酵素でもある。

プラビックス®内服中は消化管出血のリスクがあるため、PPIの併用がされることがあるが、

PPICYP2C19にて代謝されるため、プラビックス®CYP2C19の取り合い(拮抗)が起こり、PPIと併用するとプラビックス®が効きにくい可能性というのが示唆されていた。

この代謝拮抗は服用タイミングを変更しても回避することはできない。

RMならPPIの併用によって、プラビックス®の過剰な活性代謝物への変換を抑えることに役立つであろうが、PMならただでさえ少ないCYP2C19PPIにとられると効果減弱は避けられない状態となる。

プラビックス®PPIとの併用については慎重になるよりは、PPIを併用しなかった場合の消化管出血のリスクの方が重篤であるという見解のようである。

PPIをより効果の弱いH2ブロッカーに変更するかについては議論のあるところである。

今回のこのプラスグレル(エフィエント®)はプラビックスのこのCYP2C19のジレンマを取り払った薬剤である。

プラスグレル(エフィエント®)はプロドラッグであり、肝臓での代謝によって活性代謝物になるが、CYP2C19の多型(RMやらPM)に関わらず安定した血小板凝集抑制効果を示す。

また、活性代謝物になる代謝の過程が1回であるため、クロピドグレル(プラビックス®)に比べ、効果が早いというメリットがある。

副作用に関しては肝障害、無顆粒球症、血栓性血小板性紫斑病(TTP)という3大副作用の発現は少ないとはいえ、相変わらず確認は必須となる。

また、個人的ではあるが、エフィエント錠という名前がブイフェンド錠と字ずらが似ているため、調剤時には注意したい。

日本人に特有だったクロピドグレル(プラビックス®)によるCYP2C19ジレンマが解消する可能性を秘めたプラスグレル(エフィエント®)は日本の抗血小板治療においては吉報であると言えよう。

一般名はトラスツズマブ エムタンシンであり、つまりはハーセプチン®のバージョンアップ薬である。

前回のアドセトリス注のように抗体薬にチュブリン阻害薬が付加したもので、タキサン系+ハーセプチン®のレジメンのタキサン系の薬剤が腫瘍選択性を増し、より強いタキサンを投与できるというものである。

今回のカドサイラに付着しているチュブリン阻害薬はタキサン系のおよそ100倍ほどの腫瘍抑制効果があるとされている。

つまり、抗体薬という、選択性のある受容体阻害薬である側面と、運び屋である側面とを同時に満たした機序となる。

機序はアドセトリス注と同様(HER2以外)であるため、前回のブログを参考にしていただきたい。

また、ズマブ(CDRのみがマウス由来)であり、インフュージョンリアクションが少ない。

それに、エムタンシンを付加することでインフュージョンリアクションが起こりやすくなるのではないか?(異物感が増えるので)と思われる先生もいらっしゃるかもしれないが、

インフュージョンリアクションの頻度としてはハーセプチン®と変わらない頻度であると言われている。

気を付けたいことは、このカドサイラ点滴®がただのハーセプチン注®のバージョンアップと考えてはいけないことである。

ハーセプチンに加えてより毒性の強いタキサン系を投与しているのと同じなのである。

つまり、タキサン系の抗がん剤で問題になる血管外漏出時の皮膚障害ではただのハーセプチン®の血管外漏出時の対応ではなく、むしろタキサン系抗がん剤の血管外漏出時の対応が必要であると言える。

一般名はブレンツキシマブベトチンであり、抗CD30抗体である。

CD30は悪性リンパ腫に発現しているタンパクであり、CD30をこのアドセトリス®の抗体作用でくっついて、攻撃することで悪性リンパ腫にのみ攻撃できるという機序である。


つまりはCD20を抗体作用によって攻撃するリツキシマブ®Newバージョンという言い方もできる。

適応はホジキン悪性リンパ腫である。

ホジキンリンパ腫の治療といえば、ABVD療法(アドリアシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)である。

