会社のエレベーター | バクの悪夢は誰が食う?

バクの悪夢は誰が食う?

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B氏の会社は都内のマンションの一室にある。
そのマンションには定員6名のエレベーターがついている。
ヨコ90cm、奥行き140cmていどなので、6人乗ればすし詰め状態だ。


そんなエレベーターに毎日乗っているB氏は、
一番奥の壁に寄りかかる癖がある。
その日もいつもどおり、
行き先の階のボタンを押した後、
奥の壁に寄りかかっていた。


そのとき、


ぼん、ぼん、


背後の壁を叩くような音がした。
ノックというよりも
手のひらで叩くような音だ。


エレベータの中には自分一人。
ましてや外から誰かが叩くなんてあり得ない。
「きっと、ケーブルか何かが
エレベータの箱にあたるんだろう」
B氏はそう自分を納得させると
オフィスに入って仕事を始めた


その日から、
毎日エレベーターの奥の壁から音がするようになった


ぼん、ぼん


おかしな事でも、
毎日続くとなれてしまうものだ
4日後には、
B氏は気にならなくなった。


はじめて音をきいてから
1週間くらいたっただろうか。
エレベーターに乗ると、
いつも通り叩く音がした


ぼん、ぼん、


しかしその日は
それだけではなかった


・・・てー、・・・てー


声?
今度は壁の向こうから声がする
声に神経を集中する


・・・いてー、・・・いてー


痛い?
え?


B氏は振り返って壁を見た
それと同時に声は止まった


B氏が視線を少し落とすと、
あることに気づいた


エレベーターの奥の壁
高さでいうと、腰くらいから下に
扉のようなものがついている
円い鍵穴がついているから、
確実に扉だろう。


これは何だろうか?
あの音や声と関係があるのだろうか?


B氏は管理人さんに聞いてみることにした。


エレベーターの奥の壁にある扉は
何に使うのですか?
エレベーターのメンテナンス用ですか?


すると管理人さんはいつもの笑顔で答えた


あなたはエレベーターの中で
まっすぐに寝られますか?
あのエレベーターは狭いから
むりでしょ?


B氏には意味がわからなかった。
たしかに奥行き140cmでは、
身長170cm前後のB氏はヨコになれない。


管理人さんはB氏の表情を確認してから続けた


このマンションに棺桶を出し入れするとき、
立てる訳にはいかないでしょ?
エレベーターの奥の扉を開いて、
寝かした格好のまま棺桶を運ぶのです。

なるほど!
と目から鱗が落ちた後、
全身から鳥肌が立った。


あの音、
あの声、
ぼん、ぼん、
いてーいてー


苦しんで亡くなった人の
気持ちが残っているのかもしれない


そんな風に考えながら
B氏はエレベーターに乗った


例のごとく音がする
ぼん、ぼん、


そして声がする
・・・いてー、・・・いてー


B氏はいつもにまして
声に耳を傾けていた



B氏は全ての階のボタンを押し
エレベーターが止まると
そこから飛び出した!


B氏は声をはっきり聞いてしまったのだ
声は
・・・いてー、・・・いてー
ではなかった。


きてー、きてー
おまえも一緒にあの世に来てー