シンドバーグ氏についての著書があるペーター・ハームセン氏は、「戦争の前、シンドバーグ氏に特別なことは一切なかった」と話した。

「身長は172.5センチと、1930年代後半のデンマーク人男性の平均。学校での成績も普通だった。しかし1937~38年、南京の暗い冬の間に、普通でないことが起きた。日本軍のひどい残酷さを目の当たりにして、シンドバーグ氏は何かしようと決めた」

シンドバーグ氏を知る人の証言

当時15歳の少年だった周仲兵氏は、「デンマーク人が作った難民キャンプがあった。キャンプには警備員がいて周辺をパトロールしていた。日本人がきて騒ぎを起こすと、デンマーク人がやってきて止めに入った」と話した。

ハームセン氏が取材した別の中国人女性、郭十妹氏は1937年当時25歳の農婦だった。

「日本人が難民キャンプに来ても、外国人(シンドバーグ氏)が外へ行って話してくれた。少しすれば彼らは立ち去った」

「日本人が女性を求めて来ると、その外国人は(デンマークの)国旗を掲げた。それで少し会話をすると、日本人はきびすを返して去って行った」

シンドバーグ氏は友人への手紙に、南京大虐殺のショックをつづっている。

「そこら中にどれだけの血が流れているか想像もできないと思う。8月以降、私は戦争の恐怖をいやと言うほど知る機会に恵まれた。血、血、そしてさらに血だ」