ホジキンリンパ腫は長年、ABVD療法一択だったが、そこに新しい治療薬がついに入ってきたのである。

このアドセトリス注®はただの抗体薬ではなく、抗体にMMAEという言わば爆弾のようなものが付いている。

抗体に手榴弾が付いた状態を想像してもらいたい。

MMAEはモノメチルアウリスタチンEの略であり、微小管阻害作用を有する抗がん剤である。言ってみれば、タキサン系、の薬剤が抗体についているということである。

アドセトリスの作用としては、以下のようになる

 アドセトリスがCD30に結合する

 アドセトリス‐CD30接合体として細胞体内に取り込まれる

 タンパク分解酵素反応によりMMAEが外れ細胞内にMMAEが放出。

 MMAEがチューブリンに結合し、微小管形成を阻害する。

 細胞周期がG2/M期で停止する

 腫瘍細胞はアポトーシスする。


つまりは、リツキシマブに加えて、選択性を増したタキサン系(またはビンカアルカロイド系)の作用が加わるということになる。

アドセトリスはブレンツキシマブ(-ximab)ということで、キメラ抗体である。

今時、キメラ抗体か・・インフュージョンリアクション必発じゃないか?と思ったが、

インフュージョンリアクションが11%と意外に少ない。

なぜ、少ないかはわからないが、これは嬉しい誤算である。

しかし、使用症例数が多くなれば増えてくるのかもしれない。


さらにアドセトリスは併用禁忌があり、それはブレオマイシンである。

アドセトリスは、最初はホジキンリンパ腫のゴールデンレジメンであるABVD療法に併用で使おうように臨床試験を進めていったが、途中で肺障害が出現し、併用をあきらめた経緯がある。

肺障害に対して最も疑わしいのはブレオマイシンであるため、ブレオマイシンが併用禁忌となった。

併用でていれば、非常に強力なレジメンになった可能性もあるだけに残念である。


今までにない作用機序(抗体薬+チュブリン阻害)であるため、想像力を働かせたケアが必要であるといえよう。

一般名はアファチニブであり、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬である。

適応はEGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌であり、

いわば、イレッサ錠®、タルセバ錠®あたりと類薬になる。

EGFR遺伝子変異が陽性の場合に限られるあたり、タルセバ®よりイレッサ®に近い薬剤であると言える。

アファチニブはEGFRチロシンキナーゼではあるが、EGFR以外のHERファミリーも阻害するという特徴を示す。


ここで、EGFRHERについておさらいしたい。

HERというのはHuman epideral growth receptorの略である。

直訳すると、ヒトの上皮の成長受容体であり、つまり、非常に広範囲の受容体の総称であることがいえる。

HERファミリーは主にHER1、HER2、HER3、HER4、があり、

HER1とは別名EFGRという。

EGFREpidermal Growth Factor Receptor; 上皮成長因子受容体といい。

言ってみればHERと同じようなことを表している。

つまり、EGFRも非常に広い意味をしめす総称なのである。

そして、このHER1(EGFR)、HER2、HER3、HER4、を作っている遺伝子がそれぞれErbB1ErbB2ErbB3ErbB4、という。

チロシンキナーゼとは例えるなら受容体の“電池”のようなもので、

受容体の下にあるチロシンキナーゼを阻害すると、その受容体は働かなくなる。

EGFRチロシンキナーゼは肺がん治療薬、HER2阻害薬は乳がん治療というイメージが強いが、作用機序から考えれば、あらゆる癌に効く可能性があるのである。

イレッサはその中でもEGFRが変異したものでないと、うまくそのEGFR以下のチロシンキナーゼを阻害できない。

ふつうは変異があると阻害できないものだが、EGFRの変異はイメージでいうと、“受容体が変異して歪んで穴が開いており、チロシンキナーゼが見えている状態”というのを想像していただけると理解しやすい。

イレッサはそんな風にチロシンキナーゼが阻害しやすいEGFRしか阻害できないのである。

その点、タルセバ®は変異である必要はない。

しかし、これはミクロの世界の話であり、臨床的にどちらの薬剤が優れているというのは別問題である。

さて、今回のジオトリフ錠®はイレッサ®と同じく、チロシンキナーゼが阻害しやすいEGFR(変異したEGFR)しか阻害できないということになっている。

しかし、ジオトリフ錠®は他のHERファミリーの阻害効果も持ち、かつ阻害様式はイレッサやタルセバが可逆性なのに対して不可逆性な阻害である。

・・・こんなに強そうなのに、EGFRは変異したものじゃないとダメなんて・・
という少し意外な薬剤である。
臨床試験での対象患者がEGFR変異(+)というのが一番の理由のような気もする。


