[538] ことほぐ奈良 | ひつじの手帖

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2013年5月から200日間ブログ。ブログは休眠中。本業の設計事務所は稼働しております。

日本、中国、韓国の三ヶ国の3つの都市にて文化プログラムで発展&交流をはかるイベントが始まっています.

日本ではシルクロード終着点の奈良が舞台.

ことほぐ奈良

イベントタイトルに大和言葉「ことほぐ」が使われているのは万葉集が編まれた奈良らしいし、

言祝ぐ、古都を歩ぐ、古都を(アートで)ほぐす、と 言葉の響きからイベントの内容が広がるところも奈良ならでは.


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奈良といえば柿.
ドライ柿&マスカルポーネチーズ載せを味わいながらガイドブックをチェック.


ガイドブック表紙を彩るのは中国の船.
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「船をつくるプロジェクト」
蔡國強(さいこっきょう)
中国から船大工を招き、奈良で制作した木造船. 
東大寺の鏡池に浮かぶさまは、ずっと前から存在していたかのように場に馴染んでいます.

蔡國強は日本に留学し制作活動をしていたことのある親日家で北京オリンピック開会式の演出でも知られる作家.

仏教伝来1500年の一歩は船を漕ぎだすことから始まった.
中国へ渡り仏教を学んだ僧侶の姿を思い描きながら南大門をくぐると、大仏様の異様なまでの大きさは、仏教の教えの深淵さ、命がけで海を渡った僧侶たちの覚悟の強さをも代弁しているように感じられます.

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唐(中国)より日本へ渡った僧侶 鑑真が建立した唐招提寺にはシリアの作家 ダイアナ・アルバディドによる「ユニコーンの逃避行」
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鑑真ゆかりの中国 揚州より唐招提寺へ もたらされた「けい花」が咲き乱れる花畑の柵から逃げだしたユニコーン.

タペストリー「千華模様」から着想をえた彫刻的な絵画.

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唐招提寺の荘厳な建築群のなかに彩りを添えるアート.

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唐招提寺より徒歩5分で薬師寺のアートへ.
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シルパ・グプタ「光のない影」

インド ムンバイ生まれの作家はインドに由来する「唯識思想」を「見えない彫刻を見ようとする」彫刻により表現.

ヒトと雲、ヒトと建物など、ハイブリッドな輪郭をもつ彫刻.
彫刻と一緒に写真撮影をする行為をアフォード(促す)する佇まい.

観光地の顔ハメパネルはキッチュで恥ずかしいけれど、この「光のない影」にハマるのな楽しい.

カタチをどうとらえるかは人それぞれ異なり、眼から入った光の情報を脳が処理し認識する内容は万人が同一ではない.

ヒトと雲のハイブリッドだと感じるこの彫刻は、アフロヘアのヒトだと感じる鑑賞者もいるだろうし、唯識思想はアートを鑑賞する行為そのものも示唆している.


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癌封じの十一面観音でしられる大安寺.
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かつて大安寺に建っていた七重塔をオマージュし、吉野杉の丸太で組まれた作品.

川俣正「足場の塔」


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高さ22メートルの塔の内部.
釘やボルトを使わず、丸太を針金で縛ってあります. 

構造計算されてますし、作家と職人の協業で組み上げられています. 
建設現場と同じようにヘルメットをかぶり内部を鑑賞.


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西大寺
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トルコの作家 アイシャ・エルクメン「池からプールから池へ」

シルクロード西の出発点トルコ イスタンブール出身の作家がつくる水景、シルクロード東の終着点 奈良を結ぶ.

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興福寺にはイランの作家 サハンド・ヘサミヤン「開花」

蓮の花の片方だけパイロンで囲われているのは、桜の木が傾きアートに乗っかってしまった為の危険予防.

金属板でつくった折り紙のような幾何学的カタチはアート内部の骨組みも美しい.


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鹿が中国人観光客に大人気の奈良公園
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壁に投影された漢字に触れると、絵に変容するインタラクティブな映像アートは、中国人観光客の子供らが大はしゃぎで楽しんでいました.
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象形文字文化ならではのアートは、書家 紫舟とチームラボの合作.

中国は10/1から国慶節の長期休暇(日本のゴールデンウィークみたいなかんじ)に入り海外旅行へ出る人々が大勢で、奈良も中国語が飛び交っていました.


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奈良町エリアへ.
近鉄奈良駅の南一帯 ならまち地区は歩いて巡ります.

元興寺
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韓国 キム スージャ「演繹的なもの」

宇宙の始まりから着想された作品.
鏡のステージに立つ黒いオブジェ.

鑑賞する天候や太陽の位置により見え方が多様に楽しめそう.  雨や夕暮れの姿も見てみたくなる静謐だけれど変化を感じさせる彫刻.

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ならまち を散策しながらアートを堪能.

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 万葉の奈良でシルクロードを感じる現代アート巡り、この秋 10/23まで.


現代アートを巡りながら、仏さまを拝み、カフェで一服し、美味しい秋の味覚に舌鼓を打ちながら 寿ぐ秋.