国会がざわついていた。

首相が淡々と政策説明を終えると、
野党席から怒号が飛んだ。

「首相! いまの発言、取り消せ!」

「日本政府の統一見解というものは先程来答弁した通りだ。それ以上でも以下でもない」と強調した。

それ以上でない
それ以下でない


野党は口を開けて固まった。

首相は席に戻りながら小さくつぶやいた。


「……数学的には、取り消したことになる。」

「……でも内容は強調された。」

「だから取り消し要求は満たしている。」


これがその日の国会の“最も静かな混乱”だった。