回想法を行う上で重要なことは、話題を選ぶ際にタブーに触れないようにすることである。
それらを理解せずに実施すると、逆効果となる場合があるので注意が必要である。
タブーな内容は一人ひとりで異なる。
例えば、戦争体験や大切な人の死別など、辛い記憶を呼び起こしてしまう可能性のある話題は避けるべきだ。
楽しかった思い出だけを話せるわけではないので、どのような話題が適切かは、事前に本人に確認したり家族から情報を得たりする必要がある。
急な思いつきで回想法を実施することも禁物だ。
事前の準備を怠ると、意図せずタブーに触れてしまう可能性がある。
回想法を実施する際は、事前にどのような話題に触れるか、どのような資料を用意するかなどを綿密に計画し、本人に合わせた内容にすることが重要である。
回想法の実施中は、話す内容が以前と異なったり、時間軸に誤りがあったりすることは多々あるものだ。
認知症によって記憶が曖昧になっている場合もあるため、このようなことはよくあることである。
しかし、それを逐一否定したり訂正したりしていては話す気が失せてしまう。
事実と異なっていても時間軸が異なっていても否定せず、最後まで傾聴する姿勢が大切だ。
回想法は、正誤を判定する場ではない。
過去の記憶を辿り共有し、共感することで、本人の心を満たし、精神的な安定を促すことが目的である。
そのため、内容の正確さよりも本人が安心して話せる雰囲気作りを重視し、傾聴する姿勢を保つことが重要である。
回想法は、昔の懐かしい思い出を語り合ったり話したりすることで脳が刺激され、精神状態を安定させ、不安や妄想などを和らげる効果が期待できる。
継続することで認知機能が改善されることも分かっており、介護施設でも取り入れられている治療法だ。
特別な道具は必要なく、時には思い出を引き出すための写真や思い出の品などを用意してコミュニケーションを重ねる。
手軽に行うことができるので、介護施設などで行われる他、認知症予防として高齢者サロンなどでも取り入れられている。
回想法を行うことで、自分の記憶や思い出を取り戻すことができたり、現在の季節や時間の流れ、自分の歳の確認をすることができる。
認知症の症状として、最近の出来事を忘れやすくなっても、若い頃などの記憶はしっかりと記憶している場合が多い。
自分の生き様や思い出を振り返り、自信を取り戻すきっかけとなり、生きる活力となる。
また、支援者だけでなく同世代の仲間と経験を共有することで、人間関係を改善させ、コミュニケーションを深める効果も期待することができる。
介護施設で行う場合には、プライバシーを守り、秘密保持を厳守することや反論や論争になることを避け、参加者の尊厳を守るための態度を徹底する。
深い話題に入りすぎないように注意し、思い込みや偏見を含んだ発言をしないように気を付けることが必要だ。
一人一人の記憶や感情に寄り添い、多様性の配慮を行うことで正しいケアができ、参加者にとって心地よく楽しい空間となる。
※参考サイト:大切な記憶が力になる「回想法」を知る
