伝統に培われた土壌 | Peanuts & Crackerjack

Peanuts & Crackerjack

Dedicated to the Saitama Seibu Lions organization and its players, baseball itself, and those who want to know what counts most in a given situation you are in and to make right decisions in a confident manner everytime. May the 'dose of luck' be with you!

ピーナッツとクラッカージャック-20090925

ピーナッツとクラッカージャック-sl090925

CS出場権を賭けたシーズン大詰めの3、4位直接対決。

シーズンもいよいよ大詰めのこの時期、
クライマックス・シリーズが導入されたことで
まだ多くのチームが目の前の1勝に最大限集中しこだわって
1ゲーム1ゲームを戦っています。

本来、1つのゴールを達成するために一番苦しいのは
あきらかにその最後の詰めの段階です。

実はクライマックス・シリーズがなければ
現在首位にいるチームが本来一番苦しむその最後の詰めの段階で

優勝の望みが絶望的なチームがとても多くなり
そんな多くのチームが目の前の1勝1勝にこだわらずに
既に来シーズン以降をにらんで戦術を変えてきます。

もちろんそれでも首位にいるチームにとって
最後の階段を上ることはとても苦しく、厳しいものですが

相手チームが自ら目の前のゲームに最大限集中することを放棄し
その助けを借りて最後の階段を登りきることができます。

しかし、クライマックス・シリーズの導入で
やはり最後の最後に至るまで多くのチームが1勝にこだわり
ゴールを目の前にしたチームが最後まで苦しむとともに
追いかけるチームが最後の最後まで凄まじい集中力を発揮します。

クライマックス・シリーズ導入で首位争いよりも
3位争いのほうが面白くなるなど様々な意見がありますが

わたしは相手の意欲減衰という“流れ”を助けにせず
苦しい中でもこの“場”に参加し続け経験し
結果に関わらず自分なりに乗り越えることや更には
自分たちの能力や集中力でゴールという結果をもぎとることこそ

首位を争っているチームだろうが
3位争いを展開しているチームだろうがまったく同じように

チームにとっても自分自身にとってもこれからどんな状況でも
自分の力を発揮するという得難い素晴らしい経験になるでしょうし

それこそがどんなゲームでもシーズンでもキャリア全体を通して
そして年代を越えてコンスタントに期待通りの結果を残し続け
そして結果を求められる“ここぞの場面”では
期待以上の結果を産み出す“底力”の源だといえるでしょう。

さてさて、そんな争いが続くこのシーズン大詰めの時期
はっきりと認識の中に置いておかなくてはならないのは

それぞれの選手たちの泳ぐフィッシュボウルがここにきて
また変わってきているということ。

シーズン後半戦から優勝争いにひとつのメドができる
優勝マジックが点灯するまでは首位を走るチームがかなり有利な
【今シーズン】の金魚鉢の中で泳ぐことが圧倒的に多いものの

このシーズン大詰めの最後の階段を上る段階では
【キャリア】【チーム通算成績】の金魚鉢の中で
泳ぐことがとても多くなっていきます。

それはつまり経験豊富で優勝や勝利をよく知っているベテランや

優勝を数多く重ねる歴史と伝統がありそれが首脳陣をはじめとした
チーム関係者全体に脈々と受け継がれそのノウハウをしっかり持つ
そんなチームが力を大きく発揮できる場なのです。



そして、言うまでもなくそれはライオンズという組織の誇る
“底力”としての絶対的な強みなのです。

選手たちを支える首脳陣、コーチ陣が
1980年代の常勝時代を知りさらにはその後も連綿と
2006年までAクラスを続け数多く優勝を経験してきた
そんなノウハウを多く持つ人材を数多く抱える。

となれば、ライオンズが今このイーグルス戦で
するべき“しごと”は何なのか。

それこそ状況に関わらず王道、“No Limit! 方程式”どおり
先発投手が8回以上を投げ切り、更に
攻撃陣が長打で“追加点”を取ることで

終盤競り合いの展開での中継ぎ陣登板を防ぐこと。

イーグルスというチームはここ数年をかけて
野村監督が手塩にかけて作り上げてきた必殺仕事人集団

その目指すところは
勝ちを“知らない”歴史の浅い発展途上の組織に対し
まずは“負けない”戦略で勝ちを拾っていき
勝利をどんどん重ね、できるだけ最後まで優勝争いを経験し

選手に、そして最も重要なことはその選手を支えるコーチ陣に
勝つこと、目的を達成することに対する経験とノウハウを
どんどん蓄積していき球団の土台、土壌を築き上げること。

つまりはどちらかといえばまだまだ状況に依存しながらも
適材適所的起用をはじめとした様々な戦術の駆使によって

“流れ”を引き寄せ相手の自滅を誘うというもの。

ライオンズは自らのチームと相手のチームの特徴、そして
それぞれの目指すところと現状における進捗状況を明確に把握し

自分たちの強みをじゅうぶん自信にして
今まで培ってきたことを状況に関わらずどんなときも
変わらず発揮し続けることだけです。

今日の帆足さんの投球を振り返れば

9回を投げ切って打者37人に対し136球。
被安打6・四球2・死球2を与えながら奪三振6で
自責点・失点ともに7回の1点のみ。

例によってグラウンド・ボール比率を調べてみると
まず被安打6はライナー・フライ性のものが4で
グラウンド・ボールは2。

27アウトのうち三振6を除いた21個の中では
フライ・アウト6(うち内野フライ2)、
ライナー・アウト2(いずれも内野手が処理)に対し
グラウンド・アウト13と約6割。

これだけ多いと野手のファイン・プレーも多くなりますね。




前回、帆足さんの今シーズンにおけるゲーム毎の
成績の大きなばらつきを指摘しましたが

ここにきて5ゲーム続けてQSを記録し
すべて終了まで投げ切って失点1以内。

素晴らしい成績で安定している帆足さん、
それでこそ首脳陣やチームのメンバーの信頼を
勝ち得続けるチームの軸、左のエース。



そしてやはり失敗を恐れず自分たちのトレーニングや
これまでやってきた経験の蓄積を信じ

ひたすら状況に関わらず初球から積極的に長打を
そしてこれも初球から積極的に盗塁を狙っていく
攻撃陣の主軸選手たち。

その選手たちの残す素晴らしい結果を見るたび
そこにはライオンズという組織が脈々と受け継ぎ
そして積み上げてきたとても肥沃で堅固な土壌と土台
みごとに力を発揮しているとひしひしと感じます。

今シーズンはクローザーの離脱と共になかなか
思うような成績を残すことができていないライオンズ。

しかし、幸いなことにそれを補って余りあるほどに
チームという組織全体にゴール達成に対するノウハウが
染みわたっているという素晴らしい強みがあるのです。

さて、明日は岸さん。

野村監督を頂点とした必殺仕事人集団イーグルスは
当然“今シーズン”の、更には“このイニング”の
金魚鉢の中に岸さんを放り込んで溺れ自滅させようと
様々な戦術を駆使してくるでしょう。

そんな揺さぶりに負けることなく、また消化不良だった
前回登板の反省を活かし自分のいつもの能力を
コンスタントに発揮し続けることができるか。

3年目の若い岸さんですがその積み重ねてきた経験は
すでにベテランに匹敵するものがあるはず。

そんなピッチングを思い出して動じることなく投げ続け
ぜひキャリアハイのシーズン13勝目、
その手でもぎ取ってくださいね。



Nice Game !