このジオトリフ錠、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であり、さらに他のHERファミリーも阻害するとなると、作用機序的に非常に似ている薬剤がある。

それはタイケルブ錠(ラパチニブ)®である。

タイケルブが阻害するチロシンキナーゼはEGFRHER2である。



このジオトリフ錠、副作用の発現率が90%以上であり、ほぼ必発と言える。

この辺もタイケルブ錠に似ているところである。

副作用は主に下痢、皮膚障害が特に高頻度である。皮膚障害は口内炎や爪症状も含む。

ジオトリフ錠は食事と一緒に服用すると、AUCの低下を招くため、空腹時投与であるので調剤時は注意したい。

イレッサ錠、タルセバ錠の新しい仲間ではあるが、作用機序や副作用の面から言えばタイケルブ錠に近い薬剤と言えるため、タイケルブ錠に対する対処というのが参考になるかもしれない。





一般名はツロクトコグアルファであり、遺伝子組み換え型血液第Ⅷ因子製剤である。

適応は血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者における出血傾向の抑制である。

第8因子製剤は以前、アドベイト注という薬剤を当ブログでご紹介した。

アドベイト注では、コージネイトと比較して冷所保存でなく、常温保存で良いということと、

サイズも小さくなって、在宅療法において保管が楽になったということが

特徴として挙げられた。

今回のノボエイトは基本的にアドベイトの特徴と似ている。

アドベイトと同じ、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いた遺伝子組み換え第Ⅷ因子製剤であり、特生物製剤ではない。

しかし、ロットの管理が必要のようだ。

また、サイズも比較的小さく、在宅での保管にも適している。

このノボエイト注は施設(薬局、薬剤部)では冷所保存であるが、

患者さんが持ち帰り、在宅にて保管する際は常温保存でも可能である。

※室温(30℃以下)で6ヶ月の保管も可能

このことはつい、薬局、薬剤部、病棟での保管方法を患者さんに伝えがちである。

この薬剤についてはその部分には相違があるので注意が必要である。

一般名はクエン酸第2鉄であり、3価の鉄である。

鉄にはリンを吸着する作用があり、3価の鉄では実はカルシウムよりもリン結合力が高い。

クエン酸鉄といえば、クエン酸一鉄であるフェロミア錠がある。

これは、2価の鉄であるため、リンの吸着効果はあるが、吸収されるため、リン排泄には使えない。

リオナ錠は3価の鉄であるため、吸収はされず、リンを吸着したまま糞便中へと排出される。

副作用は下痢、便秘、胃部不快感であり、これもフェロミア錠と共通するところだ。

フェロミア錠は1日服用量は100200mgであるのに対して、リオナ錠は5006000㎎/日であり、より消化管の副作用は多い可能性がある。

吸収されない3価の鉄であろうとも、一部リンと結合しなかった3価の鉄は2価の鉄に変換され、吸収される。

さらに、服用量が多いため血清鉄の過剰に留意しなければならず、血清フェリチンは定期的に検査することが必要である。

リオナ錠の溶解性は15分後で75%が溶解したという結果を得ており、用法は食直後である。

鉄製剤であるため糞便は黒色になり、患者さんに事前に説明が必要である。

リオナ錠の適応は慢性腎臓病患者における高リン血症であるため、腎臓が悪い患者さんに投与される。腎排泄能が低下している患者さんでは鉄を含めた様々な物質を排泄できないため、鉄の過剰蓄積にはより一層の注意が必要である。

一般名はイプラグリフロジンといい、新しいタイプの血糖降下薬である。


スーグラ錠はSGLT2という、腎尿細管からブドウ糖を再吸収するトランスポーターを阻害することで、グルコースの再吸収を阻害し、尿に糖を流して、高血糖を低下する薬剤である。

糖尿病という名の通り、尿に糖を流してしまうのである。

現在の糖尿病治療薬としては、主に、インスリンを投与または増加させ、血管から細胞にグルコースを入れることで、血管へのグルコースの停滞を防ぎ、糖毒性から血管を守るという機序が中心である。

