学校は今歓喜に満ち溢れていた。
夏休みが近くなっているのである。
全校生徒が喜ぶ中、陸人たち4人はある事に悩んでいた。
「うーん…今回ばっかりはちょっと難しい問題だな…」
陸人がため息混じりに言う。
「そうね…何も出来ないからね…」
賛同するように藍羅も声を漏らす。
実は朝方、4人は担任の先生を通じて教頭先生のところに行き、『軽音楽部設立』を頼み込んだのだ。
しかし教頭は予算の関係から首を縦に振らず、その代わりにある条件を出してきた。
「君たちの顧問となってくれる先生がいたらOKをだしましょう」
と、いうことである。
「今回は難しいわね…」
「でもまあ条件を出してくれただけありがたく思わないとな」
「そうですよ、あそこでバッサリ切られてたらおしまいだったんですから」
「…それもそうか…でもなぁ」
午前中から色々な先生に頼み込んだが、結果は散々だった。
数学の田中先生「無理です」
理科の鈴木先生「あーちょっとダメだねぇー」
音楽の山田先生「ラララー♪そ~れ~は~できない!」
社会の赤木先生「…できぬ」
体育の寺田先生「それは無理でごわす!それよりも桜庭キサマぁ!その服装はダメだと何回言ったらわかるんだ!だいたい日頃の(ry」
…ことごとくダメだった。
残すは国語科の永井先生だけなのだが…
「永井は…どうかしら?」
「いやいや無理だって!」
「俺もそうおもう。…あれじゃあ…」
3人は一斉にため息をつく。
「あの…永井先生って?」
1人だけ、事情を知らない岬が不思議がっている。
「あー…いや、ちょっとね…千種、説明してあげてよ」
「ok。…永井先生はね、通称『狂人・エターナル』って言われていてね…」
そう。
永井健人…40歳。
彼はどうしようもなく狂っていた。
「…中二っぽいですね(き、狂人ですか?)」
「岬、セリフと脳内逆逆。…まあ、あいつのエピソードとして忘れらないのが、『京都・金閣寺ホワイト事件だな」
「(ごくり)」
「…あいつが3年の担任だった時の話だ。といっても、もう10年ほど前になるけどね…まだ教師として新米だった永井は、修学旅行で京都に行ったんだ。その歴史探検の時に金閣寺に向かった時…うわあああああああ!!!!!!」
「きゃああああああ!!!!」
千種の話し方が上手いのか、完全に岬は乗せられていた。
「どうだい?怖いだろう!?」
と、振り返ってガッツポーズをする千種を「ワーコワイコワイ」「キャーコワカッタ」と受け流し、千種は話しに戻る。
「そこであいつは質問攻めをうけたんだ…『何で金色なんですか?』『建てたのは誰ですか?』とかな。それをあいつは『○ッシュだから金色なんだよ』『信長が建てたんじゃね?』とか言って適当に流してたんだよ」
「…教師としてどうなんですか、それ」
近くで陸人が「金閣寺って家康が建てたんだろ?」などとほざいている。
「質問はさらにエスカレートしていく。『5+4は?』『May I help you?』『子供はどこからやってくるの?』とかな」
「…(どんなクラスだったんだろう…)」
「このことで完全にキレた永井は『知るかーーー!!!5+4?そんなの549に決まってんだろ!!!!May I help you?No thank you!!!!子供?知るか!!!自分でぇ調べろってんだよぉ!!!Ahhhhhhhhhhhhhh!!!!!』ってな具合にな」
「よく先生になれましたね…」
「だな。…その後金閣寺に向かって『いいかお前ら!!!金閣寺は何で金色なのって質問をなくすためになぁ!!!!俺は金閣寺を白くするぞおお!!!!あの大根のようにな!!!!!!DADADA大根んぅぅ!!!!』って叫んで金閣寺に白いペンキを塗ろうとしたんだ」
「千種先輩いい演技しますね」
「だろ☆…で、結局それは生徒たちに止められたんだが…その夜金閣寺は謎の火事が発生した」
「何てことを」
「今ある金閣寺が偽物なのはあいつのせいなんだ…」
千種は恐怖を隠しきれずに言った。
「…下手をすればあいつは教科書に載っている可能性だってあったんだ…」
「補足させてもらうと、あいつは通称の他に『ディオニス』って言われてるらしいぞ」
なんでも、当時の流行が『走れるのか?メロス』だったらしいから…という陸人。
そのエピソードに軽い恐怖を覚えながら、岬は顧問について考える。
「…まあいいわ。『狂人』か、活動停止か。それを考えるならとりあえず話をしにいったほうがいいわね」
「「「えーーー」」」
「『えーーー』じゃないわよ!子供かあんたたちは!」
結局藍羅に引きずられる形で、4人は永井の元に行くことになった。