Q259)

Genius英和辞典のwantの「語法」欄には以下のように書かれています。

✕ I want very much  you to leave.

I want very much for you to leave.  VとOの間に副詞(句)があると、forは省略できない。

very muchなどが入ると、文型が変わる、ということでしょうか。

 

A)    (a) He wants me to leave.

(b) He wants for me to leave.

まず、上記の(a)(b)の文型は、どちらもSVOCです。「現代高等英文法」(八木克正著)(開拓社)のp.78にこうあります。

 

<文献1>

10.1 第Ⅴ文型 SVOC

略)

10.6 意思動詞

 範例(5)(We expect you to come to every class on time.)は「人に…してもらいたい」の意味の話し手の意思を表す意思動詞(verb of inteniton)の例である。以下に意思動詞をリストするが、どの動詞も⦅米⦆では目的語にforを伴うことがある。forをともなっても第Ⅴ文型であることに変わりはない。:ask, expect, hate, hope, intend, (would) like, mean, prefer, want, wish

⦅米⦆の例を2例あげよう。

I would like for you to stay as long as you can. できるだけ長い間お泊りください。

We wish for you to come to the house tonight. 今晩家においでいただきたい。

 

ジーニアス英和辞典第6版のwantにはこうあります。

 

<文献2>

2a  [SVO to do]<人が>O<人・物>に…することを望んでいる、…してほしいと願っている、…であってほしいと思っている

He wants[×is wanting] me to leave. 彼は私に帰ってほしいと思っている。

[語法](1) [for の有無] He wants me to leave.の意味で、He wants for me to leave.というのは⦅米略式⦆。ただし、VとOの間に副詞(句)があるとforは省略できない。

× I want very much you to leave.<I want very much for you to leave.とする>

 

この記述を整理するとこうなります。

(a) He wants me to leave.

(b) He wants for me to leave.

(c) × I want very much you to leave.

(d) I want very much for you to leave.

 

なぜ(c)は不可なのでしょう。「現代英文法講義」(安藤貞雄著)(開拓社)のp.215「14.4  to不定詞の動詞用法」にこうあります。

 

<文献3>

14.4.1  want型

 love, like, hateなどの「好き・嫌い」, want, desire, prefer, wishなどの「希望」を表す動詞である。

(1)  I want [him to come early.] 彼に早めに来てほしい。

=<米>I want  [for him to come early.]

<英>でも、wantとtoの間にvery muchなどが挿入されると、forが挿入される(wantとhimが隣接しないため、wantから対格をもらえないので、forを挿入し、そこから対格をもらうのである)

(2)  I want very much for him to go.とても彼に行ってほしい。

 

なお、「対格」については、「コンサイス英文法辞典」(三省堂)のp.12にこうあります。

 

 

<文献4>accusative (case) 対格。

インドヨーロッパ語族に属する諸言語に見られる格(case)の一つ。一般に直接目的語が表示される際に用いられる格である。

(略)

用法としては、直接目的語つまり他動詞の目的語の格を表示するほか、副詞的に用いられる副詞的対格という用法や前置詞の目的語となる用法がある。

 

そして、forについては、「現代英文法講義」(安藤貞雄著)(開拓社)のp.223にこうあります。

 

<文献5>

14.6.3. 「for+目的語+to do」の構造

 この構造では、forの目的語が不定詞の主語として働いている。重要な構造で、種種の用法を持つ。forは前置詞ではなく、補文標識(complementizer)である。

(略)

[C] 他動詞の目的語

 <米・略式体>では、like, hate, intend, mena, prefer, wishなどの他動詞でもこの構造をとる。<英>ではforを付けない。

(10) I hate for people to feel sad. 人が悲しんでいるのはいやです

 

よって、ご質問の文型に関して言えば、(d) I want very much for you to leave. も、(a)(b)と同様、 SVOC型のままです。

以上です。

 

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