しかし、細胞内に糖を入れ込んでしまうため、“太る”という副作用があった。

食事療法がきちっと遵守されていない状態でインスリン療法を行うと、たちまち太ってしまい、インスリン耐性にもつながる。

しかし、このスーグラ錠では血管内にある余剰のグルコースを尿へと流してしまうため、

太る心配もない。

逆に体重減少効果があり、やせ形の2型糖尿病患者さんには不向きであるくらいである。

したがって、作用機序としてはこれ以上にないくらい素晴らしいメカニズムだ。

問題は副作用の方である。

尿から糖を出すという作用からして、尿路、性器の感染症という副作用が発生する可能性があることは想像に難くない。

臨床試験では膀胱炎が見られたようであり、服用中は尿路、性器部位の清潔を保つことが必要である。

服薬指導としては、女性ではなるべくウォシュレットの使用、11回の入浴の遵守などが挙げられ、膀胱炎の所見があれば薬剤の中止を検討すべきである。

また、糖を尿に出すことで尿が高浸透圧になるため、周りから水分を引っ張って利尿作用がある。

臨床試験では副作用として体液減少、血圧低下、口渇が見られた。

上記の副作用は投与後2週間以内にみられ、適切な水分摂取をすることが大切である。

口渇などの症状は糖尿病の症状でもあるため、マスクされやすいため注意が必要である。

また、利尿効果があるため、利尿薬との併用は注意されたい。

利尿作用の強いループ利尿やチアジド系利尿薬はもちろんのこと、副作用で血圧低下作用があるため、利尿剤配合降圧薬との併用も油断できない。

利尿作用があるため、朝の投与が基本となる。

また、低血糖に関しては単剤ではそれほ頻度は無いようだが、インスリン分泌促進薬(SU薬)、インスリン製剤との併用において起こっているようなので注意する。

作用機序から腎機能低下者ではスーグラ錠の効き目は悪く、透析患者、重度の腎機能低下患者さんは服用しない方がよい。

スーグラ服用中は糖分が血中から少なくなるため、脂質からエネルギーを取るようになるため、ケトン体が少し上昇する。ケトアシドーシスに注意が必要である。

画期的な糖尿病治療薬であるが、様々な注意が必要な薬剤である。

しっかりとした知識を持って挑まなくてはならない。

一般名はヘミンであり、急性ポルフィリン症の症状改善に用いられる薬である。

赤血球が酸素を運ぶためにはヘモグロビンというたんぱく質が必要であり、

そのヘモグロビンを作るのに必要なものにヘムというものがある。

急性ポルフィリン症とはヘムの合成経路に異常が生じた疾患である。

ヘムの合成経路の中のALA脱水酵素、PBG脱アミノ酵素の活性が遺伝的に弱いことで、

それより上流のALAPBGが蓄積することにより発症する。

ヘム合成経路の中でUROgen合成酵素とUROgen脱炭酸酵素の活性が遺伝的に弱いことでHMBUROgenⅢが蓄積する疾患は皮膚ポルフィリン症である。

蓄積するものによって表れてくる症状が異なる。

急性ポルフィリン症の症状としては腹痛、嘔吐、幻覚、妄想などの精神症状、四肢麻痺、筋力低下などで、ひどい場合には呼吸麻痺で死に至る場合もある。

ポルフィリン合成経路には負のフィードバック機構が存在する。

負のフィードバックとは最終的に出来上がった産物の量を把握し、作りすぎを防ぐ機構のことである。

つまり、ポルフィリン合成経路ではヘムが増えすぎると、経路中の律速酵素であるALA合成酵素が働きをやめ、ヘムの作りすぎを防ぐのである。

ノーモサング点滴静注用の一般名はヘミンである。

お気づきの方もおられるであろうかヘミンは擬似ヘムである。

ヘミンを投与することによって、ヘム合成経路はヘムがたくさんあると勘違いし、

ヘムの合成を少なくするのである。

急性ポルフィリン血症といえば、薬剤師の先生方としては、薬剤の禁忌症などによく出てくる疾患である印象が御有りだと思う。

急性ポルフィリン症の急性発作症状の誘因する薬剤としては

・バルビタール系

・経口避妊薬

・抗てんかん薬

・経口糖尿病薬

・ラボナール®、イソゾール®

など

急性ポルフィリン症が禁忌の薬剤は数多く存在する。

少ない疾患であるだけに、注意したいものである。