「電車に乗っている間はまったく気が抜けない」
日本人の筆者に気まずそうに答えてくれたのは、観光目的で2度来日したことがあるオランダ人の会社員・マールテンさん(38才)だ。 「通勤ラッシュの見学に朝の新宿駅へ見学に行ったほどです。しかし、見ているだけならいいのですが、実際にラッシュ時に電車を使って通勤したり、家族の移動の為に電車を使おうとは思わない。むしろ、使わなければならない状況は拒否したいし、そういう意味では日本で暮らすことは不可能です」(マールテンさん)
日本の「通勤ラッシュ」の様子は、動画サイトなどを介して、世界中でもよく知られている。その為、マールテンさんも「見学」には行ったが、実際に乗車することはなかった。身の危険を感じたからだという。 「しかし間近で通勤ラッシュを見て、言葉が出ませんでした。毎朝、あのような混雑する電車に乗らなければ仕事に行けないんです。まさに命の危険を感じます。電車に乗っている間はまったく気が抜けない。生活に余裕がなくなり、生き方が変わってしまいそう。もっとゆとりのある生活がしたい」(マールテンさん) オランダでもラッシュアワーの混雑は発生するというが、人口約80万人を抱える最大の都市であるアムステルダムでも、東京のようにぎっしり人がひしめく車両に乗ることはないという。 「今はオランダに戻り、あの満員電車を見て以来、ああいう生活は私には合わないと思いました。」(マールテンさん)