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舌口球<573>

契約金5億3000万円もらった男

 球春到来の2019年プロ野球だが、年俸トップは2年連続「沢村賞」の菅野(巨)で6億5000万円。6億円台は彼一人なのだが、1億円台は103人。
 そこで、2億円台までの選手数と主な選手を見てみると――
・5億円台=5人
<坂本(巨)柳田(ソ)浅村(楽)ほか>
・4億円台=11人
<丸(巨)山田(ヤ)筒香(D)ほか>
・3億円台=9人
<青木(ヤ)岸(楽)増井(オ)ほか>
・2億円台=22人
<菊池(広)秋山(西)中田(日)ほか>

 では、全球団総年俸はどうなのか(万円)――
①ソフトバンク=52億3230
②巨人    =52億225
③ヤクルト  =35億570
④阪神    =34億2540
⑤楽天    =30億1650
⑥広島    =29億5975
⑦DeNA   =29億4875
⑧西武    =27億9720
⑨日本ハム =27億2710
⑩ロッテ   =24億3945
⑪オリックス =24億3080
⑫中日    =23億5010

 これらは野球専門誌によるものだが、中日はソフトバンク、巨人の半分にも満たないってわけだ。しかし、年俸といっても、これは選手に限るもので監督、コーチ、そしてスコアラーや打撃投手など数多い裏方、さらに球団事務所職員の年収は含まれていない。
 そうした人たちを含めれば、さらに相当額が加味されるだけに、プロ野球経営はとてつもなく大変だってことがわかろう。

 さてそんな中、いまや一度も投げていない、打っていないルーキーの契約金はルール上限の1億円は当たり前で誰も驚かない。
 ところが、その契約金が、なんとなんと5億3000万円となると、100人が100人ビックリ仰天! ホントかよ? ウソじゃなかった。

 2005年、横浜(現DeNA)に日大から入団した那須野巧投手が、プロ球界で申し合わせた最高額1億円をはるかに超える5億3000万円の契約金だったことが判明したのは、2007年4月11日のことだった(写真=日刊スポーツ)。

 


 これは当日、横浜の佐々木邦昭社長が記者会見で公表したもので、その内容は――

「契約金5億3000万円は素直に高いと思ったが、那須野投手を獲るにはこれくらいは仕方なかった。申し合わせをはるかに超える金額であり、ルールを逸脱し大変遺憾に思っている。5億3000万円は、5回にわたって支払い、那須野個人の口座に今年1月に最後の支払いを行った」

 まさに信じられない事実。横浜の当時の親会社TBSはまったくアホなことをやったものだ。一体、那須野はどれほどの投手だったのか。東都大学ではMVPや最優秀投手になったのだが。
 2005~09年まで横浜で通算121試合、13勝27敗1セーブ、防御率5.27。その後ロッテに移籍したが登板の機会なく11年にユニフォームを脱いだのだが、こんな〝大バカ事件〟二度とあってはならない。