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■ NOTES ■
今日の増田さんはどうしても四球4個で
四死球によって奪われた余計な出塁も4個という成績、そして
今日は初球から2球続けてボール球を記録した勝負を
2度のみに抑えることに成功するものの
その2度いずれもで結果四球によって
余計な出塁を奪われていることが目を引きますが
その一方で、2ストライク以降の勝負が
わずかに5度(全体の1/4)のみに留まる一方で
3球以内に決した勝負は全体の半数を超えるなど
ある程度数多く初球からそして浅いカウントから
積極的に弾き返してきたイーグルス攻撃陣に対しても
初球ストライクを全体の7割を占める14度の勝負で奪うと共に
上述したように初球から2球続けてボール球を記録した勝負も2度のみ、
また特筆すべきはボール球を記録せずに決した勝負も
これまた全体の半数を超える計11度まで積み重ね
3ボール以上を記録した勝負を観ていっても
いずれも結果的に四球となった4個のみという成績ですから
つまりは非常に大胆にそして効果的に
ゾーンを攻め続けていくことに成功した勝負を
ある程度数多く積み重ねながらも
一方である程度頻度は限られてはいるものの
それでも無視できない頻度でがらりと打って変って
ゾーンを大胆に攻めていくことに失敗した勝負が
そのなかに混じりこんでいたことがよく観察でき
結果、もちろんイーグルス攻撃陣の浅いカウントからの
積極的な打撃が影響した部分ももちろんあるでしょうが
それでもやはりそのことが
ストライク率6割を切る物足りない成績に繋がったと評価できます。
特に、単打2と四球2とで今日奪われた出塁7個中
実に4個までを集中され1点を失うこととなった初回は
その速球の平均球速が142.9km/hを計測、
今シーズンこれまでのリリーフ登板の平均球速である
143.0km/hとほぼ同じ程度の精度を誇っていたものの
逆にそれが力みとして投球に伝わり
思うようにゾーンを攻めていくことに失敗していったことが観て取れ
一方で2回以降、その平均球速がほぼ140km/h近辺へと落ち着くにつれ
ある程度その成績も落ち着きをみせていったことがわかります。
もちろん、今日はルーキーイヤーの初先発の機会ということもあって
いつもの救援登板と同じように、同じようにと意識することが
結果逆に緊張を生み、身体をこわばらせていたことが大きく予測できますから
その自慢の速球の球速を中心とした精度の維持を意図することは
それ自体は決して訂正したり反省したりするようなことでは決してなく
今後もし再度、先発登板の機会を得たとしても
恐れずに、どんどんと目一杯腕を振って
いつも通りの精度を誇る、自慢の速球を
大胆にゾーンに投じていってほしいと願います。
さて、ここからは先発投手として、ではなく
主に救援投手、増田さんを想定しての分析となっていきますが
今シーズンここまで、増田さんの最大の武器は
打者のべ106人に対し.169/.267/.236(被打率/被出塁率/被長打率)と
抜群の成績を誇っているその速球であり
この自慢の速球は左打者(のべ51人-.146/.271/.171)に対しても
そして右打者(のべ55人-.188/.264/.292)に対しても
非常に有効であることもよくわかります。
一方で、全体を通してみるならば
のべ103人に対し.233/.303/.289という
優秀な成績を残している左打者に対し
右打者対戦成績を観るとのべ1083人に対して.320/.377/.474という
ある程度差のある、そして物足りない成績に留まっていることも
増田さんの課題として浮き彫りになっており
速球が右打者左打者どちらに対しても非常に有効な武器である以上
その原因として考えられるのが
増田さんの第2の武器と言っていいスライダーが
左打者にはのべ31人に対し.207/.233/.276に対し
右打者にはのべ46人に対し.442/.478/.674と、
もちろんある程度"small sample size"であることを
留保する必要がありますが
現在のところ左打者に対しては有効であるのに対して
右打者に対してはまだまだ改善の余地があることであり
それを更に下の"Hot/Cold Zones - YTD"のチャートで
ゾーン別に観ていきますと
やはり左打者に対してはその内角へのものが
ある程度数多く、そこで優秀な成績を残しているのに対して
一方で右打者に対しては、
その外角を厳しく攻めたものに関しては
全般的に優秀な成績を残しているものの
どうしても真ん中付近にある程度の無視できない頻度でずれ
その甘く入ったところを痛打されていることが観てとれます。
今後はもちろん、まずはその自慢の速球を軸に
常にストライク先行の投手有利なカウントで勝負し続けていきながら
大胆に、効果的にゾーンを攻め続けていくことを継続していく中で
速球以外の球種、特に右打者に対するスライダーの制球について
向上すべく調整していってほしいと願います。
さて、ここからは
イーグルスの2013年シーズンの優勝を目の当たりにして
更に2つほど。
まず第一に、これはイーグルスについてではなく
今日のゲームで決勝打となる満塁からの三塁打を浴びた野上さんについて、
この、決して大げさではなく優勝のかかったといっていい
凄まじい重圧のかかる大一番の勝負において
ゾーンに勝負にいっての外角低めの渾身の140km/h速球を
みごとにランドライヴの痛烈な打球で外野へと弾き返されたことを
むしろ自らの記憶に残る、
一生の誇りにそして勲章にしてほしいと願います。
反省するならば、そのイニングの先頭打者である
聖澤選手に奪われた四球をこそ反省すべきであり
この悔しい、苦い、一生ついて回るであろう経験を糧として
今後はとにかくどれだけ痛い長打や本塁打を浴びたとしても
決して恐怖に飲み込まれていったりすることなく立ち向かっていき
ゾーンを大胆に攻め続けていくことを決して忘れないでほしいですし
そしてそのために今の自らに足りないことは何かを
徹底的に洗い出し、改善すべく行動していってほしいと願います。
そして第二に、イーグルスの優勝について
イーグルスの選手の皆様、首脳陣、そして何より
イーグルスのfront office(編成陣)に対し
心よりのお祝いと賛辞を贈ります。
2013年シーズンのイーグルスの優勝は、誤解を恐れずに大胆に言うならば
そのフロント・オフィスの手腕の素晴らしさによるものです。
長期的な視野からの育成と、そして短中期的な視野からの的確な補強とが
非常にうまくかみ合って素晴らしいchemistryが醸成され
今2013年シーズンのイーグルスの
素晴らしい成績へと繋がっていったことは
傍から観る私にも明々白々の事実として
容易に理解できるものでした。
改めて、イーグルス各選手の素晴らしいプレイの数々に、
そして首脳陣の素晴らしい采配の数々に、
そして何よりフロントオフィスの素晴らしい組織構築手腕に
心よりの拍手を贈ります。
ほんとうにおめでとうございました。