救護テントに運ばれると、身体に防寒シートをかけて頂き、頭部全体をタオルでぐるぐる巻きにされ、両手両足にカイロを当てて頂きました。
そして、複数の塩タブレットを口に含み、温めたスポーツドリンクをストローで飲むように言われました。
口がしびれて本当に動かしにくかったので、寝た状態でスポーツドリンクを飲むのは、なかなか辛かったです。
「このスポーツドリンクを全部飲んで」と言われるのですが
「いや、もう無理」と心の中でつぶやきながら、少しずつ飲みました。
「血圧、188と128です」と言われる声が聞こえました。
普段は低血圧なので、初めて聞く数値でした。
(後日調べてみて、危険域だった事を知りました)
終始、意識ははっきりしていたので、自分自身では
「このまま暖かくして休息させて頂ければ何とかなるかな」と思っていました。
以前にも低体温症になった事があり(ラン以外の状況です)
その時は暖かい点滴を打ってもらったら回復したので、今回もその流れかな、とぼんやりと考えていました。
もうすっかり無気力になっていて、思考停止状態でした。
「もうここで出来る事はありません。
救急車を呼んで下さい。
あなた、一緒に来ている人はいますか?
その方の連絡先を教えて下さい。
すぐに来てもらって、付き添ってもらいます。
身内の方の連絡先も教えて下さい。
救急車で運ばれたら、迎えに来てもらわないと」
医師の方のその言葉を聞いて、一気に正気に戻りました。
それはまずい!
理由その①
救急車は緊急の病人の為に、税金を投入されているもの。
自己責任で走ったジョガーの私が使うべきではない。
意識もはっきりしているし、だいぶ手足の感覚も戻ってきたし。
理由その②
同じ大会を走ったラン仲間さん達は、現地集合、現地解散で集まった方々。
しかも、もう数時間前にゴールされていて、既に新幹線に乗っているはず。
もしまだ名古屋におられたとしても、救急車で付き添って頂くなんて、そんなご迷惑はかけられない
理由その③
名古屋から私の地元までは、新幹線で移動する距離。
そんな遠方から身内に呼びつけられない。
そもそも身内はマラソンを走る事を好ましく思っていないので、呼んだら今後レースに出られなくなるかも
無理、無理、無理!!!
あわてて声をかけました。
「もう大丈夫です。あともう少しここで休ませて頂いたら、自力で帰れますので、救急車は結構です!」
「え?本当に大丈夫?」
「はい、大丈夫です!」
とにかく元気をアピールしなければ、と、必死になっているうちに、本当にみるみるうちに身体が回復していくのが自覚出来ました。
まさに、病は気から…です
「では、ここを出たら、すぐにドーム前のイオンに行って、味が濃くて暖かいものを食べて下さいね」
と言われ、救急車はキャンセル、と指示して下さいました。
私を処置して下さったのは、救命救急医の方でした。
お話を聞くと、ドクターヘリにも乗っておられるとのこと。
迅速に適切な処置をして頂き、本当に心から感謝です。
「最初の症状は高度脱水症で、その後は低体温症でした。
高度脱水症は、命に関わるんですよ。
今後はくれぐれも気を付けて下さいね」
と言われました。
全ての給水ポイントで、水、スポドリを摂取していました。
塩ジェルも2つ摂取していました。
脱水対策には十分に気を付けていたつもりでしたが、
「明らかに、塩分と糖分が不足している症状ですよ。
今後は塩タブレットを十分に摂取して下さい」
と言われました。
塩タブレットは5ケも持参して走っていたのに、塩ジェルを2ケ摂取していたので、それで十分だと思い…
塩タブレットは1つも摂取していませんでした。
塩タブレットの重要性を痛感しました。
後日、この話をラン仲間さんに話したところ、
「塩タブレットはゼッケンの裏にホッチキス止めすると、落とすリスクが減って、食べやすくなるよ」
と教えて頂きました。
次回からは、必ず、
ゼッケン裏に塩タブレットを多めにつけて走ろう!