2016年2月16日

元日本軍「慰安婦」の証言集会 ハルモニが求めているのは 生きているうちに解決を―姜さん そこは「死刑場」でした―李さん

 一月二六日~三〇日、全日本民医連は、市民団体や労組と、韓国から元日本軍「慰安婦」のハルモニ(おばあさん)を招き、東京・大阪五カ所で証言集会を行いました。看学生などを含む八六二人が参加。おりしも昨年末、日韓両政府が日本軍「慰安婦」問題で“合意”を発表した直後の来日です。内容は求めるものと遠く、ハルモニたちは、この“合意”を認めていません。思い出すのもつらい被害の記憶と、日本政府に何を求めるのかが語られました。

 来日したのは、被害者が共同生活をする「ナヌムの家」の李玉善(イ・オクソン)さん(88)、姜日出(カン・イルチュル)さん(87)、「ナヌムの家」所長の安信権(アン・シングォン)さん。現在韓国に生存する被害者は四六人、平均年齢は八九・二歳です。

■“合意”当事者抜き

 昨年一二月二八日の日韓合意で日本政府は「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」と責任を認め、「おわびと反省」を表明しました。
 ところが“合意”は当事者に連絡もなく決まり、当事者が求める「軍の責任を明確に認めた上での謝罪、真相究明、再発防止」とはかけ離れていました。
 しかも、合意後には自民党の桜田義孝元文部科学副大臣が「(慰安婦は)職業としての娼婦、ビジネスだ」と発言、政府もこれを正していません。また日本政府は合意後、「慰安婦を強制連行した証拠は見つかっていない」とする見解を国連機関に公式に伝達。“合意”内容を遂行する意思があるのかも疑われる姿勢です。
 「ナヌムの家」のアン所長は、「これは個人の人権と請求権の問題ですが、当事者たちは合意をテレビで知った」と経過を説明。「早期に解決し両国が真に交流できるように、ハルモニの証言を次代に伝えたい」と話しました。