ライオンズ打者たちのVertical Spray Chart : 2010 - 2012 | Peanuts & Crackerjack

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Dedicated to the Saitama Seibu Lions organization and its players, baseball itself, and those who want to know what counts most in a given situation you are in and to make right decisions in a confident manner everytime. May the 'dose of luck' be with you!



まずはじめに、

このエントリーを作成するにあたって、Dan Lependorf による

Visualization: Vertical spray chart
Vertical Spray Chart for Batters
Vertical Spray Chart for Pitchers

これらの素晴らしい記事に、またそれを可能にした素晴らしい発想と創作
最大級の賛辞と敬意と、そして感謝とを示させていただきます。

このエントリーを楽しんでいただけましたら、是非上記のリンクから飛んで
Dan の素晴らしい記事にも触れていただけると幸いです。


・・・さて、今年ここまでのライオンズのゲームを観ていると
どうしてもリリーフ陣の非常な脆弱さばかりが
これでもか、これでもかと大きな課題として何度も何度ものぼり

選手たちや首脳陣ももちろん私たち観客の比ではないほど
光明を求めて苦しみもがき続けていることと思いますが

私たち観客も、ともすればそのゲームを楽しむことができずに
怒りとやるせなさと、そしてストレスとだけがたまっていき

楽しみ、感動しその素晴らしさを称えるために観戦するという
スポーツ観戦の本来の目的を忘れがちになってしまいがちです。

・・・これでは本末転倒、そのうち完全に興味を失ってしまうか、
(もっとも、ほんとうに楽しむ術を完全に見失ってしまえば本来そうすべきでしょうが)

逆に、極端に言えばストーカーのように
“これだけ愛し応援しているのになぜ応えてくれないんだ”とばかりに
愛する選手たちや首脳陣たちをこれでもかと非難し、罵倒し続けるだけ
その本人自身にとっても非常に悲しい、意味のない時間をただただ費やすだけになってしまうか、

いずれにせよ、明らかに健康的とは言い難い悲しい状態ですから


“他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる”
(※Eric Berneの言葉とされますが原典不明、ご存知の方いらっしゃいましたらご教授ください)


この名言どおり、とりあえず、リリーフ陣の整備については
ライオンズのフロントオフィスが何か手を打つまで待つほかはなく
冷静に、定期的に分析するだけにとどめるだけにするとして

なるべく“narrative”な(特定の)言語に頼ることなく
色彩鮮やかな図やグラフ、そして画像や映像でできるだけ視覚に、直感に訴えることを
常々ミッションにしているこのブログですから

今日はぜひ、ライオンズの誇る攻撃陣についてその素晴らしさを
Dan のスプレーチャートを使って“視覚的に”観ていくことにしたいと思います。

さて、いつものことながら前置きが長くなり恐縮ですが
まずは下の今シーズンここまでのライオンズの打者たちのチャートをご覧ください。

$Peanuts & Crackerjack-20120528verticalspraychart

誤解を恐れずにバッサリ簡単に観方を説明するならば
今シーズン昨日までの段階で、ライオンズの各打者たちが平均どれだけの角度で打球を打ち上げ
それがどれだけの飛距離、つまり多くの長打として結果に残っているかを単純にわかりやすく示したチャートとなります。

ただし、NPBでは hit f/x は導入されておらず
(※MLBでは導入はされていますがそのデータは公開されておらず利用できないそうです)、

打者が平均して打球をどんな角度で打ち上げたかの正確なデータはとることができないため
かわりに選手ごとの全打球のうちグラウンドボールとフライボールの比率
三角関数を用いて角度に変換し、それでもって代用しております。

(※犠打成功分、そしてラインドライヴの打球については計算から除いておりますが
  犠打失敗分のフライボール・グラウンドボールについてはそれぞれ含んでいます。

  また、フライボールの中にはインフィールド・フライボールに加えもちろん本塁打・犠飛も含んでいます)

