Q32) 予備校のテキストです。4択問題です。

I can't have you ( ) my friend like that.

laughing at to laugh at laughed at to be laughed at

もちろん答えは①のlaughing athave O doingの構文だと説明しました。しかし、質問を受けました。「選択肢にlaugh at」があったらどうなりますか?」と聞かれて答えに自信がありません。


A) 確かにこのhave O doingの問題は私も長い間悩んでいました。ジーニアス英和辞典第4版には次のように書かれているだけで明確な説明はありません。


15 SVO doing]<人・物・事が>O<人・物など>に…させる;…させておく《◆通例進行形不可》∥I can't have those people laughing like that. あの連中をあんな風に笑わせておくことはできない/He had the water running in the bathtub. 彼は浴槽に水を出したままにしていた/I have a headache coming on. 頭痛がしてきた/If you make too much noise, you'll have the neighbors complaining. もしとても大きな物音を立てたら近所の人が苦情を言うだろう.




ウイズダム英和辞典にはもっとわかりやすい説明があります。have2223にこうあります。




22. have A doing

a)A(人)を…させる[させ始める]doingは一定期間続く動作を暗示する)

From an early age he had me playing baseball.幼いころから彼は私に野球をやらせ始めた。

b)(くだけて)(ある行為の結果)A(物・事など)が…している状態である、Aが…しているのを経験する

I know you have got another book coming out.また本をお出しになっているそうですね。

23.(話)(事・人)を許す、我慢する(通例won't, can't, wouldn'tなどの後で)[have A doing/done]A(人)が…する[される]のを許す(通例否定文・疑問文で)

I can't have you following me.あなたに後をついてきてほしくない。


つまり、have O doingには以下の3つの用法があることになります。
(1) A(人)を…させる[させ始める]doingは一定期間続く動作を暗示する)
(2) (ある行為の結果)A(物・事など)が…している状態である、Aが…しているのを経験する
(3)(通例won't, can't, wouldn'tなどの後で)[have A doing/done]A(人)が…する[される]のを許す(通例否定文・疑問文で)

本問はこの(3)の用法です。


この(3)の用法について、have O do型はあるのでしょうか?

まず、ウイズダム英和辞典には、have O doの型は載っていません。

ジーニアス英和辞典のhave16bにはhave O doの型が肯定文でも否定文でも使われると、次のように書いてあります。


b [願望]《文》[will, would を伴って]<人>に…してもらいたいと思う∥I would have you know that I am ill. いいかね, 私は病気なんだ, わかっているのか/I won't have you tell mewhere to go. どこへ行くべきかを君に指図されてたまるか.

OLEX英和辞典にはhave O doの型も載っていますが、have O doingがふつうと書いてあります。ロングマン英英辞典は、イディオムとして、won't/can't have sb doing sthの形を載せています。


どうやら、次の二文は同じ意味で使われるようですが、have O doingの方が頻度が高いと言えそうです。

(ア)I won't have you say such things about my sister.

(イ)I won't have you saying such things about my sister.


それでは、他の用法はどうでしょうか?

(1) A(人)を…させる[させ始める]doingは一定期間続く動作を暗示する、の場合。


「英語語法レファランス」(柏野健次著)(三省堂)の132ページhave+目的語+ingにこうあります。


この構文は、「そうしようとは思わないのに自然に(しばらくの間)その状態が続く」ことを表す。これは「have+目的語+原形不定詞」と比較するとわかりやすい。たとえば、次の①では「彼は私たちに拍手するように頼んだ」ということが表されるが、②では「彼のすばらしいスピーチや演技などによってしばらくの間、拍手が続いた」という意味になる。
He had us clap our hands.
He had us clapping our hands.[= We were clapping our hands as the result of what he had said, done, etc.]



そうすると、次の2文は文法的に可だが、意味が違うことになりますね。

() From an early age he had me play baseball. 「幼いころから彼は私に野球をやらせた」これは、目上の人(たとえば父親)が、私に頼んで(誘って)野球をやらせた、ということでしょう。

() From an early age he had me playing baseball. 「幼いころから彼は私に野球をやらせ始めた」これは、たとえば父親がグローブやバットを買ったり、試合に連れて行ったりして私を自然に野球好きにさせて、私に野球をやらせたということでしょう。また私がかなりの間野球を続けたことも暗示されています。





(2) (ある行為の結果)A(物・事など)が…している状態である、Aが…しているのを経験する、の場合。


ウイズダム英和辞典のhave16にこうあります。



16. SVO do

c)経験<やや略式>[通例doに強勢をおいて]<人・物が><人・物・事>に…される

I've never had such a thing happen to me before.私には前にそんなことが起こったことはなかった。<この場合はhappeningともする>


つまり、次の二文は同じ意味になるようです。
() I've never had such a thing happen to me before.
() I've never had such a thing happening to me before.


ただ、まったく同じというわけではありません。「オックスフォード実例現代英語用法辞典」(マイケル・スワン著)(研究社)改定最新版の361ページにこうあります。


We had a gipsy come to the door yesterday.(昨日、私たちの家の玄関先にジプシーが来た)

I looked up and found we had water dripping through the ceiling.(見上げたら天井から水が漏れていた)

最初の例では、不定詞が用いられ(起こった/起こる事柄を表している)、次の例は-ing形が用いられている(起こっていた/起こっている事柄を表している)ことに注意してほしい。この違いは、単純過去時制と過去進行形の違いに似ている。

つまり、次の二文を比較すると、

(キ)We had a gipsy come to the door yesterday

(ク)I looked up and found we had water dripping through the ceiling.

(キ)は、a gypsy came「ジプシーが来た」の関係であり、(ク)は、water was running「水がそのとき漏れていた」であることになります。



最後に、生徒の質問に戻りましょう。

(ケ)I can't have you laugh at my friend like that.

(コ)I can't have you laughing at my friend like that.

どうやら、この二文には意味の違いがありそうです。

(キ)と(ク)の関係から類推すると、

(ケ)は、相手が友人のことをすでに笑い、それに対して話者が今後は許さないぞと言っている。(コ)は、相手が今まさに友人のことを笑っている最中であり、それに対して話者が許さないぞと言っている。こういうところでしょうか。結論として「選択肢にもしlaugh atがあればそれも可である。ただ頻度はlaughing atの方が高い」と答えていいと思います。


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