岬の家は外面より大きいと感じるほど広かった。
「ちょっと待ってください、今地下室を開けるんで!」
「地下!?」
出迎えてくれた岬の言葉に驚く陸人。
「はい、地下に練習用のスタジオがあるんです」
「なんでまた一般家庭にそんなものがあるんだよ…」
「父の商売用のスタジオなんです。個人で使ったりもしますけど」
「…岬父ってすげえんだな…」
通常は岬の友達とは言えお金をかけないと入れないそうだが、今回は岬父の気分がよかったらしく、無料で借りることが出来たそうだ。
「じゃあ…おじゃましまーす」
「「オジャマシマス」」
広い玄関からずかずかと進入し、地下にあると言うスタジオに歩き始める。
ビルのような外見に反し、内装はとても綺麗で、派手でもなく地味でもなく、ほどよい雰囲気が岬の家にはあった。
商売用という体裁上、お客さんが不快にならないような気遣いなのだろう。
「じゃあ、今回は100号室にしますね」
多くあるスタジオのうち、4人でちょうどよさそうな部屋を一室選ぶ。
あまり大きいとはいえないが、4人で使うには少し広いくらいの一室だった。
中央にドラムが設置しており、いかにもスタジオという雰囲気をかもし出している。
「それじゃあ始めようぜ。今回からは課題曲を作ってやろうと思うんだが…」
「そうね…いつまでも基礎練習じゃ面白くもないし、そろそろ始めてもいいかもね」
「始めるって言っても、何の曲が初心者にいいのか俺たちにはわからないんじゃ…」
「それなら、レミオメロンで『粉雷』とかはどうでしょう?」
岬がスタジオにおいてあるサンプルのスコアを棚から取り出して3人に見せる。
レミオメロンの『粉雷』は、難易度は比較的に低い曲である。
よくギターなどの参考書に現れ、初心者のいい課題曲として知られている。
少しのアレンジで藍羅のような女性にも優しい曲になるため、新しく始める4人にはうってつけの曲と言える。
「そうね…じゃあとりあえずこれにしましょ!」
「そうと決まれば早速アレンジだな…」
当面の課題曲が決まり、それぞれアレンジに取り掛かる。
-つづく-