また、チャートの各線の長さは本来各打者の平均飛距離がベストなのかもしれませんが
それも利用できませんので、もちろんOPSやwOBAなどの指標も候補にある中ではありますが

“平均飛距離”に最もイメージとして近い
“平均してどれだけ遠くの塁を獲得することに成功したか”の指標である
SLG(slugging percentage、長打率)を選びました。

このように、正確なデータとは到底言えず指標も代用品ばかりで
更に打者がもっとも結果を残しやすいラインドライヴの比率も残念ながら角度データからは省いてはいますが
(もっとも、どこまでいっても100%正確なチャートなんて、特に二次元的に表示することなど不可能ではありますが)

チャートを見る限り、非常にうまく打者ごとの特長を表しているのではないでしょうか。

ということで、続いて統一球導入元年の2011年シーズンのデータおよび2010年シーズンのデータを用いて
それぞれ2011年と2010年のライオンズ打者たちの Vertical Spray Chart を観ていただきたいと思います。

Peanuts & Crackerjack-2011verticalspraychart Peanuts & Crackerjack-2010verticalspraychart

(※どちらのシーズンも、100打席以上を経験したライオンズの打者を取り出し表示しております)

さて、ちらほらと懐かしい名前も観られますが
やはり統一球導入前後で明確な変化を見てとることができ

また2010年度には17人だった100打席以上の打者が2011年度は10人だけになったように
統一球がライオンズ打者たちを厳しく淘汰していったことも観てとれますね。

そして今シーズンはここまでのデータで観る限り、2011年から更に全体的に角度がゆるやかになり
また更に飛距離-正確には長打率ですが-を落としていることも観て取れ
今後このデータがシーズン終了に向けてどう変化していくかが非常に楽しみです。

選手ごとの特長で観るならば

何より、2010年に比べ多少角度自体は緩やかになったもののそれでも長打率を伸ばしてきた
剛也さんもはや“異次元”と言っていい2011年シーズンの素晴らしさが改めてよくわかり
まだまだ物足りない今シーズンはこれからどう推移していくかが非常に興味深いですね。

そして安定して高い角度を維持-つまりフライボールやラインドライヴ系の打球が多い-しながら
安定して結果を残し続けているナカジさん

逆に安定して角度は低い-つまりグラウンドボールやラインドライヴ系の打球が多い-ものの
安定して結果を残している巧さんといった

現在ライオンズを背負って立っている2人のある意味対照的な打撃スタイルも非常に眼を楽しませてくれるものですね。

更に、苦しかった2011年シーズンを経て今シーズンの易之さん
どれだけまたその鋭い打球で私たちを魅了してくれるかも大いに楽しみにしたいところ。

また、まだまだ結果自体はついてこないものの昨シーズンから更に角度を下げてきた銀仁朗さん
典型的なグラウンドボール・ヒッターと呼んでいいGermanさん・熊代さんなど
それぞれの打者たちのスタイル・打球傾向がはっきりわかるのもこのチャートの素晴らしいところ。

そして最後に、昨年非常に素晴らしい結果を残しながらも
今シーズンは非常に苦しんでいる浅村さんがいつまた復活してくるか、

対照的に今シーズン劇的にその成績を伸ばしてきた
秋山さんがその素晴らしい鋭い打球の数々を今後も継続して魅せ続けてくれるか、

この近い将来ライオンズを背負って立つであろう2人の若獅子の今後の成長も非常に楽しみです。

さて、今日はここまでにしておいて
今度は近日中に投手たち(もちろん先発投手・救援投手問わず)について

そのグラウンドボール・フライボールの打球分布
FIP(本塁打はかぶりますが、それ以外と言っていい三振・四死球・本塁打のみで測定した投手成績)との関係を

同じようなチャートを用いて投手ごとの特長が一目でわかるように
視覚的に、直感的に示したいと思っています。

それでは皆さん、これからも野球を楽しみましょう!